金豹賞を受賞し笑顔の三宅唱監督(AP)
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 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】お盆明け、映画界に飛び込んできた吉報を中心に「上」「下」で書いてみた。

 まずはスイスから届いた快挙の報。第78回ロカルノ国際映画祭の授賞式が8月16日に行われ、インターナショナル・コンペティション部門に出品された三宅唱監督(41)の「旅と日々」が最高賞の「金豹賞」と、若手審査員が選ぶヤング審査委員賞特別賞をダブル受賞した。
 日本映画では衣笠貞之助監督の「地獄門」(1953年)、市川崑監督の「野火」(59年)、小林政広監督の「愛の予感」(2007年)に続き、18年ぶり4作目の栄誉となった。

 「ケイコ目を澄ませて」「夜明けのすべて」などで映画界をけん引する三宅監督の最新作「旅と日々」は、漫画家つげ義春(87)の「海辺の叙景」と「ほんやら洞のべんさん」が原作に、旅先の山奥でおんぼろ宿に迷い込んだ脚本家の李が、「べん造」と名乗る宿主との出会いをきっかけに人生と向き合っていく過程を李本人がつづっていくロードムービー。主人公の李にシム・ウンギョン(31)、「べん造」に堤真一(60)、陰のある女・渚には河合優実(24)が扮し、他に高田万作(18)や、つげ作品に欠かせない佐野史郎(70)、斉藤陽一郎(54)、松浦慎一郎(42)ら実力派が出演している。

 主演のシム、河合とともに現地入りしていた三宅監督は受賞に「とても驚いています。いい言葉がみつかりません。一緒に働いたすべての俳優、すべてのスタッフの本当に美しい仕事が、このロカルノの地で評価されたことを心から光栄に思います。ぼくらは最高のチームです」と胸を張った。

 シムは「監督に頼りながらスタッフの皆さんと一緒に旅したゴールがロカルノでとてもとてもうれしいです。審査員の方々、最高です!」、そして河合は「びっくりして声が出ました。三宅唱監督、本当におめでとうございます!皆で映画を作った道のりのすべて、初めて完成を観た瞬間、ずっと心を奪われ続けたこの作品が冠をいただき、心からうれしいです。関わってくれた全ての方と喜びを分かち合いたいです」とコメントを寄せた。日本では11月7日から東京・TOHOシネマズ シャンテ、テアトル新宿ほか全国で公開される。

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