原浩による「第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞」大賞受賞作を実写映画化した『火喰鳥を、喰う』(10月3日公開)。その完成披露試写会が8月19日に開催され、水上恒司、山下美月、宮舘涼太(Snow Man)、森田望智、豊田裕大らキャスト陣と本木克英監督が出席。撮影時を振り返りながら様々なトークをくり広げた。
本作は、死者の残した日記をきっかけに怪異と事件が巻き起こる先読み不能のミステリー。信州で暮らす久喜雄司(水上)と夕里子(山下)のもとに、戦死した先祖・久喜貞市の日記が届く。最後のページに綴られていたのは「ヒクイドリ、クイタイ」の文字。その日以来、幸せな夫婦の周辺で不可解な出来事が起こり始める。ふたりは超常現象専門家・北斗総一郎(宮舘)を加え、真相を探るが、その先に現れたのは驚愕の世界だった…。
ヒクイドリをイメージした艶やかな浴衣を着こなす『火喰鳥を、喰う』キャスト陣
イベントが始まると、キャスト陣は本作をイメージしたという艶やかな浴衣姿でステージに登壇。浴衣の色合いには“とある趣向”があるそう。これについては山下が「今作はヒクイドリが出てくる映画ということで、皆の浴衣の色でヒクイドリの顔を表現しました。鶏冠の部分が黒色(水上)、顔の部分が青色(宮舘)、そして喉の赤い肉垂が私の着ている赤ということで、いわゆる集団技です」と説明し、会場を沸かせた。
続いて行われたトークセッションでは、それぞれが演じた役について話す流れに。水上は“大学で化学を教える助教”である久喜雄司について、リアクションが重要な役どころだと話す。「僕自身はバリバリの文系で、数学は本当に苦手でして…。そういった分野はずっと避けてきた人生なんですけど、今回は化学の助教ということで、数字で証明できるものしか信じないという役どころなんです。そんな雄司の前に胡散臭い北斗総一郎という男が現れて、いろいろ怪しいことを言ってくるんですね。それに対して、“基本的には信じない”というところから始まって、そこから徐々に雄司の考え方が変わっていくところが本作の重要なポイントになっているので、そこは意識して演じさせていただきました。ミステリアスなキャラクターが多いので、それぞれのキャラを立たせるためにも、僕はどういったリアクションを取るべきかをひたすら考えて。非常に刺激的な時間を過ごすことができました」
水上恒司が最近、ビミナリ!と感じたものは「鯣(するめ)の下足」
そんな久喜雄司の妻であり、ミステリアスな存在である久喜夕里子を演じる山下は、強烈な個性を放つ水上と宮舘に挟まれながらも、どちらかに引き寄せられることなく、中間に居続ける芝居を心掛けたという。「夕里子は普通の生活を願いながらも、人とは違う特殊な能力を持っていて。それを雄司に隠しながら生活しているという役どころです。芝居に関しては、雄司と北斗を演じられるお二人の“お芝居への取り組み方”といいますか、役へのアプローチの仕方がまったく異なっていたので、その中間をいけたらいいなと思って。お二人のお芝居を見ながら、日々刺激を受けつつ、現場で学ばせていただきました。作品自体がかなり不思議な世界観のお話になっているということもあるので、あまり考えすぎず、自然体で取り組ませていただいたのも、役作りをするうえで意識したポイントになります」
山下美月が最近、ビミナリ!と感じたものは「キムチマヨ牛丼」
夕里子の同級生で、超常現象に造詣の深い北斗総一郎を演じる宮舘は、ほかの出演者より2週間遅れで撮影に参加したため、現場の空気感に馴染むのに苦労したと話す。「クランクインの2週間後くらいから参加させていただいたんですけど、それだけの期間があると、現場の空気感みたいなものが出来上がっているんですよ。なので最初は、夏休みが明けて2学期からやってきた転校生のような感覚でした(笑)。ちなみに、僕が初めて参加したのはカフェのシーンなんですけど、このシーンにはものすごい長台詞があるんです。ここをどうやって撮るかという話になったんですけど、せっかくの長台詞なので、長回しでやらせてくださいと監督にお願いして。現場に参加するなり、いきなり難しいシーンの撮影になりましたが、総一郎はそうした挑戦をするべき役柄だと思ったので取り組ませていただきました。そのような役を担当させていただけて、すごく光栄に思っています」
【写真を見る】最近、ビミナリ!と感じたものは「わさび」と答える宮舘涼太
こうした宮舘の芝居に対する取り組みについて、意見を求められた水上は「北斗総一郎は、誰がやるにしても難しいキャラクターなんですよ。胡散臭いのに、妙に説得力があるあの役どころは、舘さんにしか演じられないです」と答える。これを受けて宮舘は「言動に説得力をもたせるために、今回は眉毛の演技にも挑戦しました。鑑賞時には僕の眉毛にも注目してください!」とキメ顔で話し、笑いを誘った。
今作の“もう一人の主役”とも言えるヒクイドリが登場
またイベントの後半では、“この恐怖、ビミナリ”という映画のキャッチコピーにちなんで、キャスト陣が最近「ビミナリ!」と感じたものを発表するコーナーや、今作の“もう一人の主役”といっても過言ではないヒクイドリが登場する一幕もあり、これらも大盛り上がりに。最後にキャスト陣とヒクイドリによるフォトセッションも実施され、完成披露試写会は大盛況のうちに終了した。
取材・文/ソムタム田井