映画「雪風 YUKIKAZE」初日舞台あいさつ行った竹野内豊 (撮影・西川祐介)
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実在した旧日本海軍の駆逐艦「雪風」と、太平洋戦争の史実を基に描いた映画「雪風 YUKIKAZE」(監督山田敏久)が終戦から80年を迎えた15日に公開され、艦長役で主演した竹野内豊(54)らが都内で舞台あいさつした。
イベントは戦没者への追悼の意を込め、約7秒の黙とうから開始。竹野内は「人々の記憶から戦争の実感が薄れる中、活字でなく映画で当時生きていた人々の心情や情景を深く体感してもらえれば、より多くの人の記憶に戦争を残すことができると思う」と力を込めた。
駆逐艦は「大和」や「武蔵」などの戦艦に比べて小型で軽量のため、あらゆる任務に駆り出された。兵員や物資の輸送、沈没艦の乗員救助でも活躍。雪風はその主力「甲型駆逐艦」38隻のうち、沈むことなく、ほぼ無傷で終戦を迎えた唯一の艦だ。そのため「幸運艦」とも呼ばれた。海外に残された日本人を本土に帰還させる復員艦としても、約1万3000人を帰国させた。
雪風が果たした役割にちなみ、竹野内が「今まで何げなく使っていた“助け舟”という言葉の本当の意味を感じることができた」とうなずく場面も。世界各地で紛争や災害が相次ぐ現状に触れ「多くの人が救いを求め、本当の意味で助け舟が必要な時代に、この作品が送り出されるのは偶然ではなく必然だったと思う」と話した。
80年が過ぎ、当時を知る人も少なくなった今だからこそ「この作品を世に送り出せることは本当に光栄」と、公開の意義をかみしめた。多くの日本人の命と未来をつないだ「雪風」のように、戦争の記憶を受け継ぐ映画になることを願っている。 (塩野 遥寿)
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