自分が帯文を寄せた本を紹介するのは気が引けるが、最近出たマイケル・ロブ『英国ブックセラーの歴史 出版・書店・販売』(大槻敦子訳、原書房、4620円)は興味深い。15世紀の印刷工房から現代まで500年以上にわたる英国の近代出版史、出版流通史を概観したものである。著者は英国で20年間にわたり独立系書店を経営していたが、チェーン店との競争に敗れて廃業。その後は出版社で販売の仕事をしてきた。

 読みどころは多いが、なかでも「書籍値引き禁止協定」の消滅とその後についての部分は日本の出版業界にとって重要だ。現代日本と同じように、英国でも1900年から書籍値引き禁止協定が結ばれ、すべての小売業者はあらかじめ決められた小売価格で本を売らなければならなかった。しかし、80年代末になるとチェーン店などから不満の声が上がり、91年から大手出版社が次々と協定を離脱した。そして95年に書籍値引き禁止協定…



残り576文字(全文970文字)


週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。


・会員限定の有料記事が読み放題

・1989年からの誌面掲載記事検索

・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)















Leave A Reply