朝日小学生新聞 奥苑貴世

 かわいいネコたちと都道府県について学べる本『楽しく覚える! ご当地ネコ 47都道府県』(講談社)が7月、発売されました。名産品や観光名所、ゆかりの歴史人物などと組み合わせた、ネコの切り絵とイラストが各ページにえがかれています。手がけたのは「切り絵クリエイター」として活躍する福岡県の小学6年生、末永健吾(KEN)さんです。(奥苑貴世)

大のネコ好き! 都道府県の勉強から「ご当地ネコ」誕生

KENさんは小さいころから絵をかいたり、折り紙をしたりするのが好きだったといいます。1年生のとき、色紙の切れはしなどを捨てるのがもったいないと思い、組み合わせて切り絵をつくりはじめました。切り絵でつくったネコを、お母さんがSNSで公開すると、人気が集まりました。

いまはグッズを売ったり、原画展を開いたりと、切り絵クリエイターとして活動しています。今年3月には、地元・福岡県直方市の「直方ふるさと応援大使」にも選ばれました。

KENさんが住む福岡県の名産品「辛子めんたいこ」のネコ KENさん提供

切り絵は、えんぴつで下がきをしたイラストを黒いペンで太めになぞり、カッターで切りぬきます。うらから色紙をはりつければ、完成です。

6匹のネコを飼っていて、大のネコ好きのKENさん。作品もすべてネコです。おすしと一体化した「すしネコ」や、給食着やランドセルを身につけた「学校ねこ」など、いろいろなシリーズの切り絵やイラストが生まれています。

高知県の偉人「坂本龍馬」のネコ。そっくりにするため、たくさんの写真を見てつくりました KENさん提供

そのシリーズの一つが、今回本になった「ご当地ネコ」。4年生の夏休みにつくりました。学校で都道府県の学習をしたとき「楽しく覚えることができないかな?」と思ったことがきっかけです。

本にも、くわしい切り絵のつくり方がのっています 『楽しく覚える! ご当地ネコ 47都道府県』(KEN/切り絵・イラスト、講談社)

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こうしてつくるよ

KENさん提供

①下がきを黒いペンで太めになぞります

KENさん提供

②なぞった線を残して中を切りぬきます

KENさん提供

③うらから色紙をはりつけ、最後にまわりを切り取ります

「武田信玄」ネコがお気に入り
よろい・家紋を細かく切り絵で 手には信玄餅!

山梨県の偉人「武田信玄」のネコ KENさん提供

4年生の夏休み、ご当地ネコの一つ目としてつくったのが、お母さんの出身地・宮崎県の特産物「マンゴー」のネコです KENさん提供

KENさんは切り絵で47都道府県の「ご当地ネコ」をつくり、4年生だった2023年の夏休みに1日1枚ずつ、SNSで公開しました。24年の夏には「2周目」としてイラストを制作。さらに今回本を出すにあたり、新しいご当地ネコも増やしました。本には、合計約200枚の切り絵とイラストがのっています。

KENさんは最初に本になると聞いたとき「びっくりしたし、うれしかったです」と、少しはずかしそうに話します。

見開きで一つずつ、都道府県を紹介しています。KENさんの切り絵とイラストを楽しみながら、地図や名産を学ぶことができます

調べて聞いて行ってみて

都道府県には、いろいろな特徴があります。例えば、名産品や観光地、ゆかりのある歴史人物など。KENさんはもともと、社会が得意だったわけではないそうです。本や教科書、インターネットなどで調べながら、それぞれの都道府県で何をえがくか、考えました。お母さんのSNSで、住んでいる人たちからおすすめを集め、参考にしたこともあります。

食べ物や建物などは、できるだけ本物を見てから、えがくことを心がけているといいます。例えば東京都の浅草寺(雷門)。インターネットなどで写真を見ることもできますが、実際に足を運んで、その場の空気を感じたり、自分で写真をとったりしました。

東京都の名所「浅草寺(雷門)」 KENさん提供

KENさんのお気に入りは、山梨県のページの「武田信玄」。いまの山梨を拠点に活躍したことで知られます。よろいや家紋のデザインを調べて、細かいところまで切り絵で表現しました。手には、山梨の有名な和菓子「信玄餅」を持っているのがポイントです。

「練習すること、あきらめないこと」

絵をかいたり、工作をしたりすることが好きな人たちも多いでしょう。でも、思うような仕上がりにならなかったり、上手にできずにくやしい思いをしたりすることもあるかもしれません。

アドバイスがあるか聞いてみると「練習すること、あきらめないこと」と、力強く答えてくれました。

KENさん自身も、切り絵やイラストが、すぐに納得のいく仕上がりにならないこともあると言います。そんなときは、実物や資料を何度も観察したり、かき直してみたりするそうです。しばらく日にちをおいてから、また取り組むこともあります。

最近は、5年生から始めたバスケットボールをがんばっているというKENさん。将来の夢は「切り絵クリエイターとバスケットボール選手の両立」だといいます。

自由研究のヒント

 住んでいる、または行ったことのある都道府県の名所や名産には、どんなものがあるかな?

(朝日小学生新聞2025年8月13日付)

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