『鬼滅の刃』『劇場版クレヨンしんちゃん』『ジュラシック・ワールド』『スーパーマン』『星つなぎのエリオ』『8番出口』など、話題の映画が目白押しの2025年夏。まだまだこれから公開される映画もたくさんある。そんな中、今年の夏はCMディレクターとしても活躍している監督たちが撮った映画の公開も目白押しだ。

関根光才監督『フロントライン』

まず現在、公開中の関根光才監督の『フロントライン』。

映画『フロントライン』本編冒頭5分映像

日本で初めて新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」での実話を基に、未知のウイルスに最前線で立ち向かった医師や看護師たちの闘いを描いた本作。監督・脚本を務めた関根監督は、すでに何本もの映画やドキュメンタリーを撮っているが、国内外で多くの広告賞を受賞した本田技研工業Sound of Honda – Internavi「Ayrton Senna 1989」や資生堂「HAKU」、最近では今田美桜さんが出演するCM「キリンウイスキー 陸」の演出も手がけている。また、近年は選挙に際してVOICE PROJECTを立ち上げ、「投票はあなたの声」と題した動画を公開。この動画は多くの人の共感を得て、「#わたしも投票します」というハッシュタグとともに拡散された。

浜崎慎治監督『ババンババンバンバンパイア』

映画『国宝』で注目を集めた俳優 吉沢亮が、今度は450歳のバンパイアとして登場したのが、浜崎慎治監督の映画『ババンババンバンバンパイア』。

映画『ババンババンバンバンパイア』【本予告】

浜崎監督はKDDI au「三太郎」シリーズをはじめ、家庭教師のトライ「教えてトライさん」、花王「洗濯愛してる会」、丸紅「できないことは、みんなでやろう。」など、皆さんがよく見るCMを数多く手がけ、ACCグランプリ、ACCベストディレクター賞、広告電通賞優秀賞、ギャラクシー賞CM部門大賞などを受賞。本作は、澤本嘉光さんの脚本による映画『一度死んでみた』に続く映画作品で、吉沢亮と再びタッグを組んでいる。CMのラインナップを見てわかるように、コメディは浜崎監督ならではの真骨頂。本作も楽しめること、間違いないだろう。

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山内ケンジ監督『アジアのユニークな国』

ミニシアターを中心に公開されている『アジアのユニークな国』の監督・脚本を手がけたのは、山内ケンジ監督。

『アジアのユニークな国』予告編

演劇プロデュースユニット“城山羊の会”の劇作家・演出家として、第59回岸田國士戯曲賞、第74回読売文学賞を受賞。本作が長編映画5本目となる山内監督は、かつてソフトバンクモバイルのCM「白戸家」シリーズ、古くはセガ「立つんだ!湯川専務」、「ナオミよ~」のセリフで知られるTBCなど、数多くのCMを手がけている。その中でも特に異彩を放っていたのが、1998年〜2021年に手がけていた静岡ローカルの新日邦「コンコルド」のCMだ。クリエイティブディレクター 黒須美彦さんは著書『映像と企画のひきだし』で、「山内さんのCMは、異質だ。異端だ、とも書ける。異常だ、は言い過ぎか、いやちょうどいいかも。」と評している。山内監督ならではの驚きのエピソードは、黒須さんの書籍でぜひご確認を。

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藤井亮監督『大長編 タローマン万博大爆発』

そして、ついにあの番組が映画に…‼8月22日に公開するのは、藤井亮さんの脚本・監督による映画『大長編 タローマン万博大爆発』。

映画『大長編 タローマン 万博大爆発』予告編(60秒)

映画の元になったのは、NHKで放映された『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』。もともとは展覧会のPR用映像としてスタートしたものだが、「1970年代に放送された特撮ヒーロー番組」という体裁のもと、岡本太郎のことばと作品をモチーフに制作。岡本作品をヒーローや奇獣に見立て、特撮とかけあわせた凝った番組づくりが話題になった。映画化にあたり、1話5分の物語が大長編に。かねてよりモキュメンタリー(フィクション作品をドキュメンタリーのように見せかける表現手法)やアニメーションで独特の世界観を見せてきた藤井監督。今回の映画の舞台は、「1970年代頃に想像されていた未来像」としての2025年【昭和100年】だ。タイトル通り、万博は本当に爆破されてしまうのだろうか……?そして現在、田園都市線にタローマンジャック電車が登場。映画館に行く前に、タローマンに会うことができるかもしれない

芳賀薫監督『風のマジム』

人気作家・原田マハさん原作で沖縄が舞台の『風のマジム』は、芳賀薫監督の初となる映画だ。

映画『風のマジム』本予告(105秒)

社内ベンチャーコンクールで選ばれ、沖縄のサトウキビでラム酒を作ることに挑む主人公を、朝ドラ『虎に翼』で話題を集めた伊藤沙莉が演じている。芳賀監督は、これまでにコカ・コーラジャパン 檸檬堂シリーズやJR東日本「JR SKISKI」シリーズ、NEWヤクルトなど、読者の皆さんにおなじみのCMやミュージックビデオを多く手がけている。また、近年はクリエイティブディレクターとしてブランディングやプロモーション戦略にも関わっている。本作の製作・配給のコギトワークスの公式YouTubeでは、芳賀監督のインタビュー動画を公開。企画の始まりから撮影時の話など、映画のさまざまなエピソードを聞くことができる。こちらの映画は沖縄では9月5日、それ以外の地域では9月12日に公開となる。

さて、ここからは少し先に公開となる映画をご紹介。

奥山由之監督『秒速5センチメートル』

すでにテレビCMなどのプロモーションが始まっているのは、『秒速5センチメートル』。

劇場用実写映画『秒速5センチメートル』予告

本作は、新海誠監督の劇場アニメーション『秒速5センチメートル』の実写版だ。“新海ワールドの原点”と言われ、不朽の名作と言われる本作を実写化したのは、奥山由之監督。フォトグラファーとして知られている奥山監督は作品集『Girl』で第34回写真新世紀優秀賞受賞を、『BACON ICE CREAM』で第47回講談社出版文化賞写真賞を受賞。これまでに数多くの写真集を出版している。また、大塚製薬「ポカリスエット」のCM、Mame Kurogouchiのムービー、米津玄師、星野源などのミュージックビデオの監督も務めている。2024年には、広瀬すず他、多くの俳優が出演した自主映画『アット・ザ・ベンチ』を制作した。ちなみに奥山監督の弟は、映画『ぼくのお日さま』を手がけた奥山大史監督だ。本作は、10月10日公開。

永井聡監督『爆弾』

日本最大級のミステリーランキング「このミステリーがすごい! 2023年版」(宝島社)、「ミステリが読みたい 2023年版」(ハヤカワミステリマガジン2023年1月号)で1位を獲得。そんな呉勝浩さんの小説を映画化したのが、山田裕貴主演、永井聡監督の『爆弾』だ。

映画『爆弾』特報(類家vsスズキ)

永井監督は、AOI Pro. CCO(チーフクリエイティブオフィサー)も務めるディレクター。大塚製薬 カロリーメイト「とどけ、熱量。」をはじめ、三井住友カード「Thinking Man」、富士フイルム「アスタリフト」など、話題のCMを数多く手がけてきたベテランディレクターだ。2014年に、澤本嘉光さん脚本の『ジャッジ!』で長編監督デビュー。その後、CMの仕事と並行して、『世界から猫が消えたなら』『帝一の國』『恋は雨上がりのように』『キャラクター』といった長編映画の監督を務めている。「原作の重厚感を表現する為こんなにも役者達と話し合い、掘り下げたのは初めてです」と永井監督がコメントを寄せている本作の公開は、10月31日。

長久允監督『炎上』

そして、こちらはまだまだ先の2026年春公開の映画だが、特報映像とティザービジュアルが公開されたのでご紹介しよう。森七菜主演、長久允さんの脚本・監督による『炎上』だ。

映画『炎上』2026年春公開

長久監督はCMプランナーを経て、映画監督に。デビュー作となる短編映画『そうして私たちはプールに金魚を、』は、米国・サンダンス映画祭で日本人として初グランプリを受賞。長編映画『WE ARE LITTLE ZOMBIES』はベルリン映画祭など37の映画祭で上映された。さらに『(死なない)憂国』『消えちゃう病とタイムバンカー』では、舞台演出も手がけている。2022年には、GUCCIの広告として満島ひかり主演の短編映画『Kaguya By Gucci』を制作し、話題を集めた。新作『炎上』は、長久監督が現場で取材を重ねながら5年越しで温めた渾身の企画とのこと。来年の公開が楽しみだ。

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