先週末(8月1日から8月3日まで)の北米興収ランキングは、マーベル・シネマティック・ユニバース最新作『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』(日本公開中)が2週連続でNo. 1を獲得。前回の当記事で、1億ドル超のオープニング興収をあげたMCU作品は過去19本中18本が興収3億ドルに到達していることから、本作もそれに続くと見込んだのだが、2週目末の成績を見る限り、やや厳しい情勢になりつつある。

2週目末の成績は、オープニングの3分の1…。3億ドル到達に黄信号!?2週目末の成績は、オープニングの3分の1…。3億ドル到達に黄信号!?[c]Everett Collection/AFLO

『ファンタスティック4』の週末3日間の興収は前週比32.9%の3869万5752ドルと、大きな下落に見舞われている。とはいえこれは、近年のMCU作品においておなじみの傾向。本作を除くコロナ禍以降に公開された13本を振り返ってみると、公開2週目にオープニング対比半減以内の興収に踏みとどまったのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME3』(23)の1本だけ、40%以上を保っていたのも3本のみ(直近の『サンダーボルツ*』もここに含まれるが、それはタイトル変更戦略の効果と見える)という、コロナ禍前よりも顕著な“初動型”興行が常態化している。

異例の興行的失敗に見舞われた『マーベルズ』(23)の22%は極端な例として、そもそもオープニング興収が高くないことで37.7%を維持できた『エターナルズ』(21)、逆に2億ドルに迫るビッグオープニングの勢いをなんとか残し36.7%だった『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(22)を除く6本が、オープニング週末対比30から33%の興収で2週目末を送っている。今回の『ファンタスティック4』もそこに加わるので、ちょうど半数のタイトルが2週目に興収が3分の1まで減少しているということだ。

閑散期の突入も近いサマーシーズン終盤、どれだけ数字を伸ばせるのか閑散期の突入も近いサマーシーズン終盤、どれだけ数字を伸ばせるのか[c]Everett Collection/AFLO

では、この6本が2週目末を過ぎた後にどのような推移を見せてきたのか。歴史的なオープニング興収と批評の高さなど話題性に富んでいた『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(22)以外の5作品の最終興収は、オープニング興収と比較すると2倍強。オープニング興収額以上の上乗せをすることができず、基本的にその6割から7割前後が2週目末終了時点の興収にプラスされていくイメージ(『ノー・ウェイ・ホーム』でもオープニングの128%しか上乗せできていない)で、作品評価が高ければ数字を伸ばしやすい傾向にあり、逆に作品評価の低さはあまり影響しない。

これらを踏まえると、オープニング興収1億1764万ドルで、2週目末終了時点で1億9712万ドルの『ファンタスティック4』が累計興収3億ドルに到達するのは決して不可能なことではないが、コロナ禍以降のMCU作品の傾向に合致してしまった以上、ハードルは高い。作品評価の高さを加味しても、サマーシーズン終盤は興行全体が落ち着くこともあり、2億7000万ドル前後か、良くても2億8000万ドルあたりでの着地が現実的なラインであろう。

【写真を見る】リーアム・ニーソンがコメディセンスを開花!名作コメディを体当たりでリブート【写真を見る】リーアム・ニーソンがコメディセンスを開花!名作コメディを体当たりでリブート[c]Everett Collection/AFLO

さて、新作タイトルではドリームワークス・アニメーションの新作『The Bad Guys2』が2位にランクイン。初日から3日間で興収2199万ドルという成績は、2022年の前作『バッドガイズ』のオープニングとの対比で92%。批評面も前作と同等の高さを維持しており、すでに企画が進行中と伝えられているシリーズ第3作も問題なく始動できることだろう。

そして、リーアム・ニーソン主演でレスリー・ニールセンの人気コメディシリーズ「裸の銃を持つ男」をリブートした『The Naked Gun』は、初日から3日間で興収1680万ドルと、ニーソンの主演作としては『96時間/レクイエム』(15)以降の10年間で最高のスタート。作品評価も抜群に高く、アクション俳優としてのポテンシャルの高さとナンセンスギャグの融合を体現したニーソンに、ゴールデン・グローブ賞候補を期待する声も見受けられる。オリジナルのようにシリーズ化される可能性も高そうだ。

文/久保田 和馬

Leave A Reply