被爆者の救護にあたった日本赤十字社の看護師たちの手記をもとにした、映画「長崎―閃光の影で―」。
9日に行われた 被爆80年の平和祈念式典にも参加した、長崎出身の被爆3世 松本准平 監督に思いを伺いました。
映画のメガホンをとった、長崎出身の被爆3世 松本准平監督 40歳。
(松本准平監督)
「(児童が合唱した)クスノキは、やっぱり感動してしまって口ずさみながらちょっとうるっときた」
今月1日から全国公開されている映画「長崎―閃光の影で―」
舞台は、1945年の長崎です。
一発の原子爆弾によって焼き尽くされたまちで、3人の看護学生が救護という使命を全うしようとした姿を描きます。
被爆者の救護にあたった「日本赤十字社」の看護師たちが、被爆から30年後にまとめた手記『閃光の影で』をもとに脚本がつくられました。
3人の看護学生を演じたのは、菊池 日菜子さん、小野 花梨さん、川床 明日香さんです。
(菊池 日菜子さん)
「作品に入る前に手記を勉強した。いよいよ他人事じゃなくなったと思った」
そして今回、松本監督が特別出演をオファーしたのが…
長崎市の福祉施設に入居する、山下フジヱさん 95歳。
原爆投下後の長崎市で救護にあたった元看護学生で、手記を寄せた中で、ただ一人の生き残りです。
(山下フジヱさん)
「運び込まれて死亡され、赤子は死んだ母親の乳房に縋り付きながら、一生懸命 吸い上げていた」
あの夏、市内の救護所で多くの命を見送った山下さんの手。
戦後は日赤長崎原爆病院や訪問看護などで、人生のほとんどを “被爆者の看護” に尽くしました。
(山下フジヱさん)
「世界中に健康でどこへでも行き来できて、暮らせる地球、世界ができればいいと心から思う。祈りたい」
被爆80年を迎え、松本監督は映画に託す思いを改めてこう語りました。
(松本准平監督)
「できるなら8月6日と9日だけではなくて、毎日思いが続いていってどんどん大きくなって、世界中の平和につながっていくようなことになればいい。そのために、この映画がその役割の一端を担えるなら幸せ」
映画「長崎―閃光の影で―」は、全国の映画館で公開中です。