美術館に行っても「きれい!」「すごい!」「ヤバい!」という感想しかでてこない。でも、いつか美術をもっと楽しめるようになりたい。海外の美術館にも足を運んで、有名な絵画を鑑賞したい! そんなふうに思ったことはないでしょうか? この記事では、書籍『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』から、ご指名殺到の美術旅行添乗員、山上やすお氏の解説で「知っておきたい名画の見方」から「誰かに話したくなる興味深いエピソード」まで、わかりやすく紹介します。(初出:2024年3月23日)
『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』より
美しき「フェルメール・ブルー」に秘められた黄金の価値
この絵は別名「青いターバンの少女」と呼ばれているのをご存じですか?
――聞いたことがあります! 確かにどちらかというと真珠の耳飾りより青いターバンの方が目につきますよね。
そうですね。このターバンは当時のオランダの一般的な衣装ではなく、おそらくトルコのあたりのファッションが影響していると言われています。
――トルコ? なんでまたそんな遠くの国なんですか。何か関係があったんでしたっけ?
その頃トルコはオスマン帝国という名前で、しばしばヨーロッパを脅かす存在でした。しかし、それと同時にヨーロッパとは完全に異なる文化を持ち、異国情緒に溢れる彼らは、ある種の憧れの対象にもなっていたんです。
――えー! そんなことが…。「嫌よ嫌よも好きのうち」ってやつですかね?
うーん、そうなような違うような…(汗)。そして、このターバンの青色が素晴らしいんですが、この青色にはなんと…宝石の粉が使用されているんですよ!
――宝石の粉!! そ、そんなことがあっていいんですか!?
すごいでしょ? この青はその当時アフガニスタンでしか産出されていなかったラピスラズリという宝石から作られています。ラピスラズリを鉄の棒で砕き、それをふるいにかけ、細かい粒子にしたものを油と混ぜて絵具にする…。これがウルトラマリン・ブルーと呼ばれる絵具になったのです。
――ウルトラマリン・ブルー…。名前までかっこいいですね!
そうですね、「海を越えて渡ってきた青」という意味です。青色の元になる石は他にもあったんですが、こんなに美しい青色になるものはなかったんですね。
――お~。なんかロマンを感じる! でも…お高いんでしょう?
テレビショッピング? (笑) それがそうでもないんです!! …と言いたいところですが、おっしゃる通りめちゃめちゃ高いです。なんといっても当時は黄金にも匹敵するほどの値段だったというんですからね。
――金と一緒の値段!! そんな高価な絵具をこんなに使えたなんて、そんな…。
フェルメールにはパトロンがいましたからね!
――なるほど! すごい、いろいろ繋がっていきますね!
それも面白いでしょ? ぜひ、この美しい「フェルメール・ブルー」とも呼ばれる青に注目してみてくださいね!
――はい! ロマンを持って見ます!
(本記事は山上やすお著『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』から一部を抜粋・改変したものです)
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知識ゼロからの
有名美術をめぐる旅!
◎世界の美術館に足を運び、誰もが知る名画を目にしたときの感動を味わえる1冊。
◎著者はご指名殺到の旅行添乗員・アート系YouTuberの山上やすお氏。
◎著者との会話文形式で、絵の見方や関連知識、時代背景も自然と学ぶことができる。
《目次》
第一部 世界の有名美術をめぐる旅
1日目 フランス・パリ
ルーヴル美術館でダ・ヴィンチの「モナ・リザ」を観る
2日目 イタリア・フィレンツェ
ウフィツィ美術館でボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」を観る
3日目 オランダ・ハーグ
マウリッツハイス美術館でフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」を観る
4日目 ノルウェー・オスロ
ムンクでムンクの「叫び」を観る
5日目 イギリス・ロンドン
ロンドン・ナショナル・ギャラリーでゴッホの「ひまわり」を観る
6日目 オーストリア・ウィーン
ベルヴェデーレ宮殿でクリムトの「接吻」を観る
7日目 バチカン市国
システィーナ礼拝堂でミケランジェロの「最後の審判」を観る
8日目 ロシア・サンクトペテルブルク
エルミタージュ美術館でレンブラントの「ダナエ」を観る
9日目 フランス・パリ
オルセー美術館でモネの「睡蓮」を観る
10日目 アメリカ・ニューヨーク
メトロポリタン美術館でティファニーの「オータム・ランドスケープ」を観る
11日目 スペイン・マドリード
ソフィア王妃芸術センターでピカソの「ゲルニカ」を観る
第二部 日本の有名美術をめぐる旅
12日目 東京都・上野
東京国立博物館で葛飾北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」を観る
13日目 島根県・安来市
足立美術館で横山大観の「紅葉」を観る