「検証」とは名ばかりのお粗末な内容だった

フジテレビの検証番組は、中居正広問題を掘り下げるでもなく、社内に蔓延する女性社員差別に切り込むでもなく、自己弁護に終始した2時間であった。日曜日の朝10時から放送するという設定から、フジテレビ側の「本気度」が危ぶまれたが、検証とは名ばかりのお粗末な内容だった。


株主総会を終え、記者の質問に答えるフジテレビの清水賢治社長=2025年6月25日、東京都港区

写真=共同通信社

株主総会を終え、記者の質問に答えるフジテレビの清水賢治社長=2025年6月25日、東京都港区


その場に元新聞記者でノンフィクションライターの男性とコンサルタントの女性がコメンテーターとして出席したが、なぜ彼らを出す必要があったのか、最後まで理解できなかった。


中居正広問題を“隠蔽”する中で、あったであろうフジ上層部と中居側との談合内容をさらけ出すわけでもなく、日枝久体制の暗部に迫るでもない。あまりにも総花的で表面をなぞるだけの内容で、真っ当に批判する気にもなれない。


中居正広とフジの女性アナとの間を仲介した元編成部長、社内で数々のセクハラ事案が明らかになった反町理氏、諸悪の根源である“ドン”日枝久氏に話も聞けていないのは、清水賢治社長を含めた現執行部が彼らを恐れ、追及に「及び腰」だからである。


ジャーナリストの横田氏が日枝氏を直撃すると…

ちなみに週刊ポスト(7月18・25日号)で、ジャーナリストの横田増生氏は、株主総会に欠席した日枝氏を電話で直撃している。


横田氏は、株主総会で日枝氏に質問したくてフジの株を買ったそうだ。だが、6月25日の総会に、日枝氏は姿を現さなかった。


総会で、金額はわからないが相当な額の役員退職慰労金が支払われると知り、どういうルートか知らないが、日枝氏の携帯に電話するのである。報道に携わる者はこうでなきゃあいけない。


――日枝さんに役員退職慰労金として20億円超が支払われるかもしれないという話があります。


「そんなのあり得ません! あり得ません‼ 本当にあり得ないですから」


――それならいくら支払われるんでしょうか。


「それは言う必要ないけれど、うちはね、退職(慰労)金制度は08年からないんですよ」


――でも、日枝さんは08年以前から取締役を務めているので、会社側は役員退職慰労金が支払われると言っています。


「それはあるんですよ。会社の棚卸資産だったかな、そこに貯めておいて退職する時に支払うんです。今回、3人に払うそうですよ。ボクと、(フジテレビ前副会長の)遠藤(龍之介)君と、監査役の尾上(規喜)さん。正確じゃないよ。ボクは執行部でもないし、人事担当でもないから。退職金はないんですよ」


横田氏は、なぜ株主総会に出なかったかも聞いている。


「もう少し勉強してきてよ。骨が折れちゃって動けないんですよ」


ほとんど日枝氏は何も答えていないのだが、このしつこさがいい。


フジテレビの検証番組がダメなのは、自社の膿を徹底的に出し切って再生しようという覚悟や執念が感じられないからである。


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