
BCLカンパニーは、美容家電ブランド「マスターモイスト(MASTER MOIST)」を立ち上げた。第1弾として“ヘアドライヤー イオニス”(全2色、各450g※本体のみ、各3万9600円)を8月5日に発売する。公式ECサイト、楽天、アマゾンなどのオンライン展開を中心しつつ、蔦屋家電や定期的なポップアップでリアルなタッチポイントを創出する。
拡大して単価も上がる
ドライヤー市場
同社は全体として鈍化傾向にある家電市場の中で、右肩上がりに成長を続ける美容家電市場の盛り上がりに着目。33年にはドライヤー市場規模は約1600億円に拡大するというデータ(imarc/富士経済調べ)や右肩上がりに高まる平均価格を背景に本格参入を決めた。
開発にあたり、「美容課金ニーズの高まり」と“風呂キャン界隈”といった言葉の普及にも現れる「日常ルーティーンの煩雑さ」に目を向けた。「美容はしたいが面倒くさい」という“ねじれた”心理に着目し、簡便性と高性能を両立した家電による解決を目指した。
ミッションに掲げるのは「高価格帯ドライヤーの民主化」。平均価格の高まりで“高価格帯”の定義も曖昧になりつつあるが、一般的には3万円以上は“高価格帯”と認識されやすく、心理的ハードルが高まるゾーンだ。“価格の壁”を越えてより多くの人にリーチするために、機能性と使いやすさの両立を重視。ターゲットには美容高感度層のみならず、ファミリーユースや高齢者も見据える。
“乾かす”ではなく“潤す”
スキンケア視点のドライヤー開発
「マスターモイスト」は「スキンケア発想の美容家電ブランド」として開発。“ヘアドライヤー イオニス”はコンセプトに「ドライヤーは“乾かす”から“潤す”時代へ」を掲げる。
髪の水分量に着目し、理想的な水分量とされる13〜15%の状態を保つ独自技術を採用。美容師のブロードライ技術を参考に温度、風量、ブロー秒数を設計し、7分間の自動プログラムで簡単に“サロン帰り”の髪のような仕上がりをかなえる。さらに、マイナスとプラスの電極を帯びたプラズマイオンを搭載し、キューティクルを引き締めて滑らかにしながら頭皮環境も健やかに整える。
モードは、“速乾美髪”“ケア美髪”“モイストスイング”“スカルプケア”“カスタムケア”の5種を用意。液晶ディスプレイや450gの軽量設計、手を離すと自動で停止するセンサー機能など、使いやすさにも配慮した。

化粧品事業の限界と新領域への挑戦
同社は1979年に化粧品事業に参入して以降、「サボリーノ(SABORINO)」や「乾燥さん」などのセルフ型化粧品ブランドを中心に展開してきた。国内は約6万店におよぶドラッグストアやGMS、コンビニエンスストアに展開しており、海外でも40カ国に輸出している。アジア圏に重点を置いて販路を拡大してきたが、近年は韓国コスメの盛り上がりを背景にヨーロッパ市場に注力している。
一方で、「化粧品単体で世界市場で戦うことに限界を感じる」(大村和重カンパニーエグゼクティブプレジデント)との考えから、24年4月に「おやすみタンパク」でインナービューティ領域に参入。立て続けに25年3月に「インコスメ」を投入した。今回の美容家電ブランドも海外市場展開を見据えており、海外市場を見据えた事業の多角化の一環だ。
今後は食領域にも参入予定で、将来的に「ライフスタイル全体をトータルでサポートできる企業」の姿を見据える。「1つの矢では専業ブランドには勝てない。しかし私たちは化粧品を起点にあらゆるカテゴリーを総合した価値を強みに、『人を笑顔にするものを総合的に提供できる会社』として30年には世界に飛びたつことを目指す」(大村カンパニーエグゼクティブプレジデント)。
