公開日時 2025年07月23日 13:43更新日時 2025年07月23日 13:44
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岩切 美穂
芸能実演家でつくる沖縄芸能連盟は3日、那覇市の琉球新報ホールで2025年度定期総会を開き、「組踊音楽歌三線」人間国宝の西江喜春が会長に就任した。音楽団体の役員改選に伴い、仲宗根巴津美、宮城能造、玉城静江、比嘉早苗が副会長に、副理事長に親泊ナミらが新任された。新会長の西江に抱負を聞いた。
―組織運営にどう取り組むか。
「少子化に伴いコンクールの受験者数が少なくなってきている。現状の数を何とか維持したい。そのためには、踊りや三線を現在やっている人たちが継続していける環境づくりを理事らと一緒に考えていきたい」
―人材育成の課題は。
「連盟として直接ではなく、各流派の育成の取り組みを支援する形。一番大事なのは子ども大会だ。子どもたちが芸の道を続けていく上で高校受験、大学受験が一つの壁になっている。受験に本腰を入れるために1年間は芸を休まねばならない。これはしょうがないが、受験が終わったら、学校で郷土芸能部に入るなどして芸を続けられるといい。特に踊りが戻りにくい傾向がある。教え手側の努力だけでなく、学校側との連携も必要だ。三線の分野で学校と連携する取り組みがあり、協力していきたい」
―昔と比べて学ぶ環境の変化は。
「僕らの時代は『高校卒業まで三線はやってはいけない』と言われ、学ぶ環境もなかった。僕の場合は伊平屋村から名護高に進み、寮で三線をやっている同級生がいて、私は歌が好きだったので合わせて歌ったりしていた。同級生で三線ができたのは2~3人だった。今は親の理解もあって、小学校に三線クラブがあったりする。高校生が三線で独自に作曲を楽しんだりするところまで来ているが、古典の世界はまだまだ人口が少ない。受験の壁を乗り越え、継続させることが課題だ」
(聞き手・岩切美穂)