自分のあり方をどう捉えるかという「自己肯定感」が、日々のスキンケア行動や化粧品の購買心理にまで影響を及ぼしている可能性が、アイブリッジ社が実施した調査によって示された。
この調査は、自己肯定感の高い層と低い層で、美容習慣にどのような違いが生まれるのかを浮き彫りにしている。
ケアの多様性に表れる、自分への関心
調査結果でまず明らかになったのは、自己肯定感の高い人ほど、日常的に行うスキンケアの種類が豊富であるという事実だ。
「クレンジング・洗顔」や「乳液」といった基礎的なケアの実施率において、自己肯定感の高い層は低い層を10ポイント以上も上回った。
この傾向は、プラスアルファのスペシャルケアにおいてさらに顕著になる。「シートマスク」や「クリーム」の使用率でも同様に10ポイント以上の差が見られ、特に「美顔器」に至っては、自己肯定感の高い人の使用率は低い人の2倍以上に達したという。
この結果は、自己肯定感の高さが、肌と向き合う時間や手間を惜しまない、多様なケアの実践へと繋がっている可能性を示唆している。
© アイブリッジ株式会社
「価格」で分かれる購入時の判断軸
情報収集の手段に目を向けると、両層ともに「Instagram」「口コミサイトやレビュー」「店頭での試用」を重視する点は共通していた。しかし、商品を実際に購入する段階になると、その判断基準に明確な違いが現れる。
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最も顕著な差が見られたのは「価格」に対する意識だ。
自己肯定感の低い人の方が、価格を重視する傾向が15.93ポイントも高い結果となった。
調査の総括によれば、自己肯定感の高い層は価格よりも「自分に合うかどうか」や「品質」を優先し、低い層は失敗を避けたいという思いから「みんなが使っている」といった確実性やコストパフォーマンスを求める傾向が強い。
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心の状態に合わせたアプローチの必要性
この調査は、自己肯定感の高低が、スキンケアの選択から購入に至るまでの一連の行動に広く影響を与えていることを明らかにしている。
同じ商品を訴求するにしても、ターゲット層の心理状態に合わせた微調整が必要になると、レポートは結論付けている。
例えば、自己肯定感の高い層には、豊富な商品ラインナップやブランドの価値を伝え、「自分を大切にする」「ご褒美感」といった情緒的な価値を訴えることが響きやすい。
一方で、自己肯定感の低い層に対しては、ランキングや受賞歴といった「安心材料」を提示し、「コストパフォーマンスの良さ」や「確かな効果」といった実利的な価値を訴求することが有効だと考えられる。
スキンケアマーケティングにおいて、顧客の心理的要因がいかに重要であるかを示す、興味深い調査結果だ。
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調査レポートのダウンロードは当リンクより。
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