<<市場規模>>
■2024年度の電子書籍市場規模は前年比3.9%増の6703億円
2024年度の日本国内の電子書籍市場規模※1は6703億円と推計され、2023年度の6449億円から254億円(3.9%)増加しています。今後、2029年度には8000億円弱に成長すると予測されます。
【図表1. 電子書籍の市場規模予測】
※1 電子書籍の市場規模の定義:電子書籍を「書籍や雑誌に近似した著作権管理のされたデジタルコンテンツ」とし、配信された電子書籍(文字もの、電子コミック、写真集、電子雑誌等)の日本国内のユーザーにおける購入金額の合計を市場規模と定義。月額定額制の利用料金やマンガアプリの課金額も含む。スマートフォンの縦スクロールで読むことに最適化された作品も含む。ただし、電子新聞や、教科書、企業向け情報提供、ゲーム性の高いもの、学術ジャーナルは含まない。また、ユーザーの電子書籍コンテンツのダウンロード時の通信料やデバイスにかかわる費用、オーサリングなど制作にかかわる費用、配信サイトやアプリ上の広告も含まない。
■2024年度の電子コミック市場規模は5878億円に増加、文字もの等と雑誌も増加
2024度の電子書籍市場規模のうち、コミックが前年度から231億円増加の5878億円(市場シェア87.7%)、文字もの等(文芸・実用書・写真集等)が同12億円増加の605億円(同9.0%)、雑誌が同11億円増加の220億円(同3.3%)となっています。
【図表2. 電子書籍市場規模のジャンル別内訳】
<<利用率調査の結果>>
■有料電子書籍利用率は17.8%、有料での利用率は4年連続で減少
モバイル機器(スマートフォン・タブレット)ユーザーに対して、この1年間の電子書籍の利用率を調査したところ、有料の電子書籍利用率は17.8%となりました。コロナ禍の2021年をピークに4年連続して低下しています。一方、無料の電子書籍のみの利用率は28.3%となり、昨年から0.5ポイント減少となりました。
有料での利用率が高いのは男性30代の25.7%、男性20代の24.7%、男性40代の23.5%、女性30代の21.7%の順であり、男女とも30代の有料での利用率が最も高い状況です。多くの年代で昨年調査時よりも有料での利用率が低下しています。
また、無料の電子書籍のみの利用率が最も高いのは女性10代の46.9%で、女性30代の34.2%、女性20代の33.1%と続きます。
【図表3. 電子書籍利用率の推移】
【図表4. 性年代別電子書籍利用率の推移】
■オーディオブックは利用率、利用意向ともに拡大傾向
オーディオブックとは、ナレーターが本を朗読したもので、耳で聴く本といえます。オーディオブックの利用経験と利用意向を聞いたところ、「よく利用する」が2.6%、「たまに利用する」が6.8%となり、それらを合わせたオーディオブックの利用率は9.4%となりました。利用率は昨年の8.3%、一昨年の8.8%と比較しても大きく、利用は拡大しています。また、「利用したことはないが、利用したいと思う」と回答した利用意向を持つ人は21.0%となり、昨年から1.2ポイントの増加となっています。
【図表5. オーディオブックの利用率の推移】
Web小説とは、インターネット上の小説投稿サイトで公開される小説のことで、ケータイ小説、オンライン小説、ネット小説等とも呼ばれています。近年、Web小説はコミックの原作としての役割も大きくなっています。Web小説の利用経験と利用意向を聞いたところ、「よく利用する」が4.4%、「たまに利用する」が11.1%となり、それらを合わせた利用率は15.5%となっています。
【図表6. Web小説の利用率】
<<電子書籍利用者実態調査の結果>>
■ピッコマとLINEマンガの2強が伸長
有料、無料を問わず電子書籍を利用していると回答した人に、利用している電子書籍サービスやアプリを聞いたところ、「ピッコマ」が36.6%がトップで、「LINEマンガ」が32.3%で続きます。以下、「Kindleストア」が20.5%、「少年ジャンプ+」が20.4%、「コミックシーモア」が15.2%の順となっています。昨年調査時から、「ピッコマ」や「LINEマンガ」を利用している割合が増加しています。
【図表7. 利用している電子書籍サービスやアプリ名(複数回答、上位20位まで)】
※回答総数3588のうち、当該設問の無効回答を除いて集計している
利用している電子書籍ストアやアプリのうち購入・課金したことのある電子書籍ストアやアプリを聞いたところ、「Kindleストア」が28.6%で最も高く、2位に「ピッコマ」が23.7%、3位に「LINEマンガ」が19.8%で続きます。昨年と比較すると、上位の3サービスやアプリの顔ぶれは同じで、いずれも割合は増加しています。
【図表8. 利用している電子書籍サービスやアプリのうち購入・課金したことのあるサービスやアプリ(複数回答、上位20位まで)】
※有料電子書籍利用者1503人のうち、当該設問の無効回答を除いて集計している
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