スーパー戦隊シリーズ『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(2019)でピンク役を務めた俳優の尾碕真花(おさき・いちか=24)がMBS連続ドラマ『コールミー・バイ・ノーネーム』(MBS木曜深夜1時29分ほか、TVerなど配信)でドラマ初主演を務めた。昨年はNHK連続テレビ小説『虎に翼』にも出演した若手注目株にとって、初主演はどんな経験になったのか。(取材・文=平辻哲也)

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 尾碕は2012年の第13回全日本国民的美少女コンテストで審査員特別賞を受賞し、芸能界入り。『リュウソウジャー』のピンク役で注目を集め、22年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、昨年は連続テレビ小説『虎に翼』、Netflixシリーズ『恋愛バトルロワイヤル』など話題作に出演する若手の注目株。特に『虎に翼』ではヒロイン、猪爪寅子(伊藤沙莉)の相手役となる裁判官・星航一(岡田将生)の娘、のどか役を好演した。

「朝ドラは出番も多く、貴重な経験になりました。現場では岡田さん、伊藤さん、(長男役の)井上祐貴さんも優しくて、最初はとても緊張していたのですが、途中から現場に行くことが楽しくなり、緊張もほぐれて、自然に演技ができるようになりました」と振り返る。

 そんな経験を経て、『魔進戦隊キラメイジャー』(20)のピンク役の工藤美桜(25)とともにダブル主演を担う同ドラマはミステリー小説の名手・斜線堂有紀氏による同名人気ガールズラブ小説が原作。大学生の世次愛(よつぎ・めぐみ)と、謎めいた女、古橋琴葉のスリリングな恋の行方を描く。

 尾碕が演じる琴葉は、いろんな人の家に泊まっては、期間限定の“儀式”を楽しむ女。愛はそんな琴葉にひかれ、友達になることを提案するが、琴葉は「恋人になりたい」と言う。もし、自分が「琴葉」になる前の本当の名前を当てられたら、望み通り、友達になると提案するが……。

「難しい役だと思いました。これまでの役は自分とあまりずれがなかったので、心情も想像しやすかったのですが、今回はまったく想像がつかなかったんです。原作には台本には描かれていない感情などもあったので、原作と台本を行き来して、大切な言葉にはマーカーを入れたりしました。キャラがブレないように意識しました」

 特に難しかったのは琴葉のミステリアスな面と色気だ。尾碕本人はおしゃべりだそうで、性格は正反対。

「私は、矢継ぎ早にしゃべるタイプなんですけど、琴葉は間を作ってしゃべる子。ちょっと気を許してしまうと、自分が出てしまい、『これは琴葉だぞ』と言い聞かせたこともありました。ただ、意志が固いところ、自分自身の評価の方を大切にすることは似ています。多分、琴葉は傷つくのが怖くて、いろいろなことから逃げてきた子。私も傷つかないように防衛していることもあるので、そういうところはちょっと似ているのかな」

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