REVIEW
いろいろな意味で残酷。絶対起きてはならない出来事でありながら、どこで起きてもおかしくない出来事ともいえて、胸がとても痛くなるストーリーです。最初にお伝えしておくと、本作には性暴力描写や自死描写が含まれています。
大人のエヴァ(シャーロット・デ・ブリュイヌ)はとても内気な様子で、心に抱えているものがあることがうかがえます。また、SNSで友人らしき人達の投稿を意味深に眺める姿から、過去に何かあったと伝わってきます。そして、過去の回想シーンと現在を行ったり来たりしながら、エヴァに何が起きたのかが明かされていきます。
13歳の頃のエヴァ(ローザ・マーチャント)は近所に住む幼馴染みの男子2人といつも連んでいて、“三銃士”と呼ばれるほど仲良くしていました。でも、思春期の3人はそれまでと同じ関係ではいられなくなっていきます。本作では、心と体が成長期にいる子ども達が、遊びをエスカレートさせた先で取り返しがつかないほどに人を傷つけてしまう様子を生々しく映しています。
子どもと大人の境目、異性として意識するかどうかの境目、親友として信じられるかどうかの境目、遊びの範囲かどうかの境目と、さまざまな境目が本作には描かれています。そして、その境目が見誤られた結果、大きな過ちを生んでしまいます。さらに、3人の周囲にいる人物との関わりも問題の引き金になる点で、誰にも助けてもらえない絶望的な状況がエヴァを追い詰めていることが伝わってきます。エヴァを観ていると、居場所の無さも問題に巻き込まれる大きな要因になっていたと感じます。
鑑賞後は、とてもやるせない気持ちでいっぱいになります。エヴァを傷つけた出来事はさまざまな状況の積み重ねで起きたともいえて、どうすれば良いのか、どうすれば良かったのかなんて簡単には語れません。とにかく、これが絶望感なのだなと思い知らされます。
デート向き映画判定
かなり重い内容なので、デートで観るには不向きです。精神的に耐えられる場合は1人で観るのもありですが、人によっては辛さを感じる場合もあるので、何でも話せる友達と観るほうが良いかもしれません。
キッズ&ティーン向き映画判定
自分の身を守るために、こういうことも起こりえると知っておくことは大切だと思います。ただし、かなり衝撃的で、とても怖いと感じる内容なので、気軽にオススメはできません。観た後に1人で抱えるのも重いと思うので、中学生以上の方が観る場合でも、感想を話し合える人と一緒に観ると良いでしょう。
『MELT メルト』
2025年7月25日より全国順次公開
PG-12
アルバトロス・フィルム
公式サイト
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©Savage Film – PRPL – Versus Production-2023
TEXT by Myson
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情報は2025年7月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。