女優・森七菜

 

 吉沢亮主演、横浜流星が共演する映画『国宝』が、6月6日の公開から7月13日までの38日間で観客動員数398万人、興行収入56億円を突破したことが興行通信社調べでわかった。

 

「本作は小説家・吉田修一さんの同名小説が原作です。任侠一家に生まれながらも歌舞伎役者の家に引き取られた喜久雄(吉沢)と上方歌舞伎の御曹司、俊介(横浜)の2人が“歌舞伎の道”に人生を捧げた軌跡を描く物語です。

 

 

 吉田さんは、本作に出演するとともに歌舞伎指導も務めた中村鴈治郎さんの元で3年間、歌舞伎の黒衣として楽屋で過ごした経験を元に書き上げたといいます」(芸能記者)

 

 吉沢と横浜は、歌舞伎の基本であるすり足など足の運び方、視線の投げ方、頭の動かし方、シナの作り方などを徹底的に学び、日本舞踊の習得にも時間を費やし、作中ではすべてを自身で演じ切ったという。

 

「2025年最大のヒット作」の呼び声が高い本作だが、主演の吉沢らと並んで評価を得ているのが森七菜だ。

 

 森は歌舞伎役者・吾妻千五郎(中村鴈治郎)の娘で、喜久雄の妻になる彰子を演じている。

 

 落ち目になっていく夫を支え続けるうちに、あどけない女性が意志の強い女性に変わっていく様を、森が葛藤のなかで見事に演じている。出演時間はさほど多くないが、「父と夫の間で揺れ動く気持ちが伝わり、作中の存在感は抜きん出ていた」(民放ディレクター)という。

 

 X上でも、

 

《森七菜は『国宝』での演技で圧倒されました》

 

《森七菜演技上手いな》

 

《森七菜はもっと評価されて良いと思う》

 

 など『国宝』での演技を称賛する投稿が書き込まれている。

 

 森は2016年にスカウトされ、2017年の『心が叫びたがってるんだ。』で映画デビュー。直後にドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)に出演して話題になり、その後も2020年のNHK連続テレビ小説『エール』などに出演し注目された。

 

 テレビ評論家でライターの吉田潮氏は、映画デビューから2年後の2019年に公開された『最初の晩餐』を観て衝撃を受けたという。

 

「戸田恵梨香さんの幼少期を演じていました。親が再婚同士で、慣れない環境の中で食卓を囲むシーンがありましたが、とても自然体で演じていたことに驚きました。

 

 それ以降、出演作品が増えたのも納得です。ただ、テレビドラマでは、あまり作品に恵まれていない気もしていました」

 

 その「恵まれない」一因は、小動物を思わせる可愛らしい顔立ちと元気な役が多いことから「天真爛漫で活発な女の子」(ドラマディレクター)というイメージが強すぎるせいかもしれない。そんな森の転機になったのが、2021年の事務所移籍だと言われている。

 

「森さんを芸能界に導いた当時の事務所社長が突然、他界しました。その後、ずっと面倒を見てくれたマネージャーも退社。そのため森さんも事務所を辞める選択をしたようです。数カ月後に、俳優では石黒賢さん、二階堂ふみさん、土屋太鳳さんらが所属する大手の『ソニー・ミュージックアーティスツ』に移りました。

 

 移籍後の森さんの代表作として『真夏のシンデレラ』(2023年・フジテレビ系)があります。タンクトップ、ショートパンツ、ビーチサンダルという恰好こそ『森さんらしいイメージ』の主人公を演じましたが、性格も生い立ちも考え方も全く違う2人の男性との間で思い悩む女性という役どころで、その心理描写の上手さに良い意味でイメージを裏切られました」(前出・芸能記者)

 

 そして今回の『国宝』の演技。恩人との別れと事務所移籍が、俳優・森七菜を飛躍させたのだろうか。

 

「元気で健気な役より、野生味がある森七菜さんが観たいですね」と期待を込めた吉田氏。天真爛漫な女の子のイメージから演技派の本格派女優へと、今後も活躍の幅を広げていきそうだ。

 

Leave A Reply
Exit mobile version