ミュージカル「ブラック・ジャック」に出演する矢吹奈子(撮影・井利 萌弥)
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 女優の矢吹奈子(24)が出演するミュージカル「ブラック・ジャック」が、6月28日に開幕。初挑戦となるミュージカルでピノコ役を好演している。本紙の取材に応じ、本格化した女優業への重いを語った。

 ブラック・ジャックに恋をする、小さな女の子の助手。「~でちゅ」という幼い話し方のキャラクターで、生死を巡る重いストーリーの中、観客の心を和らげる。子供らしい言動が特徴的な役柄だが、まるで小学生のような声色を見事に演じ、ピノコそのものと言える憑依っぷりを披露した。

 矢吹によると、舌足らずな話し方も自然な発声になるよう務めた他、劇中歌もわざと音を外したり、リズムをずらして、幼さを表現したという。「最初は“これで合ってるのかな”っていう不安があったんですけど、だんだん感覚をつかんできて、稽古が楽しくなっていきました。実際に初日を迎えると、お客さんが入っているときの方が緊張しなかったです」と自信に満ちた表情を見せた。

 0歳から子役として活動し、HKT48ではセンターを務めた矢吹。韓国にわたって「IZ*ONE」のメンバーとしても活躍するなど、表現力と歌唱力は折り紙付きだ。HKTを卒業して芝居の世界に飛び込んで2年がたつが、女優業はこれまでの経験と全く別物だという。「舞台は、カーテンコールのときになってやっとほっとする。それまではずっと緊張感が続いているんです」と語る。

 今回のミュージカルで初めて客前で演技。演出家の栗山民也氏からは「お芝居は、お客さんに見せるためだけじゃない。舞台に立つ前に、せりふを全部忘れろ」と指導を受けた。「お客さんに見せようと意識しすぎると、ここでウケさせようとか、笑いが起きるようにわざと強い言い方をしちゃうけど、自分の感じるままに動こうと思いました。確かにそうやってやらないと立てないよなと。たくさん学ぶことがありました」とかみしめた。

 今年は、TBS日曜劇場「御上先生」や、映画「君がトクベツ」などに出演。下半期にも連ドラ版「君がトクベツ」やミュージカル「サムシング・ロッテン!」を控えるなど、女優業で大活躍だ。芝居のやりがいは「うまくいったと思っても、映像で見ると“あれ?”ってなったりする。逆もそう。やっているときの感覚だけじゃ分からないのが、難しい部分であり、面白い部分でもある」。貪欲に模索を続け、女優としてさらに活躍の幅を広げていく。

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