Viral Chart Focus

 Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの7月2日付のTOP10は以下の通り(※1)。

1位:REN「DAYBREAK」
2位:原摩利彦 feat. 井口理「Luminance」
3位:Stray Kids「Hollow」
4位:吉本おじさん/雨衣「お返事まだカナ?おじさん構文!」
5位:Forrest Frank「YOUR WAY’S BETTER」
6位:えぶホスPlayers「えぶりでいホスト」
7位:闻人听書_「一笑江湖 – DJ弹鼓版」
8位:X 1ark & Pxrge Trxxxper「Hey bitch, I’m perfect」
9位:IMP.「Cheek to Cheek」
10位:日曜日のメゾンデ,礼衣,大漠波新「ふり」

 今回は3位にランクインしたStray Kidsの「Hollow」をピックアップする。本曲は2025年に日本デビュー5周年を迎えた韓国出身のダンスボーカルグループ Stray Kidsが、6月18日に発売した全曲日本語詞の日本3rdミニアルバム『Hollow』のリードトラックとして、6月11日に先行配信がスタート。6月30日に初登場3位でバイラルチャートにランクインすると4日間3位をキープし、7月4日の同チャートで2位に順位をあげ、以降、上位をキープしている。Stray Kidsは、メンバー自らが、ほぼすべての楽曲の作詞・作曲・プロデュースを手がけるセルフプロデュースグループだ。3RACHAと呼ばれるBang Chan、Changbin、HANの3人のメンバーがメインで楽曲制作に携わっており、ボーカルディレクティングなどまで行っている。2023年には、アメリカのニュース雑誌『TIME』の「次世代のリーダー(Next Generation Leaders)」にも選出されているほか、同年12月にリリースされたSKZHOP HIPTAPE『HOP』で史上初となる「Billboard 200」で6作連続1位を達成し、2000年代「Billboard 200」チャートにてBTS、LINKIN PARK、Dave Matthews Bandに続いて、最も多くの1位を獲得したグループとなった。

Stray Kids – Hollow / THE FIRST TAKE

 今回リリースした『Hollow』は、2025年6月25日公開のBillboard JAPANにて、総合アルバム・チャート“Hot Albums”で総合首位を獲得している。さらに7月2日にはYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』で「Hollow」をパフォーマンス。このパフォーマンスがSNSで拡散されている。メロウなミディアムチューンである「Hollow」の世界観を大切にした繊細な歌唱と、日本語で丁寧に歌い上げる姿勢が視聴者に指示され「声がまっすぐ届いた」「日本語の感情が伝わってきた」といった声もSNSで拡散され、これまでのファン層だけでなく、普段J-POPを聴いているリスナー層にもアプローチできたと考察する。

Stray Kids 『Hollow』 Music Video

 「Hollow」は、優美で憂いあるメロディと言葉をメンバーが丁寧に紡いでいく。ロマンチックでメロウなナンバーだが、サビではトラックのリズムを前面に出し、メンバー全員でのパフォーマンスを前提としたアレンジに仕上げているところはさすが。2番の最初のブロックではラップも登場するが、リズムは強めにしっかり刻んでいる中、声音や子音の発音、母音を少し残していて、楽曲全体の雰囲気にしっかり寄せてアプローチしているのがわかる。メンバー全員がしっかり楽曲に対しての共通認識を持ちながら、それぞれのスキルを個性として発揮できている。

 メンバー毎に、低音、中高音、高音、ラップ……と違う見せ場を持ち、声音の違いをしっかり生かしながら、違和感なくマイクリレーをしているところに、彼らの自己プロデュース能力の高さを感じる。

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