公開日時 2025年07月05日 05:00更新日時 2025年07月05日 16:05

広がる「ブックチケット」 大人から子へ本プレゼント 西原ブッキッシュなど4店 沖縄
チケットを使って本を選んだ(左から)ブース・クリスチャン星哉さん、ライデン元哉さん、麗奈マリーさん

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琉球新報朝刊

【西原】西原町棚原にあるブックカフェ「ブッキッシュ」が始めた「ブックチケット」が話題を呼んでいる。「子ども食堂」の取り組みや、県内で参加店舗が増えている「みらいチケット」からヒントを受け、「ブッキッシュらしいサービスを」と思いついたのが「ブックチケット」だ。

出番待ちのブックチケット。添えられたコメントが温かい。

 2023年6月に名護市にある絵本屋「ポラリス」と一緒に開始した。その後、共感してくれる仲間は増え、北谷町の「砂辺書架」と、移動本屋「おでかけほんや・さどやんブックス」が賛同し、現在は4店舗で展開中だ。大人は1口500円のブックチケットを購入し、お店に託す。子どもはそのチケットを使って千円分(チケット2枚分)の本を受け取ることができる仕組みだ。

 開始から2年。ブッキッシュでチケットを利用した子どもたちは107人で、195冊の本が贈られた。チケットを買ってくれた大人は69人。主に常連客からの購入が多かったが、近頃は「SNSで知って」という人の購入も増えているという。

 ブッキッシュのオーナーの多田明日香さんは「大人からのプレゼントとして、誰でも遠慮せずに使ってほしい。きょうだいの分を一気に買うのが難しいお父さんお母さん、自分の小遣いをなかなか本に回せないという学生さんとか、気軽に本に手を伸ばしてもらえれば」と話す。

 チケットのその後については、次に訪れた際に直接伝えたり、SNSを通じて報告したりするなどしている。自身の贈ったチケットがどんな本に変わったかを知って喜んだり、次のプレゼントにつながったりすることもしばしばだという。

 この日チケットを使って本を選んだブース・クリスチャン聖哉さん(19)は、古本中心のセレクトで8冊の本をもらうことができた。「もっと早く知りたかった。いろんなジャンルの本があるから、どんな人が来ても大丈夫だと思う。落ち着いた雰囲気で勉強とかもはかどりそう。あと、ケーキがおいしい」と、感動した様子だ。

 多田さんは「何かに打ち込んだ時に、情報を得るために本は役に立つ。ネットは好きなものだけを追求するにはいいかもしれないけど、図書館や本屋さんに行くと、自分が好きなことをきっかけに、それ以外の情報を得ることにもつながる」と語る。

 チケットを使えるのは1人月千円までで、翌月になるとリセットされる。高校生以上は学生証の提示が必要。本だけを買いに子どもだけで利用することも可能。(島袋恵子通信員)

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