ぴあ総研が6月24日、2024年のライブ・エンタテインメント市場規模(音楽・ステージ)が過去最高となる7,605億円(前年比10.9%増)を記録したと発表した。
コロナ禍を経た復活からさらに大きな飛躍を遂げており、2030年には8,700億円規模にまで拡大する見通しだ。
ぴあ総研によれば、推し活の盛り上がり、チケット単価の上昇、大型会場の稼働が市場拡大の背景にあるという。
推し活やトキ消費が生んだ、ライブ市場の隆盛
今回の発表は、ぴあ総研が毎年実施する「ライブ・エンタテインメント市場動向調査」の2024年確定値と、2030年までの将来予測を含めたもの。
それによると、音楽分野は前年比11.4%増の5,299億円、ステージ分野(=ステージでのパフォーマンスイベント)は同9.8%増の2,306億円。コロナ禍前の2019年(6,295億円)と比べても20.8%増と、驚異的な回復および成長ぶりが際立つ。
ぴあ総研が発表したライブ・エンタテインメント市場規模(音楽・ステージ)推移
成長要因には「推し活」や、非再現性/参加性/貢献性が重視される「トキ消費」といった新たな消費行動の定着、アリーナやスタジアムといった大規模会場の稼働率アップ、チケット単価の上昇、人気アーティスト/コンテンツの集客力強化などを挙げている。
一方で、地方市場の回復には依然として地域間格差があり、弱含みのエリアも存在するという。
2030年に8,700億円へ、成長を阻む4つの壁
ぴあ総研は今回の調査結果を受けて、2030年の市場規模予測を上方修正し、8,700億円と試算。年平均成長率は2.4%を見込んでいる。
ただし、今後の成長には以下のようなリスクも指摘している。
・国内人口の減少
・人材不足
・老朽化施設の建て替え・改修
・チケット価格上昇に対する価格許容度の低下
これらの課題が市場拡大の制約要因となる可能性があり、持続的成長には、産業の構造的な転換と新たな価値創出が求められるという。
KAI-YOU編集部_音楽・映像部門
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