沿岸部で映画の灯を守ってきた「みやこ映画生協」が、6月で解散するのを前に、支配人だった男性が個人で自主上映会を開きました。上映会には、俳優の永瀬正敏さんが駆け付け、盛り上がりました。映画生協を個人で引き継ぐことを決意した男性の思いを取材しました。

21日土曜日に開かれた上映会。

永瀬j正敏さんのトーク
「昨日入ったんですけど、山田町ですごいお世話になった方と一緒にご飯を食べたりして、ウニがめちゃおいしかったです」

会場は大勢の人でにぎわいました。

櫛桁一則さん
「どうにかしてでも続けていく必要があるなと…」

宮古市唯一の映画館だった“シネマリーン”。1997年に開館して以来、多くの映画を上映してきました。
運営する「みやこ映画生協」は、市民からの出資で作られた全国的にも珍しい映画の生協で、9年前にシネマリーンが閉館した後も、定期的に上映を続けてきました。

「シネマリーン」の元支配人、櫛桁一則さんは、震災後の被災地で巡回上映を行うなどして、沿岸部の映画の灯を守ってきました。しかし人口減少などで経営に行き詰まり、みやこ映画生協は6月25日で解散することが決まりました。

櫛桁一則さん
「率直に一言で言うと“残念”というところと、あと映画ファンもたくさんいるので“ごめんなさい”と」

なんとか上映を続けたい。そう考えた櫛桁さんは個人事業を立ち上げ、先週末に自主上映会を企画しました。上映したのは、永瀬正敏さん主演の「いきもののきろく」。震災をモチーフに、日常の大切さやはかなさを表現した47分の短編モノクロ映画です。

上映後には、永瀬さんや井上淳一監督によるトークショーも行われ、映画に込めた思いなどが語られました。

永瀬さん
「震災が起きて半年後ぐらいに色々まわらせていただいたんですけど、とにかくちょっと苦しかったですね。でも皆さんと出会って皆さんに色々背中を押していただいて、未来に向けて人々が忘れないように作品を作ってくださいって言っていただいたおかげで、勇気が持てたというか」

観客
「セリフがなくて、白黒映画で、なんかすごい新鮮な感じがして、すごく良かったです」
「ほんとすごく寂しいですよね。もっともっと足を運んで見れれば良かったのかなど思って…」

井上淳一監督は、以前から交流があった櫛桁さんの思いに応えたかったといいます。

井上監督
「映画って作っただけでは完成しなくて、人に見てもらって初めて完成すると言われるんですけど」
「このニュースを見て“あ、宮古にこういう映画館があって、こういう映画館を続けなくちゃいけないんだ”と思う方がいたら、僕たちだけでは限られるんで、ぜひ応援していただきたいと思ってます」

櫛桁さん
「どうにかしてでも続けていく必要があるなと。街に映画の上映が必要だと私は思ってましたので、これから先どうなるか分かりませんけれども、出来る限り継続して続けて行ければいいなと思ってました」

今後もクラウドファンディングを活用するなどして、月に一度を目標に上映会を開きたいということです。

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