いま“英語学習本”がブームと言えるほど活況を呈している。リアル書店やネット書店のベストセラーランキングでも、小説やビジネス書の話題作に並んで、英語関連の書籍が複数ランクインしている。都内屈指の大型書店であるジュンク堂書店 池袋本店の語学書担当の神山葉氏は、「20年以上、語学書コーナーを見てきたが、これほど英語本が話題になった経験は記憶にない」という。



Amazonランキング100位中、約15冊は語学書

いま“英語学習本”が活況を呈している。


ネット書店最大手Amazonの本の売れ筋ランキングを見ると、トップ100のなかに英語学習本が常時10~15冊ほどランクインしている。1つのジャンルの書籍がランキングの15%近くを占めるのは、かなり異例のことだろう。


今年発売したものを見ても、2025年3月に発売された『英語が日本語みたいに出てくる頭のつくり方』(日本実業出版社)はすでに6万部を超えており、同じ3月に発売された『見るだけでわかる‼ 英語ピクト図鑑』(プレジデント社)は10万部を突破しているという。


TOEICや英検、IELTSなどの資格試験対策の定番本から中高生向けの学習参考書、さらにビジネスパーソンのスキルアップやシニア層の学び直しを意識した“より効果的な学習方法”を提示した本まで、多種多彩な英語学習本が、書店はもとよりSNSやメディアでも継続して話題にのぼっている。


なぜいま英語学習本が、「ブーム」と言えるほど“売れ行き好調”なのか。


5月26日のジュンク堂書店池袋本店の総合ランキング。4位に『見るだけでわかる‼ 英語ピクト図鑑』、10位に『TOEIC L&R TEST 出る単特急金のフレーズ』がランクイン。

写真提供=ジュンク堂書店 池袋本店

5月26日のジュンク堂書店 池袋本店の総合ランキング。4位に『見るだけでわかる‼ 英語ピクト図鑑』、10位に『TOEIC L&R TEST 出る単特急金のフレーズ』がランクイン。


都内屈指の大型書店の1つであるジュンク堂書店 池袋本店でも、書店の顔とも言える「総合ランキング」において、ベスト10の中に『英語ピクト図鑑』や『TOEIC L&R TEST 出る単特急金のフレーズ』(朝日新聞出版)が名を連ねている。


同店で語学書担当として現場である売り場から英語学習本を見続けてきた神山葉氏に、近年の傾向や変遷を聞いた。


“語学書のプロ”が振り返る英語学習本の30年

神山氏は2002年に入社して以来、語学書担当歴20年超で、丸善ジュンク堂書店チェーンの語学書アドバイザーも担う、まさに“語学書のプロ”だ。


神山氏によれば、近年の英語学習本が活況の背景として、「多彩な出版社の参入による英語本の多様化や、読者の成熟化に合わせた中上級者向け本の充実、そして学び直し需要を捉えた本の台頭」などがあるという。


同氏はこう続ける。


「令和時代、具体的には2020年代に入ってからの話題書やトレンドは、平成(1990年代)時代からの動きを見ていかないと正しく捉えることができないかもしれません」


そこで本稿では、1990年代、2000年代、2010年代の英語本の変遷をひも解いたうえで、いま起きている英語本ブームの内実に迫ってみたい。


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