毎月末日に公開している、美術展ナビ×国立劇場コラボ連載「芸能資料定期便」。今回は番外編として、5月にオープンしたばかりのこども向けの伝統芸能特設サイト「国立劇場こどもサイト」から、ゲーム「歌舞伎わくわく絵合わせ」について、国立劇場の企画担当者が紹介します。国立劇場所蔵の錦絵をふんだんに使っていて、大人もハマるゲームです。ぜひ挑戦してみてください。

・「歌舞伎わくわく絵合わせ」(国立劇場こどもサイト)

やりこめばやりこむほど歌舞伎のキャラクターや錦絵に詳しくなることができる、こどもだけじゃなく大人にも楽しんでいただきたいゲームです。「百聞は1プレイに如かず」ということで、まずは遊んでもらうことが一番だとは思うのですが、本記事ではゲームを企画した担当者の目線で、こだわりポイントと魅力を紹介できれば幸いです。

こだわりポイント①:やりこみ要素

「たかが絵合わせ」と思ってあなどるなかれ、実は意外と難しいというのがポイントです。シンプルながら思わずやりこみたくなるよう作られています。

今から本気でプレイしてみますので、一緒に見ていてください!
「はじめる!」ボタンを押すと、4×4の16枚の裏向きのカードが並びます。めくって同じ絵柄のカードをそろえると1ペアゲット!制限時間50秒の中で、いくつペアを見つけることができるでしょうか?

色や構図が絶妙に似ている錦絵もあったりして、なかなかてこずりますね。なんとか最初の16枚をめくり終えて8ペアゲット!そうすると新たにカードが補充されます。残り17秒、まだまだ見つけますよ~!

あれ、もう時間切れですか!でも結構見つけたんじゃないですかね。

担当者の面目躍如ならず。結果は11組でランキングは3段階中真ん中の「なかなかやるな」…。12組以上見つけることができると「あっぱれ!」になります。これが意外と難しくて、何度も挑戦したくなる…!と思っていただけると嬉しいです。中にはやりこんでいる人もいて、20組見つけたというツワモノもいました。みなさんもぜひ、チャレンジしてみてください。

こだわりポイント②:50人の歌舞伎キャラクターと錦絵のセレクト

「歌舞伎わくわく絵合わせ」のカードは全部で50種類あり、50人の歌舞伎のキャラクターを描いた錦絵を使っています。歌舞伎において有名なキャラクターを選ぶことはもちろん、国立劇場に約9,000枚所蔵されている錦絵の中から、こどもたちにできるだけ「きれい!かっこいい!」と思ってもらえるような絵をセレクトするよう心がけました。

特別にここでその全貌をお見せします!

並べて見るとなかなか壮観ですね。ゲームをプレイして、全キャラを見つけてみてください!

こだわりポイント③:わかりやすい解説

プレイ終了後の結果画面で、それぞれのキャラクターについての解説を読むことができます!歌舞伎の演目の中にはストーリーがすごく複雑だったり、ちょっとこどもには怖かったり、はたまた過激だったり…というものも少なくありません。それをできるだけ簡潔にわかりやすく、50人分の紹介文を書くのは、思った以上に工夫を凝らす必要がありました。ぜひ1枚1枚の解説も読んでいただけると嬉しいです。

各解説には文化デジタルライブラリーの錦絵のページへのリンクが貼られているので、絵についてもっと詳しく知りたくなったらそちらもチェックしてみてください。解説を読み、何度もやりこむうちにきっとお気に入りのキャラクターもできるのではないでしょうか。個人的には「鷺娘さぎむすめ」の絵がきれいで好きなので、たまにその絵が出てくると「絶対ゲットしよう!」とテンションがあがったりします。

右田年英「鷺娘」
こだわりポイント④:デザインのこだわり

PC版のゲーム画面では、カードの周りにかわいらしい絵が表示されます。よーく見てみると歌舞伎の立廻りをしたり、葛籠つづらを背負って宙乗りしたり、お囃子を演奏したりしているのはこどもたち!

これは国立劇場所蔵の錦絵「子供あそび」(歌川国郷 画)からとったものです。これは絵としてかわいいだけではなく、歌舞伎の有名な演目や歌舞伎ならではの演技・演出をこどもの姿で描いた見立絵として、芝居の手引書にもなっているのです。遊び心がありますね!

歌川国郷「子供あそび」

個人的に好きなのは、三枚続の左図に描かれた「五人男」。河竹黙阿弥の名作『弁天娘女男白浪べんてんむすめめおのしらなみ』が有名ですが、五人の無頼漢が名乗りをあげる特徴的なシーンを描いたものです。こどもたちの表情や髪型がそれぞれ違って、くすっと笑える微笑ましさがあります。

以上、「歌舞伎わくわく絵合わせ」ゲームの4つのこだわりポイントをご紹介しました。色々と裏話もしましたが、まずはゲームを楽しんでもらうのが一番なので、ぜひ一度プレイしてみていただけると幸いです。周りのお子様にもおすすめしていただいて、少しでも歌舞伎をはじめ伝統芸能に興味をもってくれるこどもたちが増えれば、担当者としてこれほど嬉しいことはありません。(国立劇場総務課広報室 南出達行)

・「歌舞伎わくわく絵合わせ」(国立劇場こどもサイト)

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