俳優ソ・ジソブが、6月6日よりNetflixで配信開始となったドラマ『広場』で、約13年ぶりに本格アクションに挑んだ。演じるのは、かつて裏社会で“ナンバー2”として君臨していた男ナム・ギジュンだ。

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自らアキレス腱を断ち、裏の世界から姿を消した彼が、弟の死をきっかけに再び動き出す。復讐に燃えるギジュンの姿は、寡黙で冷徹、それでいて人間臭さを感じさせるキャラクターであり、ソ・ジソブならではの深みのある演技が光る。

『広場』は、韓国ドラマの中でも硬派なノワール路線を貫く作品で、激しいアクションと心理戦が交錯する。

ソ・ジソブはこれまでも、感情の起伏が大きく複雑な内面を抱える人物を数多く演じてきた。代表的なドラマ作品としては、『バリでの出来事』のPグループ社員カン・イヌク、『カインとアベル』のボソン病院脳神経外科医イ・チョイン、『主君の太陽』ではショピングモール“キングダム”社長チュ・ジュンウォン役が挙げられる。

いずれの作品でも共通しているのは、内に秘めた激情と繊細な心理描写。セリフが少なくとも、視線や間合いだけで感情の揺れを伝えるその演技力には、長年にわたり多くの視聴者が魅了されてきた。

ソ・ジソブソ・ジソブ多くの作品で活躍する俳優

映画界においても、ソ・ジソブの演技は強い印象を残している。『王の運命-歴史を変えた八日間-』では、特別出演ながら思悼世子の息子であり後の朝鮮王朝第22代王・正祖(チョンジョ)を演じ、短い出番ながらも品格と悲哀をにじませた名演を披露した。

また、『軍艦島』では、日本による植民地支配下の強制労働現場を描いた作品の中で、冷酷な役割を淡々と演じきり、作品の陰影を支える存在となった。

『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』では、日本の実写映画における数少ない韓国俳優の起用例として注目を集め、妖怪・夜叉というキャラクターを見事に体現してみせた。

アクションスターという枠を超え、ヒューマンドラマ、歴史劇、さらにはファンタジー作品までジャンルを問わず存在感を発揮してきたソ・ジソブ。その根底には、どの役に対しても真摯に向き合い、役を“生きる”姿勢がある。

『広場』で再び見せる彼のアクションは、ただの肉体のぶつかり合いではない。過去の痛みと喪失を背負った男が、静かに、しかし確実に怒りを爆発させる。成熟した今だからこそ演じられる“沈黙の熱”が、この作品には込められている。

俳優ソ・ジソブの歩みは、常に変化と深化を重ねてきた。その静かなカリスマは、これからも多くの観る者の心を揺さぶり続けるだろう。

文=大地 康

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