映画館で本編が上映される前に、観客はいくつもの広告を見なくてはならない。これに長年反対してきた米映画館チェーン最大手のAMCエンターテインメント・ホールディングスが、ついにその方針を大きく転換した。

  AMCはナショナル・シネメディアと合意し、コマーシャルを上映することを決定した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。ナショナル・シネメディアはAMCのほか、シネマーク・ホールディングス、リーガル・シネマズなど主要映画館チェーンでの広告ネットワークを所有し運営する。

  AMCの映画館では7月1日から、「プラチナスポット」と呼ばれる広告が本編前に上映される。財政的に苦しい同社は、これら広告収益の一部を得るという。

  AMCの担当者はコメントの要請に応じなかった。ナショナル・シネメディアの担当者はコメントを控えた。

  照明が落とされた映画館で、予告編が始まる前に流れる一連の広告に映画ファンはすでに慣れている。ナショナル・シネメディアは2019年、予告編の間に広告を流す手法を取り入れた。同社のトム・レシンスキー最高経営責任者(CEO)は当時、「メディアで最も魅力的なスポットの一つになるだろう」とアナリストらに語った。

  同氏は広告スポット導入についてAMCと協議中だと述べたが、AMCは協議自体を否定。「予測可能な将来においてそのような取り決めで合意するとは想定していない」と反論していた。

  AMCのウェブサイトには現在、「上映スタート時間と本編開始の間に約20分間のプリショーが上映される」との案内が掲載されている。

  同社が5月に発表した1-3月(第1四半期)決算では、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を除けば1996年以来となる低迷に、映画館業界全体が陥っているとの見方が示された。

  ただ5月末のメモリアルデーの連休に記録的な興行成績を収め、収入は持ち直している。

  AMCは7月9日から毎週水曜日を半額デーに設定。平日の売り上げ促進を図る。

原題:AMC Theaters to Run Even More Commercials Before Movies Play(抜粋)

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