一方、名田殺人事件は前回、自縛プレイ中の窒息事故死だったという衝撃の結末を迎えたはずだったが、息子の潤(落合モトキ)は当日の一部始終を目撃していた。それは、まだ息のあった名田を、妻の陽子(神野三鈴)が見殺しにしていたこと。死に際、「さゆり」と知らない女性の名前を叫び、助けを求める名田。美しき夫婦像は世間体を気にした形だけのものであり、2人の間の夫婦愛は完全に冷め切っていた。生き絶えた名田を見て、陽子は不適な笑みが込み上げるのだ。そこには“魔物”としての本性が浮かび上がっている。

 “変態の妻”というレッテルを華麗に克服し、ついに出馬を決意した陽子は、あやめを自身のチームに迎えたいと法律事務所を訪ねていた。陽子はそのために、凍也と別れて身辺を綺麗にしてほしいと条件をつけているが、結果的にその条件通りに事が運ぶことになろうとしている。

 また、第6話で印象的なのは、陽子の隠しきれない凍也への思いだ。第5話でのサムゲタンパーティーにて、陽子は夏音から「凍也をそういう目で見てるくせに」と暴かれていたが、それは生前の名田だけでなく、あろうことか凍也本人にも見透かれていた。潤の同級生だった凍也を一人の男として見始めていたのは、高校時代から。その頃に、凍也は同じく孤独な境遇だった夏音と知り合っているが、そこにはある“事故”が密接に関わっており、お互いフェアに秘密を守ろうと、凍也は陽子に甘く囁くのだった。

人はなぜ危ない男との泥沼恋愛にハマるのか 不倫やDV描く問題作『魔物(마물)』から考える

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リアルサウンド 映画部

 第7話の予告では、釈放された凍也が、ストーカーと化していく様子が映し出されている。あやめをはじめとする女たちの反撃のスタートであり、今後向かっていく未来は、第1話より各話の冒頭でインサートされている、殺人事件の裁判なのだろう。

『魔物(마물)』の画像

魔物(마물)

テレビ朝日が、韓国のスタジオ・SLLとタッグを組んで送る日韓共同制作オリジナルドラマ。不倫、DV、セックスなど愛と欲望にまつわる過激なテーマを掲げたラブサスペンス。麻生久美子と塩野瑛久が初共演にして濃厚なシーンに臨む。

■放送情報
『魔物(마물)』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15~24:15放送
出演:麻生久美子、塩野瑛久、北香那、神野三鈴、佐野史郎、大倉孝二、落合モトキ、宮本茉由、宮崎吐夢、うらじぬの、若林時英
原案:シン・ウニョン
脚本:関えり香
監督:チン・ヒョク、瀧悠輔、二宮崇
音楽:jizue
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)、パク・ジュンソ(SLL)
ゼネラルプロデューサー:中川慎子(テレビ朝日)、チェ・へウォン(SLL)
プロデューサー:貴島彩理(テレビ朝日)、イム・チョヒ(SLL)、河野美里(ホリプロ)
制作著作:テレビ朝日・SLL 
制作協力:ホリプロ
©テレビ朝日・SLL
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/mamono/
公式X(旧Twitter):https://x.com/mamono_tvasahi/
公式Instagram:https://www.instagram.com/mamono_tvasahi/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@mamono_tvasahi/

渡辺彰浩

渡辺彰浩
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1988年生まれ。福島県福島市出身。リアルサウンド編集部を経て独立。荒木飛呂彦、藤井健太郎、乃木坂46など多岐にわたるインタビューを担当。映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』、福島市開催の音楽フェス『LIVE AZUMA』ではオフィシャルライターを務める。

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