音楽の力 励ます気持ち 輪島から南砺へ避難の親子

児童の前で、プロの歌声を響かせた仲谷響子さん(右)=南砺市城端小学校で

城端小でコンサート開催 昨年元日に発生した能登半島地震で石川県輪島市の自宅が損壊し、南砺市で避難生活を続けているメゾソプラノ歌手の仲谷響子さんと、母でピアノ指導者の美千代さんは30日、南砺市城端小学校でコンサートを開いた。

 城端教育振興会が芸術鑑賞会を企画し、仲谷さん親子、フルート奏者の岡本えり子さん(元オーケストラ・アンサンブル金沢)を招いた。全校児童約250人と振興会役員、保護者らが鑑賞した。

 美千代さんのピアノ伴奏と岡本さんのフルート演奏で、響子さんが、オペラ「ミニョン」より「君よ知るや南の国」、映画「アラジン」より「ア ホール ニュー ワールド」、「にじ」など8曲を歌った。

 少女ミニョンが故郷を思って歌う「君よ知るや南の国」では、仲谷さんが「この歌はいつも輪島を思って歌っています」と紹介。能登半島地震が発生した当時の様子を語り「すごく辛く悲しいことがあった。それでも今日1日はたくさん笑えたという日が増えてきました。笑顔で歌を聴いてくれるとうれしい」と語り、児童と一緒に「にじ」を歌った。最後に全校児童が校歌を元気に斉唱した。

 閉会式で、仲谷さんは「たくさんの人に助けられ、心穏やかに過ごせることを幸せに感じている」と話し、児童代表の江守柚葵さん(6年)と中波紗菜さん(同)は「息の合った演奏で楽しい気持ちになりました。地震後、被災者を励ます活動をされていると聞きました。音楽の力でみんなを励ます気持ちが伝わってきました」とお礼の言葉を述べた。

 仲谷さん親子は週3日、南砺市から輪島市に通い、小中学生10人にピアノを教えるレッスンを続けている。 (武田寛史)

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