「銀座」でも「浅草」でも「新宿」でもない…『アド街ック天国』の初回放送が特集した「意外なおしゃれタウン」とは?(菅原 正豊,戸部田 誠/Webオリジナル(外部転載))
『「深夜」の美学 『タモリ倶楽部』『アド街』演出家のモノづくりの流儀』より
〈「偽善っぽいチャリティは嫌い」歴代最低視聴率だった“24時間テレビ”をわずか1年で「V字回復」させた“立役者”《24時間マラソンとサライはこうして生まれた》〉から続く
日本各地の街を特集する番組『出没!アド街ック天国』。当初は東京の街を紹介する名目で始まった。その初回で扱ったのは、銀座や浅草といった「ザ・東京」の街ではなかった。『「深夜」の美学 『タモリ倶楽部』『アド街』演出家のモノづくりの流儀』(菅原正豊、戸部田誠著、大和書房)から一部抜粋し、お届けする。本文中の太字部分は戸部田誠氏による記述、それ以外は菅原正豊氏の語り。(全3回の3回目/1回目を読む/2回目を読む)
30年続く人気番組「アド街」は、東京の街を紹介しようと始まった ©maroke/イメージマート
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菅原正豊の特徴のひとつとして多くの人が口を揃えて挙げるのが、「東京」=「都会的」センスだ。それを色濃く反映した番組のひとつが『出没!アド街ック天国』。1995年から現在に至るまで30年続く長寿番組だ。初代司会者は愛川欽也だった。
「おまっとさんでした! 地域密着系都市型エンターテインメント、『出没!アド街ック天国』。あなたの街の宣伝(本)部長、愛川欽也です」
そんな口上で始まっていたように、コンセプトは「街を宣伝する」こと。もともとの企画書は、「街をひとつの商品と見立てて紹介し、最後に1本その街のコマーシャルをつくる」というものだったという。だからタイトルに「アド」(advertisement)とつけられている。
毎回、東京のひとつの街を取り上げ、ランキング形式で紹介していく。もちろん観光スポットのような名所だけではなく、地元の人しか知らないような店がランクインするのが特徴だ。そして、番組開始からしばらくは、エンディングに愛川を中心に出演者たちが話し合い、街のキャッチコピーを考え、オリジナルのCMをつくるという構成だった。