サバイブできる企業のコミュニケーション術

第7回:契約継続と解除の判断軸

レイザー株式会社 代表取締役/ 日本リスクコミュニケーション協会 代表理事/
大杉 春子

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大杉 春子

大杉 春子

コミュニケーション戦略アドバイザー。PR戦略の企画から危機管理広報まで、企業・行政のブランド価値向上を包括的に支援。日本において唯一、コミュニケーション戦略におけるリスク管理に特化したカリキュラムを展開する日本リスクコミュニケーション協会を2020年に設立。上場企業や防衛省での豊富な実績を持ち、リスク管理からBCP/BCM、危機管理広報までを網羅した新たなリスクコミュニケーションのスキルを持った『リスクコミュニケーター』の育成を展開。

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永野芽郁さんと田中圭さんとの不倫疑惑記を続けて報道した週刊文春

2025年5月20日公開時点で一部、誤りがありました。5月21日に該当部分を削除し、再公開いたしました。

不倫報道後の広告対応

「不倫報道で契約解除」は企業の広告担当者にとって決して珍しい判断ではなくなりました。特に「B to C」企業は世間の空気に過敏にならざるを得ない構造があります。人気俳優の永野芽郁さんと田中圭さんによる不倫報道が世間をにぎわせています。永野さんの所属会社は、出演予定だった2026年大河ドラマ「豊臣兄弟!」の辞退を発表。自身がパーソナリティを務めるラジオ番組である「永野芽郁のオールナイトニッポンX」(ニッポン放送)も出演辞退により番組終了が公表されました。

企業にとって本質的に問われるべきは、タレントの私生活そのものではなく「報道によって自社ブランドが受けるリスクをどう評価し、どう備えていたか」という事前準備と、報道後の“ブレない対応です。そこで本稿では、広告タレント起用のリスクに対して、企業が準備しておくべきこと、そして報道されたときにどう判断すべきかを整理します。

まずは、永野芽郁さんと田中圭さんの報道と広告主の動きを時系列で振り返ります。2025年4月23日、週刊文春電子版が、ふたりの不倫疑惑をスクープしました。記事では田中さんが永野さんの自宅を訪れていたことや、永野さんが韓国俳優との交際も噂される“二股疑惑”なども記載され、SNS上では大きな反響を呼びました。

翌24日、文春の紙面(5月1・8日号)が発売され、世間への拡散が加速します。清純派のイメージで多数のCMに出演していた永野さんに対し、SNSでは「裏切られた」とする投稿も相次ぎました。

25日には、永野さん・田中さん両名の所属事務所が「交際の事実はない」と否定しつつも、「誤解を与えかねない行動だったことは遺憾」とする声明を発表。一部メディアは、広報対応が“火消し”にとどまっていると論じました。

報道後、CM契約を結んでいた企業の動きは分かれました。サントリーやクラシエ、NTTコミュニケーションズは当初「事務所側から不倫の事実はないとの説明を受けている」として、広告出稿を継続していました。

しかし、4月下旬にかけてSNS上の反応が過熱し始め、5月1日にはモスバーガーが公式YouTubeチャンネルで配信中の永野芽郁さんが出演するCM動画を非公開にしました。

5月3日、続くようにJCBも自社サイト上から関連する広告ビジュアルとプロモーションコンテンツを削除しました。

さらに5月7日、週刊文春が続報として2人の親密なやり取りを含むLINEのスクリーンショットを掲載したことをきっかけに、サントリーも対応を変更。5月8日、「現時点ではブランド価値を伝えるのが難しい」として、トリスハイボールのテレビCMと動画広告の放映を中止すると発表しました。

しかし、過去を振り返ると、すべての企業が一様に“打ち切り”を選んだわけではありません。以下に紹介するのは、タレントのスキャンダルが発覚しても起用を維持した企業の事例です。

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