公開日時 2025年05月23日 05:00


那覇で千秋楽公演があった「蒙古が襲来」の一場面、中央は吉田羊(撮影:細野晋司)

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琉球新報朝刊

 脚本家・演出家の三谷幸喜を中心に旗揚げした劇団・東京サンシャインボーイズの復活公演「蒙古が襲来」(三谷作・演出)の沖縄公演が3~5日、那覇市の那覇文化芸術劇場なはーとであった。1994年に突然宣言された劇団の「30年の充電期間」を経て、2025年2月から4カ月間、全国10都市65公演を回る全国巡業の千秋楽となった沖縄公演。4日昼公演を取材した。
 同公演は、鎌倉時代の対馬の漁村を舞台に、蒙古が襲来してくる日の朝を描いたコメディー作品。出演は相島一之、阿南健治、伊藤俊人、小原雅人、梶原善、甲本雅裕、小林隆、近藤芳正、谷川清美、西田薫、西村まさ彦、野仲イサオ、宮地雅子、吉田羊。テレビでも活躍する豪華な俳優陣らが、漁師、人形を操り芸を披露する旅芸人、鎌倉武士、歩き巫女のおばばなど、個性豊かなキャラクターたちを見事に演じ上げた。
 次から次へと出てくる登場人物と、テンポの良い彼らの掛け合いに客席からは終始笑い声が起こる。安定感抜群の彼らの演技と迫力ある舞台演出は、観る者をあっという間に演劇の世界へ引き込んでいった。冒頭から続く登場人物らのたわいもない会話を観ながら「このまま何も起きずにほっこりムードで終わるのか」と思えば、物語はラスト10分で急展開。笑いだけでなく、平穏な日常の大切さも感じさせる物語だった。
 また、本作品には、02年に病気で急逝した劇団員の伊藤俊人が「太宰府から来た客人」として「声のみ」で出演。劇団が「充電期間」に入る前の最後の公演となった「東京サンシャインボーイズの『罠』」でのセリフを切り取り、出演を果たした。会場に響く伊藤の声は、伊藤が「いつまでも劇団の一員である」ことを証明するとともに、劇団員らの伊藤への大きな愛情を感じさせる一幕だった。
 エンディングは出演俳優らが公演テーマソング「どんちゃんの歌」(作詞・作曲、甲本ヒロト)を披露。観客らの手拍子に合わせながら生き生きと歌う彼らの姿は、東京サンシャインボーイズの一員として心から演劇を楽しんでいる様子が伝わった。
 相島が沖縄公演前に「壮大な同窓会」と語った同公演は、観客らの指笛の音と、盛大な拍手とともに幕を下ろした。
 「蒙古が襲来」の公演や、メイキングの様子はWOWOWで7月に放送される予定だ。(與那原采恵)

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