LEDフェイスマスク、海洋コラーゲントリュフ、オゼンピック、第4世代脂肪溶解注射アクアリックス、レモンボトル、3Dボディスキャン、etc……。パンデミック以降、エイジングに抗うべく続々と登場した美容ツールの数々。zoomやビデオ通話で互いの顔を突き合わせる機会が増えたせいなのか、それとも単純に美を追求したいという性分なのかはさておき、先月我々が実施した調査では、97%の読者が相変わらずエイジングを懸念していることがわかった。これを踏まえ、Vogue Businessで美容業界の未来についての議論に多くの時間を割く中、議題に上がったのが「果たして私たち自身の未来の容姿はどうなっているのか」ということだった。
その答えを探るため、ビューティー・エディターのナテイシャ・スコットが特集記事「20年後の私たちの姿」を執筆。未来の製品についての考察をする一方、エイミー・フランコムは美容整形の未来に迫り、ルーシー・マグワイアは曲がった鼻や幅広の舌になるのを防ぐと期待されている正しい歯のケアの真実を追求した。さらに、マデレーン・シュルツはコンサバ層の美意識を追跡し、マリハ・ショアイブはブランドのマーケティング担当者に未来の“極端な美の基準”への対処法について取材。ジェシカ・デフィーノは現代人の「美容の燃え尽き症候群」に陥りつつある事実を暴き、ベラ・ウェブは“顔の微調整=美容のファストファッション”だと主張する。
あらゆる美容・医療処置がオーダーメイドになった未来は、経済的に余裕のある人に限られるが、人々はいつまでも美しく、150歳まで生きるのも夢ではない。これらの記事から浮き彫りになった未来像は、まさにハイパーパーソナライゼーションと再生医療がもたらした美しくも恐ろしいのだ。
果たして行き過ぎたセルフケアが“自己陶酔”に変わることや長生きすることが、本当に経済と環境とって良いことなのか? 続く 「美容の燃え尽き症候群について考察する」の記事では、この点について深く掘り下げてみたい。