『音楽』の岩井澤健治プロデュースによる個人制作アニメだけに、今度も脱力系青春かと思いきや、哀しさとエモさが際立つ中、社会派としても尖りまくる。東北に住むイジメられっ子が謎の老人社長に見初められ、“原宿の合宿所”に囲われながらアイドル人生を突き進む序盤の展開だけで、そのヤバさが伝わるだろう。そこから悪夢のようなジェットコースター展開が続くのだが、各パートの時間配分もまちまちで、まったく気が抜けない恐ろしさ。主人公は名声も得るため、「無名の人生」として括るのは無理があるのだが、終盤にはそんなことすら気にならなくなる『2001年宇宙の旅』展開が待ち受けるなど、これぞ問題作!
この短評にはネタバレを含んでいます