ロート製薬のスキンケアが売れている理由

コロナ禍以降、スキンケア市場が回復基調にある中で、ロート製薬の存在感が際立っている。製薬会社として培ってきた確かな研究力と、顧客視点を徹底した製品設計により、スキンケア事業は堅調な成長軌道を描いている。その根底にあるのは、「効果実感」を重視する製品開発の哲学と、挑戦を是とする組織文化だ。(この記事は「WWDJAPAN」2025年4月28日&5月5日合併号付録「WWDBEAUTY」からの抜粋です)

PROFILE: 村本由理/ロート製薬 プロダクト&ブランドマーケティング部 部長村本由理/ロート製薬 プロダクト&ブランドマーケティング部 部長

PROFILE: (むらもと・ゆり)第2新卒としてロート製薬に入社。入社初年度に商品企画部(現:プロダクト&ブランドマーケティング部)で「肌ラボ」を企画し、04年に上市。「オバジ」「エピステーム」などのマーケティング全般に携わった後、プレステージスキンケア事業部長を務める。美容医療や再生医療の知見をスキンケアに取り込む。人財戦略デザイン業務を経て、新規事業開発部長を歴任。ヘアケアやペット関連事業など事業領域を拡大し、25年からプロダクト&ブランドマーケティング部長として従事。多様なキャリアを生かし、人財育成とサイエンスをベースとした商品・サービス導入をリードしている PHOTO:YUKA MURATA

製品開発の根幹は、「トレンドに流されず、エビデンスに裏付けられた“効果”をしっかり届けること。それがロート製薬の原点だ」と、村本由理プロダクト&ブランドマーケティング部部長は語る。その背景には、医療現場との連携がある。大学や研究機関(アカデミア)との共同研究も盛んで、得られた知見を製品に反映させる仕組みが整っている。例えば、再生医療の研究部門で得られた知見など、異分野の技術がスキンケアにも応用される例は多く、これが同社の“総合力”を際立たせている。

顧客のリアルな声に寄り添う開発プロセス

一方で、開発において重視するのは、顧客のリアルな声だ。インタビューなどを通じて利用者の潜在ニーズを掘り下げる。「効果だけでなく、使用感やテクスチャーなど実感の声も重要な判断軸になる」とし、日々の声に耳を傾け、細かな改良を重ねている。ブランドポートフォリオも同様に、「ホワイトスペースを狙うのではなく、顧客のニーズと他にはないサイエンスの掛け算で価値を生み出すスタイル」だという。その成果は数字にも表れている。主力ブランド「肌ラボ」「メラノCC(MELANO CC)」は、それぞれ売上高が100億円を超える規模に成長している。

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