またも危険な香りの漂うドラマがはじまるーー。そう、麻生久美子が主演を務める『魔物(마물)』(テレビ朝日系)のことである。何やら本作は、不倫やDV、セックスなどといった、“愛と欲望”にまつわる過激なテーマを扱うラブサスペンスなのだという。美しい映像で紡ぎ出していくのは、満たされない人間たちの歪んだ人間模様。主演の麻生はまたも新境地を開拓していくことになるのではないだろうか。
この『魔物(마물)』は、大人気を博した韓国ドラマ『梨泰院クラス』(2020年)などを制作し、世界のエンターテインメントシーンにおける「Kドラマ」のブームを牽引しているスタジオ・SLLとテレビ朝日の“日韓共同制作”によるオリジナルドラマだ。主演の麻生が演じる華陣あやめは弁護士で、その実力ゆえに将来を嘱望されながらも、孤独を抱えて生きる女性。気高く生きてきたからこそ、彼女は“弱さ”を武器にする女性のことを軽蔑しているところがあるらしい。
麻生久美子と塩野瑛久が官能的に激しく求め合う 『魔物(마물)』メインビジュアル2種公開
4月18日よりテレビ朝日系にて放送開始となる麻生久美子と塩野瑛久が初共演する日韓共同制作オリジナルドラマ『魔物(마물)』のメイン…
もちろん、ダメンズになんて引っかからない。絶対に。そういう女性なのだろう。けれどもそんな彼女の人生が一変することになる。源凍也(塩野瑛久)という魅惑的な男性があやめの前に現れるのだ。彼は、“愛”とはつまり“所有”なのだと信じる、危うさをはらんだ人間だ。従順な妻がいるが、彼女に対するDV疑惑がチラつき、さらには有名大学教授殺人事件の容疑がかかる。この事件を機に凍也とあやめは出会い、許されない恋に堕ちていくことになるのだという。これは相当なレベルのドロドロとした恋愛模様が展開していくのではないだろうか。主演の麻生は演技者の道を30年も歩み続けてきたが、作品の設定からして、ここでさらなる新境地開拓となる可能性は極めて高いはずだ。
麻生が立ち上げてきた気高く生きる女性像といえば、『MIU404』(2020年/TBS系)の桔梗ゆづるが思い浮かぶ。彼女は警視庁刑事部機動捜査隊の隊長だった。部下には自由で荒っぽい者たちが多く、そんな面々をつねに毅然とした態度で束ねていたのが桔梗だ。コミカルでシリアスな作品なだけに、展開によってはどちらかに傾倒してしまいかねない。しかし、彼女の存在が物語を引き締め、またときには和らげる、そんな役割を桔梗が担っていた。重要な役どころである。そしてそれは2024年公開のシェアードユニバース作品『ラストマイル』にも引き継がれていた。出番は短いながらも、麻生の凛とした演技が作品に与えたものは大きかっただろう。