先週末(4月25日から4月27日)の北米興収ランキングは、ライアン・クーグラー監督の『Sinners』が2週連続Vを達成。平日の興行も好調なことを受けて上映館数を39ほど増加した同作は、週末3日間の興収4570万ドルと、オープニング週末(4800万ドル)対比95.2%とほとんど数字を落としていない。1億ドル超えの爆発的なオープニング成績を収める作品が珍しくなくなった昨今、前週も今週もあまりインパクトのない数字に見えるのだが、これが意外にも驚異的なことなのである。

【写真を見る】大規模公開のメジャー大作としては異例の2週目末に!“ホラー映画のジンクス”も打ち破る【写真を見る】大規模公開のメジャー大作としては異例の2週目末に!“ホラー映画のジンクス”も打ち破る[c]Everett Collection/AFLO

というのも、大規模で公開されるメジャー大作の多くはオープニング興収が大きく、2週目でガクンと数字を落とすという“初動型”の興行に陥りやすい。クーグラー監督の代表作である「ブラックパンサー」シリーズのようなマーベル作品のような事前の期待値が高い作品であればそれは尚更である。『Sinners』の場合は非フランチャイズ作品ということもあり、マーベル作品のような極端な傾向にはなりづらいとはいえ、初週から3000館以上の大規模で公開された作品であることには変わりない。

これまで3000館以上の大規模で封切られた作品の、オープニング週末から2週目末への興収下落率の低さ(維持率なので、プラスの作品も含まれる)のランキングを見てみると、『Sinners』は30位とまずまず高めの位置。ただし、上位にいる29作品のうち23作品は年末のホリデイ・シーズンの公開作なので、2週目末に成績を伸ばしたり維持してもなんら不思議ではない。さらに2作品が2週目末にサンクスギビング週末を迎え、1作品はメモリアル・デーの連休を迎えている。

日を増すごとに口コミが拡大!全世界興収2億ドル突破も見えてきた日を増すごとに口コミが拡大!全世界興収2億ドル突破も見えてきた[c]Everett Collection/AFLO

残りの3本のうち2本は、2週目末に“母の日”を迎えた『マザーズ・デー』(16)と、2週目末に劇中でキーとなるバレンタインデーを迎えた『Heart Eyes』(24)。つまり時期的な恩恵をなにも受けていない作品としては、『長ぐつをはいたネコ』(11)に次ぐ歴代2位の下落率の低さとなる。ましてや初動で興収4000万ドルを超えた作品としては、先述のメモリアル・デーの恩恵を受けた『シュレック』(01)と、ホリデイ・シーズンに公開されたあの『アバター』(09)に次ぐほど。作品評価の高さと、口コミによる効果がはっきりとあらわれているようだ。

また、この2週目末の土日の成績は、土曜日がオープニング週末との対比で114%、日曜日が同112.8%。イースター週末(前週)は基本的に映画興行が盛り上がらないということも少なからず寄与しているのだが、各日のデイリー興収を見れば(25日が1301万ドル、26日が1881万ドル、27日が1387万ドル)、“金曜日に強く、土日に数字を落とす”とされるホラー映画のジンクスも打ち破っていることが一目瞭然。北米累計興収は週末時点で1億2300万ドルを超え、4月末の時点で1億4000万ドルに到達。海外興収こそ伸び悩んでいるが、全世界興収2億ドル突破は時間の問題であり、まだまだ着地点は見えない。

ベン・アフレック主演『The Accountant2』は前作超えのオープニングで3位発進ベン・アフレック主演『The Accountant2』は前作超えのオープニングで3位発進[c]Everett Collection/AFLO

一方で、2位には公開20周年のアニバーサリーとして再上映が始まった『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(05)がランクイン。公開規模が大きいながらも、週末3日間で2500万ドルを超える興収を記録したのはリバイバルとしてはなかなかのもの。また、ベン・アフレック主演の『ザ・コンサルタント』(16)の続編『The Accountant2』は約100万ドルという僅差で3位に破れているのだが、かろうじて前作を上回るオープニング成績をあげて面目を保ったようだ。

文/久保田 和馬

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