米国アカデミー賞の選考・授与を行う団体・映画芸術科学アカデミーが4月22日、映画制作における生成AIの使用について「作品のノミネートに影響しない」と明言した。

映画芸術科学アカデミーは今回、アカデミー賞のルールや対象作品の資格に変更を加えており、その中の一つとして、生成AI(Generative Artificial Intelligence)の使用に言及。

同時に映画芸術科学アカデミーは、受賞作品を選ぶ際、「創作活動の中心に人間がどの程度関わっていたかを考慮し、その功績を審査する」との文言も追加している。

ハリウッドの映画業界で巻き起こる生成AIを巡る議論

ハリウッドをはじめとしたアメリカの映画産業では、これまでにも生成AIの使用を巡る議論が巻き起こってきた。

2023年には、俳優組合と脚本家組合がストライキを実施。このストライキでは、俳優の演技に対する生成AIの使用、ストリーミングサービスの二次使用料や報酬の引き上げが争点となった。

一方、2024年には、『タイタニック』などでも知られる映画監督のジェームズ・キャメロンさんが、画像生成AI「Stable Diffusion」などを手がけるStability AI社の取締役に就任。

以降も、生成AIは映画制作に取り入れられている。

主演男優賞の演技にも生成AIが関与したアカデミー賞

直近では2025年1月、映画『ブルータリスト』(2024年公開)でエイドリアン・ブロディさん演じる主人公のユダヤ人建築家とその妻が話すハンガリー語に、AIが使用されていることが明らかに。

同作はその後、2025年3月の第97回アカデミー賞で3部門を受賞。エイドリアン・ブロディさんは主演男優賞を受賞した。

映画『ブルータリスト』予告編

2025年2月には、生成AI使用を巡る議論を受け、アカデミー賞への応募プロセスで「AIの使用状況を開示することを義務付けるかどうか検討している」と報じられた映画芸術科学アカデミー(外部リンク)。

その上で今回の変更では、そこまで踏み込まない判断を下しただけでなく、「映画制作における生成AIの使用は作品のノミネートに影響しない」と明らかにした形だ。

Yugaming

1990年生まれの地方在住。インターネットに青春時代を持っていかれた。VRとesportsが関心領域。最近はnoteを拠点に活動している。

米アカデミー賞、映画制作での生成AIの使用は「ノミネートに影響しない」と明言

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