今、Tik Tokを中心に“牛脂”がバイラルなスキンケアトレンドとして注目を浴びていることをご存知だろうか? (洞窟で暮らしていた石器時代の先人たちは体に塗るなどしていたのかもしれないが、現代においてはライフスタイルがあまりに異なるため参考にはならないだろう)。このトレンドは、SNSで料理動画を発信することで有名なモデル、ナラ・スミスがお手製の保湿クリームの材料として牛脂を使用したことに始まり、それ以降TikTokにおける“スキンフルエンサー”たちによって広まった今話題のスキンケアだ。牛脂は肌のバリア機能を果たし、抗炎症作用もあり、時にはニキビにも効果があり肌に良いといわれているが、実際の効果はいかほどだろうか?
私はトレンドものは実際に体験するまで信じないタイプであるので、以前流行った1日2.5リットルの水を飲むチャレンジや骨スープを飲むこと、さらに加工食品を完全に排除することなどと同じく、今回も実際に自分で試してみることにした。私はもともとニキビができやすい肌質であるため、新しい製品を試すことが大好きで、実際に牛脂を顔に塗ったらどんな効果が現れるのかとても楽しみだった。それに、牛脂は自然のものでコスメではないので、顔にわずかでも塗ったことにより害があるかもしれないとも考えていた。とにもかくにも、先祖たちがやっていたように100%オーガニックの草で育った牛のピュアな牛脂を手に入れ、その興味深い新しいスキンケアルーティンを始めてみたのだ。
1〜3日目、まずは朝晩塗ってみる
最初の数日間は、朝起きたら塗って、夜塗って寝て、また朝洗い流して繰り返す、というようにいつも使用していたセラヴィの保湿ローションの代わりに牛脂を使うだけでとても簡単にトライすることができた。牛脂自体は、ココナッツオイルに似た厚みのあるバームのような質感で、顔全体に塗ると少し不思議な感触だった。すぐにピカピカとベタベタした光沢が出てきて、それはまるで生まれたばかりの赤ちゃんのようでもあり、気味が悪い感じもした。
また、ほんのり脂っこい牛肉のような匂いもあり、顔周りにその匂いが漂うのはあまり心地よくなかった。妻は私に近づく前に牛脂を塗ったかどうかを確認するようになり、あるとき伝えるのを忘れていたら、近づくなり彼女はのけぞって嫌悪感を示していた。このニオイ問題を除けば、この実験は最初から比較的楽なものであったといえる。
3~5日目に訪れた変化
次第にこのチャレンジに疲弊感が出てきたのは、3日目あたりからだった。最初はまあまあ大丈夫だった匂いが、すぐに不快に感じるようになってきた。そしてベタつきも問題で、毎日顔に牛脂を塗りその後メイクをして地下鉄で仕事に行くという生活がニキビができやすい肌の人間にとっては非常に逆効果に感じたのだ。それでも、周囲の人たちは私が自分にとっての地獄を体験していることに気づいていない様子で、ある日同僚のハンナに「私の肌、どう?」と聞いたところ、「いいんじゃない」と言われたけれど、今考えればおそらく嘘だったかもしれない……。