世界の滅亡を防ぐため、滅びの山に運命の「指輪」を葬る使命を受けた、主人公フロドら旅の仲間の冒険は、この最終章で想像を超えたスペクタクルとなって観る者を圧倒。長尺作品の中でもクライマックスの怒涛感と感動は群を抜く。モーション・キャプチャーで特異なキャラのゴラムを完成させるなど、映像革命を起こした作品として記憶に残るシリーズで、後に同じジャクソン監督による前日譚「ホビット」3部作も作られた。
『七人の侍』(1954)──3時間27分(207分)
Photo: Everett Collection
日本映画でも長尺作品をいくつか挙げることができるが、その中でも名作といえば、黒澤明監督の3時間27分におよぶ、この時代劇だろう。戦国時代、貧しい農民たちが侍(浪人)を雇い、盗賊の野武士からの攻撃に立ち向かうというシンプルな物語に、映像とドラマの両面で映画の醍醐味が詰め込まれている。七人の侍のキャラクター設定や、クライマックスの豪雨の決戦シーン、スローモーションのアクション映像など、世界レベルで後のクリエイターに与えた影響は計り知れない。時代劇とはいえ西部劇のテイストも備えていたことから、ハリウッドで『荒野の七人』としてリメイクもされた。
当時の日本での興行成績は年間4位。批評家からの評価も抜きん出たものではなかったが、その後の「日本映画史上ベストテン」などでは何度も1位を獲得。長く続きながら、まったく飽きることのない戦い、その果てのラストシーンの余韻は、何度観ても心に深くしみわたる。
『ベン・ハー』(1959)──3時間32分(212分)
Photo: Everett Collection