探検家、医師、文化人類学者 関野吉晴/144
せきの・よしはる 1949年1月、東京都墨田区出身。75年一橋大学法学部卒業、76年一橋大学社会学部中退、82年横浜市立大学医学部医学科卒業。一橋大学在学中に探検部を創設し、アマゾンを旅する。医師として資金を稼ぎながら、93年に「グレートジャーニー」を始め、8年3カ月かけて南米からアフリカまで踏破するなど各地を探検。99年植村直己冒険賞。2002年武蔵野美術大学教授(文化人類学)、19年同大学名誉教授。著書に『人類は何を失いつつあるのか』(共著、朝日文庫)など。
衝撃的なタイトルだが、テーマはいたって真剣。世界各地を旅してまわった探検家が、鼻つまみ者、嫌われ者の生き物から地球と人類の今後を考えるドキュメンタリー映画を監督し、静かな反響を巻き起こしている。(聞き手=大宮知信・ジャーナリスト)
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── 昨年8月に公開された初監督のドキュメンタリー映画「うんこと死体の復権」が今なお話題です。刺激的な映画のタイトルには驚いてしまいますが、関野さんが出会った3人の「賢人」とともに、無数の生き物が織りなす世界から「持続可能な未来」のヒントを見いだしていく内容です。
関野 これまでに全国約50館で上映され、観客動員数はもう1万人を超えています。だけど、これほど反響があるとは思っていませんでした。うんこがボワンと出てくる映画なんて、今まで日本はもちろん国際的にもありません。映画を見始めたら、最初は引かれてしまうんですよ。僕がうんこをしている場面がファーストシーンなんですから、アハハハ。
── 公開にこぎつけるのも大変だったのでは?
関野 東京・中野の映画館(ポレポレ東中野)の支配人に試写を見てもらったんです。実は支配人には何度か僕が過去に出演したドキュメンタリー映画を見てもらっていて、今回も僕の映画に期待していた…
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