会場は“公衆トイレ”。ヴァレンティノが追求する、真の親密さ【202526年秋冬 パリコレクション】

Photo: Matteo Gebbia / Gorunway.com

ヴァレンティノ(VALENTINO)のシンボルカラー、レッド。今日を境に、そのカラーの見方が変わるだろう。アレッサンドロ・ミケーレによるメゾンの2025-26年秋冬ショーの会場となった巨大な化粧室に足を踏み入れた瞬間、そう思った。ウィメンズとメンズ共同コレクションのため、“ジェンダーレスの公衆トイレ”という設定の会場は、不気味な赤い光に包まれており、ミケーレ自身は「故デヴィッド・リンチ監督の映画のような空間」と表現。だが個人的にはリンチよりも、スタンリー・キューブリックの『シャイニング』(1980年)と、『サブスタンス』(2024年)の世界観を想起した。

会場は“公衆トイレ”。ヴァレンティノが追求する、真の親密さ【202526年秋冬 パリコレクション】

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会場は“公衆トイレ”。ヴァレンティノが追求する、真の親密さ【202526年秋冬 パリコレクション】

Photo: Andrea Adriani / Gorunway.com

会場は“公衆トイレ”。ヴァレンティノが追求する、真の親密さ【202526年秋冬 パリコレクション】

Photo: Alessandro Lucioni / Gorunway.com

2025-26年秋冬は、ミケーレによる2回目のヴァレンティノのプレタポルテショーだ。デビューショーは賛否両論を呼び、メゾンの過去コレクションをただなぞっているだけだという辛辣な意見も一部の人からあがった。だがミケーレは相変わらず、そんな意見を物ともしていない。正式には「親密さ」を探求したショーだった。ミケーレ曰く、親密さとは人生という芝居においての一幕であり、内と外、隠されるものと露わになるもの、深層と表層など、あらゆる二元性を持つ。それゆえに、こういった相反する要素が共存する場所である公衆トイレに、ショーは設定されていた。しかしこれは、ジェンダーフルイド・ファッションの草分け的な存在であるミケーレのことだ。勢いを増している反トランスジェンダーの波に物申しているのかもしれない。

会場は“公衆トイレ”。ヴァレンティノが追求する、真の親密さ【202526年秋冬 パリコレクション】

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会場は“公衆トイレ”。ヴァレンティノが追求する、真の親密さ【202526年秋冬 パリコレクション】

Photo: Alessandro Lucioni / Gorunway.com

ヴァンドーム広場にあるヴァレンティノの本社で行われたプレビューで、ミケーレはメゾンのレガシーをアップデートすることに注力した。「なかなか一筋縄ではいきません。現代的なマキシマリズムをうまく身近なものにしないと、時代に取り残されてしまいます。なので、過去を今に昇華させようとしているのです」とミケーレは言う。結果、現代のリアルなファッションを映し出すようなコレクションが生まれ、ゆったりとしたツイードパンツ、Vネックセーター、フェイクファーのジャケットからなるルック2や、ビスチェトップと70年代風のハイウエストジーンズを組み合わせたルック8など、昨今のストリートでもよく見かけるようなスタイルが披露された。

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