落ち着いた佇まいの和装。神社関係者の服装にも見えますが、違います。「平安モード」という名で、ファッションブランドから発売されています。

この和装「平安モード」を販売しているのは「伝統との共存を目指したファッションとしての和装」を提案するブランド・MISAMARU(ミサマル)。

本格的な仕上がりのためか、販売ページには「平安モード」を着用して神社境内へは立ち入らないよう注意書きまで掲載。

どのような経緯で制作され、注意書きまで掲載されたのか──ブランドの担当者に取材すると、神社関係者とのきめ細やかなやり取りを知ることができました。

【画像】美しく仕立てられたMISAMARUの和装アイテム“ファッションとしての和装”を提案するブランド MISAMARU

MISAMARUは、学生や社会人など、立場に関係なく気軽に着物を楽しんでほしいという理念で和装を展開するファッションブランド。

2月には、ショート丈の羽織と袴スカートを使用した「執事風和装コーデ」がSNSで話題を呼び、フォロワー数や売り上げが大きく増加。これをきっかけに、ブランドや「平安モード」にも注目が集まりました。

今回紹介する「平安モード」は、貴族だけではなく庶民の日常着として親しまれていた装いである狩衣(かりぎぬ)や水干(すいかん)をモチーフにした一着。

家庭の洗濯機で洗えて、一般的なハンガーで干すだけでOK。佇まいの美しさに加え、その扱いやすさも魅力的です。現代のライフスタイルに気軽に伝統的な和装を取り入れることができます。

平安時代の狩衣や水干のかっこよさから「平安モード」が誕生

──「伝統との共存を目指したファッションとしての和装」というブランドコンセプトについて、和装らしさを残しつつ現代的なアレンジを施す際、どのような点を意識していますか?

MISAMARU担当者 シンプルなデザインながら、和裁の直線的なパターンや縫製の美しさへのリスペクトを表現するようこだわっています。

「ファッションとしての和装」ということで、現代の洋装では定番の黒一色・白一色など、非常にシンプルな和装の展開に挑戦しています。

──新作である和装「平安モード」が生まれたきっかけや、こだわりのポイントについて教えてください。

MISAMARU担当者 ブランド展開をスタートした2024年6月、改めて着物だけではなく、日本の服飾史全体を書籍で学び直しました。

その際に、主に平安時代に庶民の男性や貴族が着用していたとされる狩衣・水干のビジュアルのかっこよさに心を奪われ「性別関係なく着られる狩衣・水干モチーフの現代的なトップスをつくりたい」と思い立ったのが製作のきっかけです。

「平安モード」の製作にあたっては、書籍での歴史の学習だけではなく、狩衣を着用する機会がある現代の神社関係者(神主)や京都の有識者、日本服飾史の先生方への取材も行っています。

神主の協力を得て製作 アドバイスをデザインで表現

──神主の協力を得てデザインされたとのことですが、具体的にどのような形で携わられたのでしょうか?

MISAMARU担当者 「平安モード」は最初から、第1弾としてブラック・ホワイトの2色展開でスタートする予定でした。

しかし、ホワイトについては色と形から「神職者の着用する浄衣・白丁に似ているのでは?」という懸念がありました。

もし「平安モード」のホワイトを着て境内へ入った場合、神社に対して迷惑になるかもしれない。そのため、神主の方々に実際に平安モードをご覧いただき、アドバイスやコメントをいただく形で製品製作に携わっていただきました。

MISAMARU製作の和装「平安モード」/画像は販売ページより

MISAMARU担当者 そこで神主の方々からいただいたご意見を元に、SNSで「平安モード」ホワイトに関するお願いを出させていただきました(外部リンク)。

サンプル段階では、より狩衣・水干の仕様に近いものとして背中心も背紋も無しの予定だったのですが、神主様より「背紋があった方が浄衣や白丁との違いが出てかっこいいのでは」とのご意見をいただき、完成版には背紋をつけました。

──神主のアドバイスをデザインとしても落とし込んでいるんですね。ありがとうございます。最後に、今後製作予定の製品について教えてください。

MISAMARU担当者 着物にも羽織にもなるトップスや、大正時代の鉄道省の制服から着想を得たアイテムを製作予定です。

KAI-YOU編集部_アート部門

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ポップポータルメディア「KAI-YOU」の編集部(2013年3月15日より運営開始)。
重要性の高いニュース記事に加え、クリエイターへのインタビューや発表会、展覧会などのイベントレポート、独自の視点・切り口からのレビューやコラムなども多数配信。ポップカルチャーと現代社会が相互に影響し合う歴史を記録しながら、シーンの最先端にある新たな価値観や才能を発掘・発信している。

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