「私のプロジェクトにとって、“ミッドウェスト”(ミズーリ州を含むアメリカ合衆国中西部)は非常に重要で、音楽やファッション、歌詞全般のインスピレーションとなっています。私にとってミッドウェスト的なカントリースタイル──つまり“ダサさ”はとても大切にしたい要素。だからこそ、自分のそういう部分を失いたくないと思っているのです」
双極Ⅱ型障害を克服し、キリスト教自体には共感せずとも深い理解を示すまでになったというローン。そんな彼女は、そのコミュニティの一員であったことや、その視点を身につけたことで、自身のクリエイションが更なる進化を遂げたと感じているという。
SNSの誹謗中傷は“有名税”なのか?
2024年8月、LAにてパフォーマンス。Photo: Dana Jacobs/WireImage
「私はクィアコミュニティの一員です。そのおかげで、自分がクィアでいることの自由を感じています。ここにいる皆さんの多くがクィアであり、私と一緒にただ楽しい時間を過ごしたいだけだということもわかっています。だからこそ、皆さんとともにいるこここそが、私にとって心底休まる場所なのです」
2023年のパフォーマンスの最中にステージ上から観客に向かってこう語りかけたローンは、デビューと同時にクィア・ポップ・アイコンとなり、その“ドラァグ・ペルソナ”に宿した反骨精神を、旧態然として“異性愛”をテーマの主流に掲げる現在のポップミュージックシーンのあり方へと向けている。だが、ときに若い女性たちに自分のセクシュアリティを誇るよう呼びかけ、「男の目線」を一蹴する強いパンク魂で変革を訴える彼女に対し、SNS上では「気持ち悪い」と容赦ない言葉を投げつけ、道を歩けば罵声を浴びせるばかりか、行きすぎたファンによる家族へのストーキングなどの被害も被っていることがメディアで報じられた。この現状に対し、ローンは自らの見解をこう語る。