福田雄一監督の演出を好むかどうかで判断が変わる映画。ただしアクションは本気度がすごい!!!山﨑賢人はもちろん宮世琉弥が頑張ってた!
アンダーニンジャ
原作は花沢健吾の漫画で現在も連載中
監督/福田雄一
福田雄一監督といえば
「勇者ヨシヒコ・シリーズ(11、12、16)」
「新解釈・三國志(20)」
「今日から俺は‼︎劇場版20)」
「聖☆おにいさん(24)」
などのコメディ映画で知られる監督。
出演/
山﨑賢人
浜辺美波
間宮祥太朗
白石麻衣
山本千尋
宮世 琉弥(みやせ りゅうび)
坂口涼太郎
長谷川忍(シソンヌ)
木南晴夏
ムロツヨシ
岡山天音
平田満
佐藤二朗
今回のアンダーニンジャは漫画原作であるもののギャグ漫画ではなく、コメディ…漫画の類。
そのコメディもシュールなコメディであり、福田雄一のテイストとどうマッチするのか?がポイントになると思われる。
原作漫画は軽く読み流していて、アニメ版は一通り履修している程度。
忍者組織NINの末端に所属する下忍・雲隠九郎(山﨑賢人)は、仕事がなくボロアパートで暇を持て余していた。
そんなある日、中忍の加藤(間宮祥太朗)から講談高校への潜入を命じられる。ステルスモード搭載の最新の忍者パーカーも渡された。九郎は編入生として講談高校に通う。
金髪の野口彩花(浜辺美波)と仲良くなり、色々な情報を聞き出した。そして講談高校が非公式の忍者組織・UN(アンダーニンジャ)に狙われていることを確信。生徒たちの中にアンダーニンジャが潜んでいる…。NINの仲間として鈴木(白石麻衣)や蜂谷紫音(宮世琉弥)も講談高校やってくる。
巷では、抜忍の猿田(岡山天音)がNINの忍者たちを次々に暗殺していた…。
冒頭、九郎(山﨑賢人)が忍者であることを明確にスクリーンに出しつつもぐうたらニート生活であることを見せるシーンからの、隣部屋の大野(ムロツヨシ)とのやりとり。
作家の吉田(佐藤二朗)と編集の鈴木(白石麻衣)の日常を描く、簡単に言うとギャグあふれる日常パートでは、原作テイストを全面に出してシュールな雰囲気満載で描かれている。
そこに任務で講談高校に潜入する際に登場する野口(浜辺美波)が出てくるところでさらにお笑いテイストの風呂敷を広げるものの、忍者アクション映画としての雰囲気を匂わせるようになってくる。
このあたりの緩急の付け方は福田雄一監督らしいコメディテイストが全面に出ており、彼の過去作品が好きな人にとっては
クスクスとした笑いが繰り返される
特に九郎(山﨑賢人)と大野(ムロツヨシ)の押し入れのふすまを使ってのやり取りは、しつこいほど繰り返されるものの、ムロツヨシのうまさに寄って間が取れているところはさすがとしか言えない
しかも山﨑賢人が笑いをこらえながら演技をしているところは、間違いなくムロツヨシのアドリブ
照明の関係で明確に笑っている表情は映っていないが、山﨑賢人の肩が震えている様子が明確に見て取れる。
このシーンをストップを掛けずに延々と撮影をし続けた福田監督の手腕は、逆に恐るべし…ともいえる。
また吉田(佐藤二朗)と鈴木(白石麻衣)のやり取りもかなり佐藤二朗のアドリブに振り回された感もあるが、さすがの面白さである。
その緩急として忍者アクションシーンになると、コレまでの福田雄一監督の中でもかなりの本格アクションになっている。
「今日から俺は!!」などでは喧嘩シーンなどでアクションは合ったが、しっかりとしたアクションで構成されており、山﨑賢人を始め各俳優がしっかりと演じている。
山﨑賢人はさすが「キングダム」の「信」である。
アクションもお手の物である。
冒頭の外国人相手の体格差がある中でのアクションもそうだし、常に裸足であることの意味合いをもたせる足の指を使ったアクションもそう。
そして体術での戦いになったときの動きも含めてアクションシーンは見応え十分
もちろん日常の昼行灯というか常に気だるい雰囲気を持つ九郎をうまく演じてくれている。
敵となる抜け忍の猿田演じる岡山天音も素晴らしいアクションを見せてくれると、想像を超えて見栄えあるシーンを見せてくれたのが、宮世 琉弥(みやせ りゅうび)。
終盤前の学校の廊下での対峙からのアクションは見栄えがする。
素早くもていねい。ていねいでありながらもスピード感が十分あるアクションは壁や天井をふくめた3次元をうまく使い切った見ごたえあるシーンになっている。
そこに至るまでは どこか ボンボンのあまちゃんキャラ感あったのに、一度アクションに入ると見事!なものである。
そして敵側ボスを演じたあの人も良かった
激しいアクションシーンはボディダブルと思われるが、顔をしっかりと見せるところや日常とのギャップなども含めて素晴らしかった。
浜辺美波もすごい
ここまで今までのイメージを覆すようなキャラクターを演じきった…のもすごいし、この映画の出演を許可した事務所もすごい。
ある意味、今回のキャラクターはコレまでの浜辺美波のイメージを大きく覆すともいえる。
が、
すこしくどいくらいに変顔シーンを見せるのはやり過ぎ感もある
とはいえ、浜辺美波はやっぱり可愛い とにかくかわいい
は満喫できるのは街がない。
しっかりと演技ができる…
これだけで彼女の今後が楽しみでしか無い。
そしてきちんとしていたのが小物類
なかでも刀はきちんと忍者刀が使われており、
刀身がきちんと直刀で、長さも40-45cmほどにまとめられている。
刀アクションがあるので、どこかで太刀ならぬ日本刀を持たされるのではないか?という不安すらあったのだが、それは杞憂だった。
その一方で原作漫画やTVなどであった、下ネタ系はほぼカット
このあたりは原作ファン、アニメファンからすると不満点になるかもしれない。
福田雄一作品が好きな人にとっては、前半で満足し後半は別物…と思う人も出るかもしれない。
このあたりがこの映画の評価の分かれ道になるのではないだろうか?
ただ福田雄一監督はアクションはアクション監督に丸投げ…。
となるとアクションシーンの素晴らしさはアクション監督の田渕景也(たぶち けいや)氏の手腕が大きいだろう。
田渕景也さんといえば、仮面ライダーアマゾンズでも知られる方で、シン・仮面ライダーでも名前を見られる方。
シン・仮面ライダーは庵野監督の声がかなりはいったと思われるが、それぞれのアクションは見ごたえがあったのも事実。
そういう意味でいうと、福田雄一らしい部分と、監督の手を離れた本格アクションの2面性ある映画…をどこまで素直に受け取るか?で面白さは変わるのかもしれない1本です