バラブーが誕生したのはサラが大学で写真を学んでいたコロナ禍のことで、当初は小さなカプセルコレクションとして展開していた。「私はTumblrやTwitterであらゆるものをスクロールしてきた世代出身です。なかでもファッションのイメージはとても興味深いものでした」とサラ。「私は次第にアイコニックなアイテムとイメージ、そしてそれらをどこで見たか、頭のなかで答え合わせをしていくマッチングゲームをするようになりました。運がいいときは、そのアイテムを着ている人を見かけたり、誰かのクローゼットやお店で実際に目にすることもありましたね。そうやって点と点を結んでいくのが本当に楽しくなっていったんです」
バラブーは後に物理的なスペースへと発展。パリでのポップアップで手応えを感じた彼女は、現在の場所に辿り着いた。当初は「買い物できるアパートメント」として設計され、ベッドを中心にレールで囲まれていたそうだ(2025年は西ロンドンへの移転を予定している)。ベッドはなくなったが、それでも変わらずアパートのような雰囲気は保たれており、訪れた人たちはまるで友人のワードローブをのぞくようにしてカジュアルに試着できる。今では若者たちの間でも話題となり、アルヴァ・クレールやパロマ・エルセッサーといったモデルたちの来店も後を絶たない。熱心な顧客であるカイリー・ジェンナーを含め、東ロンドンまで足を運べない人はオンラインでそのラインナップを見ることもできる。
サラのコレクションは本質的にパーソナルなものであり、バラブーは彼女の分身のようなものだと言ってもいいだろう。しかし、彼女は決して自分のために買い付けているわけではない。バラブーが掲げる顧客像について、彼女は「『アグリー・ベティ』や『プラダを着た悪魔』、『10日間で男を上手にフル方法』、『セックス・アンド・ザ・シティ』といった作品に登場する女性たちをミックスしたもの」と説明する。「その“彼女”は、私が消費してきたすべてのものの幻影です 」
オーナーの美的センスが光る、唯一無二のラインナップ
Photo: Courtesy of Baraboux