インターネットでインフルエンサーのコンテンツに興味を持つことは稀だ。年齢のせいかもしれないが、正直言ってあまり惹かれない。とはいえ、ドリュー・ジョイナーのコンテンツには心を動かされる。

彼を知っている人なら、その理由がわかるだろう。彼の情熱とあふれるエネルギーに加えて、良質な音楽と自然体の落ち着いた雰囲気が絶妙に混ざり合っており、それが決してつくり物には見えないのだ。デンバー出身のジョイナーは、4年前に「Beyond the Garment with Drew Joiner」というポッドキャストを立ち上げ、現在もホストを務めている。このプロジェクトは、学びたいという欲求から生まれたものだ。

Related StoryFit Oneドリュー・ジョイナーギャラリーを見る

現在、どのような仕事をして生計を立てていますか? ファッションへの興味をどうやって維持しているのですか?

私は幸運にもフルタイムのクリエイターとして活動しています。仕事として行っているのは、YouTube動画、TikTok、Instagramリールの制作で、自分が関心を持っていることについて話すことです。個人スタイルに対してアドバイスを提供し、ファッションに関連する興味をもってもらえる会話を生み出すことを目指しています。

最近Instagramに投稿しているシリーズについて教えてください。

Portal Aという素晴らしい会社と一緒にオリジナルシリーズ「Fit Check」を制作しました。6エピソードにわたり、今年の代表的なトレンドを取り上げています。例えば、赤を差し色として使うスタイル、「Brat Summer」というテーマ、「Office Siren」というトレンド、スニーカーのトレンドの状況、若い男性が祖父のような服装をする傾向などです。このシリーズは、これまで私が自分で撮影、編集、脚本執筆をしてきたものとは異なり、より洗練された形で新しい挑戦でした。今回初めて、私のチャンネルに投稿する非収益型のコンテンツとして、オーディエンスとの関わりを深める試みをしました。

なぜニューヨークに移住したのですか?

ニューヨークは「夢の都市」であり、「眠らない街」で、エネルギーに満ち溢れた街だからです。デンバーでは、自分が「小さな池の中の大きな魚」のように感じていて、ニューヨークのような大舞台で自分を試してみたかったのです。ここに住み始めて1年になりますが、創造的な観点から言えば、ニューヨークに移住するという決断は人生で最良のものだったと思っています。

Fit Twoドリュー・ジョイナーギャラリーを見る

ファッションに興味を持ったきっかけは?決定的な瞬間はありましたか?

自然な流れでした。決定的な瞬間があったというわけではありません。私のファッションへの興味は、多くの人が若い頃に興味を持つであろうスニーカーから始まりました。私はバスケットボール選手だったので、バッシュには常にこだわりを持っていました。そして、よりカッコいいスニーカーを手に入れたら、それに合う良い服装を揃えたくなるものです。この原則はどのスタイルにも共通していると思います。例えば、靴や帽子、眼鏡からスタートする場合でも、それだけが目立つのではなく、全体が調和していなければなりません。

2021年に日本のファッションに初めて触れたとき、私の関心は一気に深まりました。日本のアメカジ、日本のデニム、「Ametora」や「Mecca G」といった、日本のデザインにアメリカの要素が絡む世界について学び始めたとき、私は本格的にメンズウェアやファッションに対する思いを強くしました。

最近のコンテンツは少し不自然に感じることがあります。多くの人がインフルエンサーになろうとしていますが、あなたのコンテンツは本当に楽しくて新鮮です。どのようにしてインスピレーションを維持し、自然体でいられるのでしょうか?

ちょうど「本物らしさ」についてTEDトークを行ったばかりなんです。本物であることに関して言えば、私は最初からこのままでした。人は、自分らしくない行動や、ただトレンドに乗ろうとしているだけの姿を見抜くものです。正直に言うと、私もトレンドに関する話題を取り上げることはありますが、それでも自分のスタイルで行うように心がけています。自分自身を表す視点を見つけ、それを通じて語るようにしています。

私たちにはそれぞれ独自の物語や育った環境があります。私は自分の子ども時代や、コロラドで育った経験、引っ越し、そして現代社会で生きる黒人男性としての視点を取り入れています。それらを統合して、私が本当に関心を持つトピックを作り出し、それについて話すようにしています。もちろん、それが他の人にとっても興味を引くものであることを願っています。

創作にはバランスが必要です。本物であることは非常に重要ですが、誰も関心を持たないことだけを話していては、あなたと私がこうして会話をしていることもなかったでしょう。自分が大切に思うことを追求する一方で、オーディエンスが何を求めているのか、他の人々が何に関心を持っているのかを理解する必要もあるのです。その間で絶妙なバランスを取ることが、コンテンツを作る上での挑戦だと思っています。

Fit Threeドリュー・ジョイナーギャラリーを見る

TEDトークの話が気になりますね。どういった経緯で招待されたのでしょうか?また、どのようなテーマで話したのですか?

とても素晴らしい経験でした。サンノゼにあるハーカー・スクールという高校から招待されたのです。その学校の生徒グループが複数のスピーカーを探していて、その中の一人が私のコンテンツの大ファンだったそうです。

今年のTEDxのテーマが「Unfiltered(フィルタのない)」だったのですが、彼らは私がインターネット上で自分を飾らずに、本物らしさを示していると感じてくれたようです。そこで、教授や生徒たちと何度か話し合いを重ね、最終的にはTEDトークを行うことになりました。私は、自分のコンテンツを通じて本物らしさを大切にし、人々の生活にポジティブな影響を与える方法について話しました。

スタイルに関するアドバイスや「やるべきこと・やってはいけないこと」はありますか?

もちろんアドバイスはたくさんあります。実際、私のコンテンツの大部分は人々をサポートすることを目的としています。ただ、「こうしなければならない」という形でのルールではありません。「もしスタイリッシュになりたいなら、これを試してみる価値がある」という具体的な提案に近いです。

最初のポイントは、自分の体型と、それに合う服のフィット感を理解することです。私は身長6フィート3インチ(約190cm)で、スリムな体型なので、特定の服がその体型を活かし、自然に引き立ててくれます。身長が5フィート10インチ(約178cm)でも5フィート5インチ(約165cm)でも、女性でも男性でも、自分自身に合う組み合わせを見つけることが重要です。これは旅のようなもので、試行錯誤が必要になります。

例えば、ワイドフィットのパンツを履いて、ジェイコブ・エロルディのようなスタイルを目指しても、彼とは体型が異なるため、同じようには見えないかもしれません。ですから、私の最大のアドバイスのひとつは、自分の体の寸法をしっかり把握することです。そしてその寸法に基づいて行動すること。自分の体型に合ったブランドを選ぶことで、着ている服について良い気分を得られることが多くなるはずです。

Fit Fourドリュー・ジョイナーギャラリーを見る

あなたの個人的なスタイルに影響を与えた人物やものは何ですか?

私は1950年代、60年代、70年代のアメリカンのウエスタン・メンズウエアに強い関心を持っています。そして、それを再現する日本のブランドが手掛けた作品と組み合わせることに惹かれています。例えば、Taiga Takahashiのようなブランドは、見事に当時の雰囲気を現代的に作り出していて、とても素晴らしいと思います。

また、私の中には消えない要素もあります。私は大のアニメファンで、『ジョジョの奇妙な冒険』のファッションは非常にダイナミックで、そういった要素を取り入れたいと思っています。そして、スニーカーが大好き。2013年から2016年のストリートウエアのスタイルや考え方は、今でも捨てることができません。そのエッセンスを私のスタイルに取り入れ続けたいと思っています。

さらに、アバンギャルドなものやハイファッションなど、常に新しい刺激を受けています。心拍数が上がるような、ワクワクするものを取り入れるようにしており、それが私の体型や寸法に合うものであれば積極的に取り入れています。

初めて買ったファッションアイテムについて覚えていますか?

多くの人は大したことないと思うかもしれませんが、私はNikeのフアラッチ・ローを買うためにお金を貯めたことを覚えています。側面にグリーンのアクセントがあるものでした。当時、高校生だった私は自由に使えるお金があまりなかったんです。でも、2012年の私の学校では、フアラッチを履いている子は「イケてるやつ」でした。その靴を履いているだけで、本当にクールだと感じていました。

それと、Fear of God Vansを手に入れるためにモールの外でキャンプしたこともありました。友達が「一緒にキャンプしよう」と誘ってくれて、私は16歳か17歳でした。両親に「ドリュー、一晩中どこにいたの?」と聞かれて、「Vansを手に入れるためにキャンプしてたんだ」と答えました。すると両親はモールに車で来て、列を飛ばして靴を手に入れ、「ドリュー、もう一足手に入れたよ」と言いました。私は「ママ、ダメだよ!列を飛ばしちゃいけない!」と言ったのですが、両親は「知らなかったよ。普通に入って買っただけ」と。本当にクレイジーでした。結果的にFear of God Vansを2足手に入れました。

Related StoryFit Fiveドリュー・ジョイナーギャラリーを見る

最後に購入したものは何ですか?

エヴァン キノリとオアスロウのジーンズを購入しました。オアスロウが昔から大好きなんです。イチローも大好きで、このジーンズを見たときに「これを手に入れるしかない」と思いました。

ニューヨークのお気に入りスポットを3つ教えてください。

ブルー・イン・グリーン、私はあの場所が大好きです。ドミノ・パークもお気に入りです、美しいスカイラインをただ眺めているのが好きなんです。そしてセントラル・パーク。

食事の場所ではなく、自然を含めたのがいいですね。

それがコロラド出身らしさだと思います(笑)。

一生ひとつのコーディネートしか着られないとしたら、どんな服装を選びますか?

具体的に言うと、まずポロ ラルフローレンのボタンダウンシャツを着ます。その上にオアスロウのフレンチショアジャケットを重ねます。そして、私の一番お気に入りで、最高のフィット感を持つヨウジヤマモトの5パネル日本製セルビッジデニムパンツをはきます。

帽子はかぶらずに、美しい髪を見せますね。靴はモルジャスのペニーローファー。そして、かばんやウィズのクロスボディバッグ。これで一生の準備は整いますね。

Source / Esquire US
Translation / Yuka Ogasawara
※この翻訳は抄訳である。

Leave A Reply