ラストをすこし喋っちゃった… 八犬伝 は俳優陣の凄さと熱量を感じる1本

八犬伝

監督/曽利文彦
ピンポン(02)
ICHI(08)
鋼の錬金術師(17、22)

APPLESEED(04)プロデュース
ベクシル2077日本鎖国(07)

出演/
役所広司
内野聖陽
土屋太鳳
渡邊圭祐
鈴木仁
板垣李光人
水上恒司
松岡広大

藤岡真威人

河合優実

佳久創
上杉柊平

栗山千明

中村獅童
尾上右近

大貫勇輔
立川談春

磯村勇斗
黒木華
寺島しのぶ

甲賀忍法帖などの忍法帖シリーズで知られるし、魔界転生の原作者でもあるし…
日本の近代フィクション小説の作家としても知られる山田風太郎の「八犬伝」をベースにしている。

出演者はめちゃくちゃ豪華
滝沢馬琴と葛飾北斎を演じた役所広司と内野聖陽の共演だが、この現実パートの演技の凄さにおののく。
そこに奥さん役の寺島しのぶの演技が加わると、超怖い

虚実パートの「南総里見八犬伝」の映像化部分は、
板垣李光人や渡邊圭祐。藤岡真威人

今注目の若手俳優が揃い踏みしている。

さらに劇中で登場する歌舞伎シーンには
中村獅童や尾上右近が演じるなど
そういったかなり力の入った作品とも言える。

物語
人気作家の滝沢馬琴は、友人である絵師・葛飾北斎に、構想中の新作小説について語り始める。それは、8つの珠を持つ「八犬士」が運命に導かれるように集結し、里見家にかけられた呪いと戦う物語だった。

その内容に引き込まれた北斎は続きを聴くためにたびたび馬琴のもとを訪れるようになり、2人の奇妙な関係が始まる。

連載は馬琴のライフワークとなるが、28年の時を経てついにクライマックスを迎えようとしたとき、馬琴の視力は失われつつあった。

絶望的な状況に陥りながらも物語を完成させることに執念を燃やす馬琴のもとに、息子の妻・お路から意外な申し出が入る。

虚実入れ乱れる…というと語弊があるかもしれないが、
滝沢馬琴の人生を描く現実パートは、さっきも言ったように
役所広司と内野聖陽の演技力により飽きることなく緊迫感ある雰囲気を見せ続けてくれる。

南総里見八犬伝の虚構パートはかなり省略したシナリオ展開ではあるものの、南総里見八犬伝の物語の要所要所をしっかりと映像化した部分は拍手を送りたい

若手俳優ゆえの軽さ…的なものは感じられた部分もあるが、それでも十分見ごたえあるアクションを多用している。
CGが得意な曽利文彦だからこそ…とも言えるかもしれない
(それでもCGが ゴジラ-1.0と比べると…は贅沢な話かもしれない)

役所広司の演技は 否の付け所がないほどの素晴らしさ
視力を失ってからの演技は磨きがかかり、
凄みが増す

内野聖陽はひょうひょうとして葛飾北斎を演じており、
本当の北斎はこうだったんではないだろうか?と思わせてくれるほど
ドンピシャである

寺島しのぶは 憎々しい発言が多い奥さん役だが、
これがまた、堂に入った演技っぷり

そういった 超演技派俳優のなかで 若手(といってももうベテランレベル)の
黒木華である
彼女自身の演技はもちろんだが、とにかく所作の美しさが素晴らしい

正座の姿勢、手指の揃え方、畳への座り方などなど
全てにおいて美しい…
日本映画における至宝といってもいいかもしれない

若手の俳優はそれぞれに、八犬士を熱演
渡邊圭祐くんは 八犬士のリーダー格的ポジションをうまく演じていた。
彼が主演の南総里見八犬伝を作っても良いんじゃないだろうか?と思われるほど

板垣李光人くんは 中性的な彼のビジュアルを活かした配役
これはファンにとっても嬉しかったのではないだろうか?

他の八犬士を演じた若手はみな頑張っていた。
役所広司などとの共演シーンはほぼ無いものの、引っ張ってくれるベテランがいないにもかかわらず随分しっかりと演技をしていたと思われる。

さらに栗山千明の玉梓(たまずさ)の演技は圧巻
あのおどろおどろしいまでの演技は、夏木マリに通じるものがある
やっぱり栗山千明は演技がすごい!

映画全体で見ると面白さに満ちているものの、どうしても歴史再現映画にもみえてしまうのは仕方ないかもしれない
ただ、劇中にあったセリフの
「虚構だったとしても、それを信じて生きていけばリアルになる」
という言葉はいろいろな意味に捉えることも出来るし、現代社会において通じる言葉かもしれない

いずれにしても骨太な映画であり、大きなスクリーンで見るべき1本かもしれない

そしてラストシーンはまさに、「フランダースの犬」である!

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