【朗読】「三万両五十三次 四、狂瀾編」「三、新しき悩み」野村胡堂audiobook   ナレーター七味春五郎 発行元丸竹書房

新しき 悩み1 おぶんまさ川を口説くんじゃあるまいねと おい牛わかのキゴのかに持たれて上から こう差しのくのでした冗談じゃないそんな つもりなら今まで待っているものかみんな おっぱったのはお前がなんか話がある だろうと思ったからさ隠しちゃいけない 金屋峠で助けて恩を売ると思われるのも尺 だからそのまま通りすぎようとするとお前 の唇が妙に物いいたに動くじゃないがそれ からここまで来るうち断面も別れる檻が あったのに黙って俺の籠の後からつけて くるのはいずれわけのあることだろまず それを聞いてみようと思ったまでの話さ牛 の金吾は藤の足を少し投げ出し加減に道中 かごの中からレの顔を見上げるのでした大 そ思いやりがあるんだねおれんはお ちらかす調子ですがその言葉の底には 何かしら一脈のしんみりした気持ちが流れ ます俺の思いやりは今に始まったことじゃ ない生つばを飲むのはいっぱいやりたい 野郎で時ばかり聞くのは腹の減ったやつ金 のある話をする女はくっしと相場が決まっ たものさ 金剛はいも朗らかに笑い飛ばしますれんの 話が妙に理に落ちそうなのを警戒する つもりでしょう全くね私が親分の連れのお 嬢さんの顔ばかり見ていたんで内緒の話が あると悟ったんだよまそういった元 さ2人は顔を見合わせました妙にほぐれる ような微傷が込み上げて久しい間2を立っ ていたそわない心持ちが消えていくよう です言うまでもなくセの岸座のきがいじめ た情熱に圧倒されてすっかり逃げ場を失っ てしまったおれをつを飛ばして助けた上籠 や旅人を頼んで座を発砲から威嚇し山深く 逃げ込んぬようにしけたのはこの金の工 だったの ですレは量の悪いを見られた悪さに最初の うちはすっかりしげておりましたがやがて 気を取り直すとそしらぬ顔でキゴの後から ついてきたのでしたそれから日坂へ一時 30丁山深い寂しい道を半分ほど来ると牛 の金剛は何を感じたかさりも籠も山の茶店 に休ませてオレンとたった2人になる機械 を作ったのでし たところでその話というのは何だいと金剛 広く好奇心を動かした様子でそのままかろ に溶け込んでしまいそうなれんのろうたけ た顔を見上げました ねぶこんなことを言うとよりを戻させたい 細工と思うだろうが決してそんなわけじゃ ない俺の調子はもう一度しんみりして妙に 金の心持ちをそりたて ます私はこれだけは言うまいと思った目の 玉の黒いうは言わない方が無事かもしれ ないが言わずにいちゃやはり寝覚めが悪い ねぶ何を言うんだいそんな謎みたいなこと を言ったって分かるものかこかれたって 驚く俺じゃねえまっすぐに白場してしまい なキゴは少し生じた心持ちでもう一度こを 促しました少しのやれはありますが青い さき高い花唇の赤赤としたのもなんとなく りりしくてオレンの古傷をうかせるに十分 な男前ですね ブお前のじいさん赤の半蔵とか言いなすっ たあの年寄りをめた相手を知っていなさる かい えお前さんは知っているかそれが聞きたい んだよ俺は妙なことを言い出しまし た 2父親明りの半蔵を殺したのは誰 かそれを知っているかと俺に言われて牛の キゴもハ息を飲みました下からおを 見上げる顔は思わず鉄のようにばってキビ はさっと色を失ったほど ですババクランドキゴは辺りに聞かれては 悪いと言ったように支えきますとんでも ない親分レの調子も妙に真剣で籠の屋根に かけた手が滑るといつの間にやら匂う ばかりの顔を近々とキゴの前へ寄せており ました ほれお前は何を知ってるんだがあるなら 早く行ってくれそれがね親分俺んはもう 一度身を起こすと里あたりを見回しました 向こうの方でカサこそとカヤが動いたよう ですがそれは多分餌に植えた小鳥の仕業 でしょうババクランドだそれがどうしたと いうのだ俺んキゴは今度ははっきり 言い切って物に怯えたレの顔を物珍しく 長めありまし たそう思い込んでいてくれると私の方は 都合がいいがなんだとババクランドに傷で もつけてくれると私の仕事はうんと楽に なるれんの言葉に全く嘘はありませんキゴ とクランドが噛み合えばどちらが死んでも どちらが怪我をしても3万料を狙う俺には 都合の良いことだったのです何をつまらぬ 切り出しの重大さに似話が一歩も進まない のでキゴも少ししびれを切らした様子です ところが大違いなんだ何が親分の親子を 殺した本当の下人が他にあるんだよつまら ぬことを言ってまた俺を面くらわせる つもりだろうよしてくれおれん先を急ぐた だぜ心もせくだろうがこれだけは聞いて おいた方がいい よ村だろそれは当のババクランドも承知だ 産業の大橋を越せばお嬢さんと一緒に打つ 約束になっているんだよ金剛は少しめんど くさそうでしたがレんがあまりうるさく 絡みつくのでこれだけのことを言って陰道 を渡そうとしたの ですしかし肝心のオレは少しもめげる様子 がありませんそう思い込むのも無理はない が聞いておくれよ親分他のことと違って 打ってしまってから違っていたでは当人は 言うまでもなく世間様に住ま ない沼の本人で物置きへくもが入った親分 のじいさんがそれを見回りに行ったのは 分かっていわねうんちょうどその時2階の 戸が開いたんだよくもは驚いて逃げ出すと 2階からババクランドが投げだちをやった かに乗ったままキゴを見下ろすようにレん は手口のかかった腕をあげて仕方話になり ますで投は2人のくもの1人に当たったが 幸い着物とを縫われて怪我はなかったん だ とその後から親分のじいさんが追いすがっ て顔を出したろ話が本当らしくなるので キゴは思わず片思ましたもう1人の物は 相手の背を縫った刀を取って下からじい さんを突き上げたのだよだからあの傷は上 から刺したんでなくて下から突き上げたの だバワクランドはそれに気がついた様子だ が逃げるのも卑怯と思ったかそれとも どうせ撃たれる体と観念したか黙って しまったのさ俺れそれは本当か証拠がある か証拠が キゴは足の痛さも忘れて顔から 立ち上がろうとしまし た3 証拠そんなものがいるのかね俺は飲み込み かねた様子でした自分の言葉を信じなけれ ばならぬものに決めた横着さが妙にキゴを 苛立せ ます他のこととは違うよふのことで相手を 帰るわに行くま知らすのようだねだけど 親分にしちゃ無理もないこったろくしに なったつもりで並べてみよういいかえ親分 俺んはもう一度腰を下ろしてキゴの顔へ 近々と自分のさきを持っていくのでした 金剛は黙っておりますがその顔には不安と 緊張とがはんでレの方も妙に用人深い調子 になります 下から突き上げた傷はじいさんの体の格好 で上から刺したと取れないこともないが あの晩本人の物置きへしんだやの着物が帯 へかけて一文字に切り裂かれていたとし たらどうだろうそいつは誰だ慌てちゃいけ ないよ親分投げ出しで着物を咲かれたのは 本当の主人じゃないその連れが下へ落ちた 刀を拾って からおるじさんをついたのさそいつは誰だ 金剛は果子でした下種人の名を教えずに このまま逃げ出されるのを恐れるように籠 の前ひしに触れるオレのを捉えて思わず かっっと咳き込みますあの時ババクランド の刀には地の他に少しばかり泥がついてい たが誰もそこまでは気がんだ ねてすぐにじさんをさした刀なら泥のつく わけがない物の背中と帯を咲いて1度大地 につったったから泥がついたんじゃないの 女の刀へ拭いをかけたババクランドはそれ くらいのことに気のつかない人間ではない があの痩せがとめどくさがりでどうせ撃た れる命なら痛めをつつけるまでもないと 黙ってしまったんだね嘘だと思ったらバワ クランドに聞いてみるがいい俺の話は全く 予想外な言ばかり知恵も腕前も人に遅れる 金剛ではありませんが父の死という大地に 目がくらんで全くそこまでは気がつか なかったのでしょうそれからどうした2人 のうちのどっちかが市街から胴巻を抜いて 逃げたのさ後でそれを聞いて私はどんなに 腹を立てたことだろうぬすっととは稼業に しているが仲間の身よりのものを取っちゃ 義理が済まないそれも他の人ならともかく 親分のじいさんを殺した上胴巻きまで抜い ちゃ寝覚めが悪いじゃないか神原の宿で 親分に返したのはそのためさこうまで はっきり言われるともう争う余地があり ません相手がババクランドでないと決まる とこの先の旅にも色々変わったことが なければなりませ ん誰だそいつは大方さしがつかないかね 親分分かる大腸させようにはっきり分かる つもりだが他のことと違ってお前の口から 確かな名前が聞きたい金はごくり片を飲み ましたそういう目の先には虫男この機械な 姿がもう幻のように見えるような気がして ならなかったのです宣告は親分に助けられ てまた一貫借りてしまったがこれでその場 を去らずに返したことになるだろうね親分 お前さんとの間にはもう仮も貸もないよれ んはかごを離れてにっこりわだかまりも ない笑顔を見せますそんなことはどだって 構わない俺は相手の名がはっきり聞いて おきたいじさんを殺したのは誰だいえ俺ん お願いだはっきり言ってくれお前が望み ながら一巻ばかりはケチだ10巻でも 100巻でも仮にしておくよキゴは顔から 乗り出しそうになりまし た4おれんそら接だ下人の名を教えてくれ 顔のタをるように金は立ち上がりましおば またアよ身をひがして飛びのくおれんそれ をおいそうにして金吾はがっくり彼氏の上 にくれましたあつつお危ないねさりむ おれんの後ろからキゴは本当に必死の声を 絞りますおれん頼むから教えてくれそれと も吉の野郎と思って構わないかは力にち おってこれだけのことを言うのが生ぜでし たとんでもない親分それじゃあ誰だ吉かも しれず吉でないかもしれないんだよあの時 沼の本人の辺りにうろうろしていたのは吉 座の他にのっぽだけと平行とそれに私 からかっちゃいけねえれん俺は真剣なんだ よそうだろうと思うだけどさ私だって古文 が可愛いじゃないか オレアゴが男の危険を取りたさに古文を 売ったと言われちゃ仲間への顔向けもなら ないこれだけ打ち明けるのも用意の 思い切りようじゃないが少し尺に触ること があって口を滑らしたんだぶ関連して おくれあれん俺んはしかし耳にもかけませ んでした妙に真味にした調子で親分体を 大事にしておくれ が悪くて本当に困ったねくるりと首を回す とトに描く旅の女の後ろ姿になり切って さっと足早に坂を降ります おれん金吾は山かごを杖にしばらくその 後ろ姿を見送りましたが四つばになった ところで今の足では追いつける通りもなく 妙に涙ぐましい心持ちでがっくり首を垂れ てしまいました よだの親分はっと顔をあげると目の前に 立っているのは公爵師の卵等々さ桃吉少年 江戸以来の抜けまり姿のまま可愛らしい首 をかげてキゴの顔をつくづく眺めるのでし た泥棒のだけが余計だこんな場合ですが 少年の言葉があまり乱暴なのでついとめ 立てする調子になり ますおいらは親分ってのが余計だと思った 何ババの旦那は泥棒泥棒って言うだろう それじゃああんまり気のとだから大負けに 負けて下へ親分とつけたんだぜお人形の ような可愛らしい顔を振り合いで少し唇を そらし加減にこうつけつけという桃吉は どんなに乱暴なことを言ったにしても 決してぬくめない小柄です金は黙ってを 見やりましたレの姿は向こうの山に隠れて 自分の心も次第に落ち着いていくのがよく わかりますねえ おぼん今度は泥棒を抜けにしたのがキゴの 顔にもつい苦い微傷がよぎります気だから 泥棒だけは勘弁するよね親分体操思いやり があるんだなところで用事は何だおはこい そうだね 親が殺されて相手が知れないんだろうお前 今の話を聞いたのか聞いたわけじゃねえ 聞こえたんだとって向こうのヤの影で休ん でいるといきなりあの話だろう公爵だって こいつは大した言者だ最初は人の内緒話を 聞いちゃ悪いと思って耳を塞いでみたが あんまり面白そうだから片っぽだけ開ける とみんな聞こえちゃったぜ親 バカ金剛もこの小僧には歯が立ちそうも ありませ ん 5桃吉は黙ってつったったままキゴの 痛々しい姿を見ておりました幸い土曜は 戻りましたが足の傷はますます悪くなる ばかり今ではもう我慢にも立っていること ができないやり様だったのですこれで3万 両の御用金を守ることなどは思いもよら ないわけですが金剛はサルを目とも足とも してどうやらこうやらここまでは たどり着いたのでし た旅はまだ半分以上残っておりますこれ から先三条の大橋までは四つばになっても 行かなければならぬ金庫です幸いお筋の さゆりの父を打ったババクランドは逃げも 隠れもする相手ではありませんが自分の 父親明りの半蔵を殺したのはババクランド ではないとするとこの骨の死ような不自由 な旅にもう1つ新しい重荷を背負ったわけ になります親分はかそだね大きはつづく そう言いました抜けまりの少年公爵師この 上もなく貧弱なのが言うのですから大抵 ならおかしくなるはずですがそれが大した 不自然でなく聞こえるほどキゴの傷ついた 姿は痛々しいものだったのです何がかい そうだいキゴはそれでも公然として肩を そびやかすました親のない子はかわいそう だよおいらだってたった1人 さ出しするぜ親分お相手がババの旦那で なきゃ体操馬場の旦那の肩を持つんだね お前はあんな立派なボケはないよそうかな 一刀をもらうから言うんじゃないが腕が できて学問があって知恵も金も何不足ねえ 上に人柄丈夫系と着てる大層な打ち込みよ だな親分だってそう思うだろう自分を狙う ものの世話まで焼いて少しも恩をかせた ような顔をしないから恐れ行ったえ加減に しておくれキゴは少し不そですが桃吉の 言う通りにそういないことはことごとく 承知しており ますところで親分なんだいあの女は親分の 土産を殺した相手を知っているんだ ね言わないのは親分を釣るためさおいらが 探してやろうか大吉は恐ろしく大きく出 まし たありがたいがそいつは難しいよお兄さん どうしてあの女は素でもこんにゃくでも 食える女じゃない そいちはなんだがおいらを甘く見るのかい 親ぶ怒るぜそういうわけじゃないがとさ きし一斉1台の弁説を振っておめにかける よ公爵士の卵だけに下には自信を持ってい そうですがそれがおれんへどれだけ 働きかけるかキゴは苦笑するばかりでし たもういいキゴ不に後ろから声をかけたの は待ちくたびれたらしいさゆりでしたてこ キハ手ぬいまで姉山かぶりにしてしっかり 旅の姿にやれきっておりますが老たけた 美しさと優れた品はのべにも山路にも匂わ ずにはいません参りましょうお嬢様今日は せめて見つけまでのして明日は舞坂か うまく行けば新井まで行きたいという話 でしたさかえ キゴは籠の中へ収まって下へ伸ばした足を あげようとしましたがどうしたはずみかあ つつつつい悲鳴をあげてしまいます めそれで旅は無理だねもはそう言ってキゴ の体を抑えてやりました前からはさり海外 しく男の両足を抱えていたのですもったい ないお嬢様そういうキゴの顔は恐ろしい 苦痛に歪むのをどうすることもできませ ん 6左の中山を越えて日坂まで里29丁坂の 降り口にわらび餅の名物があります名物に うまいものなしとは言っても53次を わらじで破する時代にはどの名物に下を 打って一晩の苦みをすするのが旅人にとっ てどんなに楽しみだったか分かりません ババクランドは金剛の一向を待つともなく ここで一息ついておりました小僧また泥棒 を見つけてきたのか金剛の一光と桃吉の来 のを見るとクランドはそんなことを言って 相変わらずカラカラと笑っております16 の物体は本上次郎が守って一足先へ立たせ グランドは友のもと一緒に名物のわび持ち をしめていたのですたなんおいらは小僧で たくさんだが親分を泥棒呼ばわりだけは よしておくなさい往来の人まで立ってみて いるじゃありませんかきはいつになく妙な ことにこだわりますはて思は今に金とコに なったようだがクランドは友のもに目せし て何がしかの長目を浮かせると膝を払って 立ち上がります そんなわけじゃないが親分はかわいそうだ よ旦那何がかわいそうださりげない言葉 ながらキゴのかに向けられたクランドの声 には妙に締めっぽいところがありますおの じさんを野末の本人で殺した相手がわから ねえそんなら分かっているはずだ半蔵は俺 が投げた刀に刺されて死んでいるグランド も少し酸っぱい顔になりますそれは白領と いうものさあの刀には泥がついていたはず だ何旦那は呪いをかけたから知らないはず はないうんクランドは腕をこきました拭い をかけた時知と共に下泥のついていたこと は事実ですがクランドはそんな疑いを なるべく考えないことにしていたのです それに物置きへしんだ物が1人投げ出しで 着物を下れているんだ えとと幸もしはやかで聞いたおれんの言葉 をそっくり弁説に任せて受け売りしますが ババクランドは今更ながら一言ごとに 驚かされてその晩のことを考えておりまし た旦那は命がいが荒らすぎるんだ危ない話 もう少しでとんでもねえ間違いが始まる ところじゃないか桃吉は次第に得意になり ますしかなよ小僧ところで金剛この小僧の 言うことに嘘はあるまいなクランドは桃吉 の後ろかに座ったままのキゴを帰り見て こういうのでしたへ面目次第もございませ ん全く足のそそでキゴは今更首筋をかいて 恐縮するばかり です謝るにはばない実は俺も半蔵を殺した ような気がしなかったがみをするようで 悪いからついでに黙って引き受けておいた のだいや俺でないとわかって何より 喜ばしいところで肝臓を早めたというのは 誰 だクランドは改めて金庫に尋ねましたそれ はわかりませんセの岸座に間違いはあまい と思いますがレのアが飲み込んでいて教え てくれないので名乗りをあげるわけにも まりませんて な俺はこう申します吉かもしれず座でない かもしれずうんあの晩本人へ立ち回ったの は吉の他にのっぽだけと平行とオレンと これだけあるんだって言いますやがとか いう論者は立ち回らなかったのかな えクランドは妙なことを言い出しまし た7 あの晩沼の本人へ立ち回れるのは随分大勢 あったわけですが脇本人へ泉の行列と一緒 に止まったはずのオレとやが常助の一味の 浪人者だけは除外しなければならなかった のです親父の半蔵をさして胴巻きを抜いて いくような悪いことはカソにも天下の死を 持って念ずる武にできることではありませ ん 俺は古文を売るわけにはいかぬと申しまし た金剛はそれとなくグランドに講義を 申し込みますあの女の言うことは当てに ならぬことによれば下し人はあの女かも しれんなババクランドは妙なことを言い 出しましたええあの女は脇本人へ泊まり ました泉の同座に聞けばよくわかり ましょうそれが手にはならぬ品川のさえの 嫁おせともいい物資島田連の娘なんとかと も言いお前に聞けばおれんとも言う3つ 名前のある女だ泉屋の同性の目を盗んで 夜中に本人へ来るくらいのことは何でも あるまい最も引き返して沼の脇本人で聞け ばことごとくわかる が旦那そんなことをするまでもございませ んあの女が下主人なら後で胴巻きを返す はずがございませんそうも言えるな とにかく面白い女だ金剛あんまりあの女へ かかり合うとろなことはないぞ体操ひきの ようだがとんだものやだんな周元まで やりかけた中とはさすがにババクランドも 知らなかったでしょうまあいい俺でないと わかって何よりだ打たれおしみをするほど の命ではないが土中白い目で見られるのは いい心持ちのものではない クランドはそう言いながら持屋の店先を 立ち入れました1つ顎で差しまくと待たし てあったかが崎へ回ってポンとタレをあげ ますちょうどその時土地のいたずらっ子 らしいのはつてのように飛んできました金 親分てのはどこにいるキロロを見回すの俺 だよ引き取って金は顔からぬっと顔を出し ます 手紙だよどれ出した金の手の上へ怪しげな 結びが1 本そう言ったぜこれを持っていけばいくら かになるって親分は気前がいいんだってね 小僧は風をはんだ格好でキゴの籠の前に 立ちふさがり ますちんの最速は驚いたなそれよ穴の開い たの23枚ありがとうよ親俺にいいこと 教えてやろかなんだその手紙を頼んだのは いい女だったぜバカそれに何が悲しいか ポロポロ涙をこぼしていたぜうまくやって やがらバカ小僧は吹き飛ばされたように 横っ飛びに逃げてしまいました後に残った のは少女の結び踏みが1本気がついてみる とクランドとさりの目がその上へじっと 釘付けになっているのですキゴは今更懐へ 入れることもなりませんでした表は牛わか の親分様と書いて裏を返すとご存知よりは 心にくき筆石ですキゴは黙って風を解き ました中は2枚重ねた小どこかのバス釣り を借りて消すをすり流したような炭で書い たのはたった一下反の金 文字お嬢様と別れた お前の親を殺したやつを教えるよと読め ます馬鹿なキゴは拳の中に握りつぶしまし た目をあげるとつい目の前にはさりの顔が おどおどしているではありませんか

三万両五十三次は、ライブ配信に変更することが決定いたしました。
時刻は変わらず、金曜夜八時放送です。

これまでの三万両五十三次は、
1.愛憎篇朗読まとめは、こちらです。https://youtu.be/_YfIe1PZpCk
2.情炎編 https://www.youtube.com/watch?v=_dJ-UYaLPPo
3.流転篇  https://youtu.be/yoV7FoeOcVI
4.狂瀾篇 いまここです。
5.解決篇
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■スズリのデジタルコンテンツ——電子書籍はこちらです。
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昭和27年作品に、大河内傳次郎主演で映画化された同名映画の原作!
 時は幕末、黒船が来航した、安政五年から物語は始まります。時の老中堀田備中守は、「日米通商修好条約」締結のため、京の都へ三万両をおくる。
 主人公の馬場蔵人は、倒幕派の武士、三万両を狙う怪盗たちとたたかいながら、一路京都をめざします。
 東海道を舞台に上を下への大騒動が実に面白い。お聴きください。

三万両五十三次は、一年半の連載(1932年3月から 1933年8月にかけて)をおえると、中央公論社から函入り上製本 上下巻(湊書房版は 全5巻、中公文庫版の全4巻版もある)で刊行されました。昭和9年のことです。ちなみに銭形平次の連載は、昭和七年にはじまり、当時務めていた報知新聞に長篇の連載を依頼されました。

■登場人物
馬場蔵人……本編の主人公。四十二三才。
小百合……父山際山左衛門を上意討ちされたため、蔵人を仇とねらう
茜の半蔵……山際家の老僕。小百合を助ける金五郎の父。
南郷小源太……真四角虎ひげ
矢柄城之助……色白の美男
真琴……矢柄の妹
伝次……小源太家来。岡っ引きだが、渡り中間に変装。異名は二面
作良軍之進……倒幕の志士
進藤晋……倒幕の志士
今宮八郎……倒幕の志士
お蓮……伝次に姉御と呼ばれる。謎の女性。陽炎のお蓮。殺人を好む。

牛若の金五郎……泥棒の親分だが、殺しを厭う
ノッポ竹……お蓮に惚れている
藤次……猩猩、四十六七になる、小頭格
丑松……奉行所の手先
吉三……背虫、ながら、夜目も利くゴリラのごとき長い腕と怪力を誇る
小動平太夫……与力
堀田正睦……幕府閣老
植松求馬……家老
文治……金五の子分
お蝶……和泉屋の令嬢
千代松……和泉屋の遠縁。手代。
五兵衞……和泉屋番頭
本庄左次郎……蔵人の添え役
桃々斎桃吉……講釈師の小僧

■用語集
苦茗…..クメイ・苦い茶。質の悪い茶。
鳥目……チョウモク・銭の異称
矯慢……キョウマン・偉ぶって人を見くだすこと。おごりたかぶったさま。
旅衣……たびごろも
放縦…..ホウジュウ・何の規律もなく勝手にしたいことをすること
勘考……カンコウ・考えること。思案。勘案。
悪辣….アクラツ・自分の目的を達するためには、どんなひどい事も平気でするというように、たちが悪い仕方・性質であるさま。
皆暮……カイクレ・皆目。まったく。
慷慨….コウガイ・正義にはずれた事などを、激しくいきどおり嘆くこと。
眉字……ビウ・まゆのあたり。
時宜…..ジギ・時機が適していること。「一にかなう」。ちょうどよい時。ほどよいころあい。
またもの……将軍・大名などに直属していない家来。又家来。臣。

■目次
0:00 悪魔の戯れ 一
4:47 悪魔の戯れ 二
9:00 悪魔の戯れ 三
13:19 悪魔の戯れ 四
17:47 悪魔の戯れ 五
22:10 悪魔の戯れ 六

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■青空文庫、山本周五郎作品他、著作権きれた文芸多数
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1件のコメント

  1. 明治15年生まれの野村胡堂が描くストーリー面白いですね。毎回素晴らしい朗読で、登場人物が更に生き生きとしてくる感じです。ありがとうございます❣️

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