第1241回「思いがけないしあわせ – 僥倖 –」2024/5/31【毎日の管長日記と呼吸瞑想】| 臨済宗円覚寺派管長 横田南嶺老師
[音楽] [音楽] おはようございます行光という言葉があり ます公事には思いがけない幸せ偶然の幸運 という解説があります行に恵まれるという と思いがけないに恵まれることを言います 今月21日のこの館長日記に人生は重荷を 背負って長い旅を行くようなものだけれど も時にその苦を忘れるような嬉しいことが あると書いたのでありますがそんな嬉しい ことが行高であります思えば昨年WBC ワールドベースボールクラシックで日本 代表を優勝に導いた栗山秀樹監督に出会う ことができたのもそんな教皇だと思いまし た父出版者の企画で対談させてもらったの でしたありがたいご縁でありまし たこんな行光はきっともう2度とない だろうと思っていましたところが先日再び の行光に恵まれたのでし た花大学の立記念日で栗山監督と対談させ てもらったのでした花園大学は小さな大学 ですがこのところ野球部が人気で100名 を超える部員がいるのであります昨年は 刑事リーグで優勝して全国大会に出て後楽 園で試合をしたほどなのです創立記念日の 対談は一昨年大学が創立150年を迎えた 時に謎の大学の卒業生でもあるソフト バンク社長の宮川純一さんと対談させて もらったのが始まりでした昨年も創立 記念日に対談をしようと仏教学部の特別 教授に就任された佐々木静先生と対談した のでした今年は学長や学園長から是非栗山 監督をお招きできないだろうかとご提案を いただいたのでした 栗山監督のお忙しいことは十々承知してい ましたので私は内心それは無理だろうと 思いましたこんな小さな大学に栗山監督を 招きするのは難しいと思ったのでしたまた 創立記念日の翌週には遠隔寺で講演もお 願いしているところでした遠隔寺の講演も かなり無理を言ってお引き受けいただいて いるところを今度はさらに大学からお願い するのはとても難しいと思ったのでした しかし大学の学長や学園長から頼まれたの でダメで元々と思って栗山監督に打身して みたのでしたそうしましたらなんと心よく お引き受けくださったのでした隠して2度 目の教行に恵まれたのでした対談の前の日 まで私は修行道場の接神という修行に専念 していましたそれを終えて翌日に向かい ました大学側もかの有名な栗山監督をお 出迎えするというのでみんなピリピリして いる雰囲気でした対談にあたってはその方 の著書をよく読み込むようにしています 昨年の対談の折にも栗山ノートをはめ何冊 かの本を読んでいましたその後栗山ノート 2が出版されさらに今年の3月に信じきる 力という本が講談者から出版されています この信じきる力という本が素晴らしいの です内容も高正も素晴らしい本です私は この本を元に対談をしようと決めました 対談と言っても私は大学側として監督をお 迎えする立場ですので小山監督から いろんな話を聞き出す役に徹しました対談 に際してのレジュメやパワーポイントなど も作成しておききました対談は90分と いう長い時間ですしそれに学生や一般の 方々も大勢聞きに来ていますのでまさに 真剣勝負でありますどの話からどの話に 展開してそして最後どのように終わるか何 日もかけて考えて構成を練りました1 WBC優勝から昨年の月刊地対談までの 振り返り2WBC優勝からの変化について 3大谷翔平選手の活躍について大谷さんの 人柄など4信じきることについて臨在集の 総臨在伝授も繰り返しといたのは自らが仏 であることを信ぜよということでした5夢 は正夢と前に嫁にかかった時書いて くださいましたがどうしたら夢はま夢に なるのでしょうか6番最後に今の若者に 向けてメッセージをお願いしますという 構成を考えまし たまたこの対談については大学から YouTubeでも公開される予定なので ご覧いただければと思います会場には 100名ほどの野球分野一般の方々それに 大学の学長や理事長などの養殖の方それに 職員の方々のなどで大教室も満席であり ましたお互いに初対面ではないので名古屋 かに対談は始まりました昨年のWBC優勝 からお互いの対談までを振り返って私は その後の監督の変化について聞いてみたい と思っていましたWBC世界一を達成した 監督としてとても有名になられました テレビなどのメディアにもよくお出になっ ていましたまた新たな世界をご覧になった のではないかと思ったのでしたしかしこの 答えは対談の前に読んだ身長信じきる力に はっきり書かれていましたなんと人はこう やってダメになっていくということが明確 に分かったと書かれていたの ですこの言葉には感動しました私もかつて 先代の館長から拍手は人をダメにすると 言われたことを思い起こしてお話しさせて もらったのでした対談でも今回ほど人に 褒められたことはなかったとおっしゃって いましたでもそれが人を勘違いさせて しまうから恐ろしいのです常に自分を 見つめて謙虚であること私はこの言葉にも 栗山監督の素晴らしさを思ったのでした では多くの方が大谷平さんのことについて も知りたいだろうと思って大谷さんについ て伺いました大谷さんの貴重な映像も見せ ていただいて私もこれには感動したのでし た信じる信じきるということについて私も 仏教の立場から五力の話をさせてもらい ました修行するのに5つの大事な力がある のです力とはりにいらし働きのある優れた ご種の勢力で真信仰ご商人念強く思うこと 上心の安定え知恵の5つです栗山監督のお 話を伺っていてまさにこの5つを備えて いらっしゃると感じましたまず信じる信じ きるのです信じるだけではダメでそのため に努力しないといけません商人努力であり ます大谷選手の地震は誰にも負けない商人 努力から来ているとお話を聞いてわかり ましたそれから念というのは心に強く思う ことです信じきる力にも強く思う願い 念じるそれが大事なのです稲森和夫さんは 著書でカラー映像で見えてくるまで思い 続けよと書かれていましたそして心に 落ち着かせること栗山監督は普段の暮らし でもお掃除を大事にしたり古典を勉強し たり心を静かに落ち着かせる努力をなさっ ていますそれでこそ知恵という正しい判断 決断ができるのだと思いました私は対談に あたって信じきる力を何度も繰り返し読ん で良い言葉だと思うところには付箋を つつけると付箋でいっぱいになりました箋 をけところの言葉はノートに書き出して 資料を作りましたそして付箋でいっぱいに なった信じきる力を手にして対談に望んだ ところなんと栗山監督は私の初めての人に 送る半家神業を手にしておられました しかも栗山監督も付箋をいっぱいつけて おられたのでした私の本を読んでくれて いるこれだけで人は嬉しくなるものです 対談で私の若信行の本を読んでも食うと いうことがよくわからないとおっしゃい ました食うは分かるという対象ではないの で分からないでいいのです分かったという ことこそ空から遠ざかるのです私は監督 こそ空を体現していらっしゃいますと伝え ましたそして信じきる力にある次の言葉を 読んで伝えましたいい方向に向かう時持っ ている魂という玉がきれに磨かれた状態に なっていくの です誰かのために何かのためにチームの ためにファンのためにそんな感覚で私が 消えていくと書かれているところを対談で 読み上げましたこの私が消えていくのが空 なのですと伝えたのでした最もそうなるに はあらゆることできる限りのことをし 尽くしたからこそであります最後に栗山 監督は信じるについて自分自身を信じる ことの大切さを解いてくださいましたそれ こそまさに我々の収そ臨在前時が繰り返し 今の修行者がダメなのは自分を信じきれ ないからだと解かれているのに一致して 感激しましたそんな話にたどり着いた ところでちょうど終わる時間の1分前でし た最後に学園長の挨拶があってぴったり 時間通りにに終わることができました 終わった後のご予定もあると伺っていて 時間通りに終えないといけないとそれには 木を使いましたのでちょうど終わって ほっとしたのでした大学の早朝室でお抹茶 を振って監督をお見送りしたのでした野球 部の監督女監督にも会ってもらうことも できました多くの方に喜んでもらえた対談 となりました私も大学のお役に立てて よかったとしみじみ思いました最もおそば でお話を聞けた私が1番の教行に恵まれた と思ったのでしたさて本日5月31日遠隔 寺ではその栗山監督のご講演があるので ありますこれもまた楽しみなの ですそれでは姿勢と呼吸とえてまり ましょうまず両方の足でいう顔をしっかり と踏みしめますこの大置に支えられている ことを感じて足に力を入れてよし 立ち上がるぞという気持ちでお尻を5cm ないし10cmほどすっ持ち上げていって ストンと下ろし ます息を吸いながら肩をぎっ持ち上げて いって吐と同時にストンとおろし ますもう1度息を吸いながら肩をにっと 持ち上げていって吐くと同時にストンと 下ろし ます最初1息息を強く吐き出しますこの時 にはお腹の底に溜まっている空気も全部 吐き出してしまうつもりで胸に抱えている 思いや煩いも全部吐き出してしまうつもり で口を開いて一息強く [音楽] はと吐き出して口を閉じますと鼻から新鮮 な空気がいっぱい入ってまいりますおへそ の下下腹いっぱいに新しい空気が満ちて 更にの隅々まで新しい空気が雪渡っていく のを感じながらああありがたいな嬉しいな とこの思わず微笑みがこぼれてまります そんな気持ちでその後は口を閉じてただ鼻 から息が出たり入ったりする様子を静かに 見つめて座りましょう はいありがとうございますどうぞ今日も 良い1日でありますようにお祈りしており ます
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■管長日記「思いがけないしあわせ – 僥倖 –」
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■note
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最後に一日のはじまりを整える、呼吸瞑想がございます。
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「僥倖」という言葉があります。
『広辞苑』には「思いがけないしあわせ。偶然の幸運。」という解説があります。
「僥倖に恵まれる」というと、「おもいがけない幸せに恵まれる」ことを言います。
今月二十一日のこの管長日記に、「人生は重荷を背負って長い旅を行くようなものだけれども、時にその苦を忘れるようなうれしいことがあると」書いたのでありますが、そんなうれしいことが僥倖であります。
思えば、昨年WBC、ワールド・ベースボール・クラシックで日本代表を優勝に導いた栗山英樹監督に出会うことができたのもそんな僥倖だと思いました。
致知出版社の企画で、対談させてもらったのでした。
有り難いご縁でありました。
こんな僥倖は、きっともう二度とないだろうと思っていました。
ところが、先日再びの僥倖に恵まれたのでした。
花園大学の創立記念日で、栗山監督と対談させてもらったのでした。
花園大学は小さな大学ですが、このところ野球部が人気で、百名を超える部員がいるのであります。
昨年は京滋リーグで優勝して全国大会に出て、後楽園で試合をしたほどなのです。
創立記念日の対談は、一昨年大学が創立百五十年を迎えた時に、花園大学の卒業生でもあるソフトバンク社長の宮川潤一さんと対談させてもらったのが始まりでした。
昨年も創立記念日に対談をしようと、仏教学部の特別教授に就任された佐々木閑先生と対談したのでした。
今年は、学長や学園長から、是非栗山監督をお招きできないだろうかとご提案をいただいたのでした。
栗山監督のお忙しいことは重重承知していましたので、私は内心「それは無理だろう」と思いました。
こんな小さな大学に栗山監督をお招きするのは難しいと思ったのでした。
また、創立記念日の翌週には円覚寺で講演もお願いしているところでした。
円覚寺の講演もかなり無理を言ってお引き受けいただいているところを、今度は更に大学からお願いするのは、とても難しいと思ったのでした。
しかし、大学の学長や学園長から頼まれたので、ダメでもともとと思って、栗山監督に打診してみたのでした。
そうしましたら、なんとこころよくお引き受けくださったのでした。
かくして二度目の僥倖に恵まれたのでした。
対談の前の日まで私は修行道場の摂心という修行に専念していました。
それを終えて翌日京都に向かいました。
大学側も、かの有名な栗山監督をお出迎えするというので、みんなピリピリしている雰囲気でした。
対談にあたっては、その方の著書をよく読み込むようにしています。
昨年の対談の折にも『栗山ノート』をはじめ何冊かの本を読んでいました。
その後『栗山ノート2』が出版され、更に今年の三月に『信じ切る力』という本が、講談社から出版されています。
この『信じ切る力』という本が素晴らしいのです。
内容も構成も素晴らしい本です。
私はこの本をもとに対談をしようと決めました。
対談といっても私は大学側として監督をお迎えする立場ですので、栗山監督からいろんな話を聞き出す役に徹しました。
対談に際してのレジュメやパワーポイントなども作成しておきました。
対談は九十分という長い時間ですし、それに学生や一般の方々も大勢聴きに来ていますので、まさに真剣勝負であります。
どの話からどの話に展開して、そして最後どのように終わるか、何日もかけて考えて構成をねりました。
1、 WBC優勝から、昨年の月刊『致知』対談までの振り返り
2、 WBC優勝からの変化について
3、 大谷翔平選手の活躍について。大谷さんの人柄など。
4、『信じ切る』ことについて
臨済宗の祖、臨済禅師も繰り返し説いたのは、 「自らが仏であることを信ぜよ」ということでした。
5、夢は正夢と、前にお目にかかった時に書いてくださいましたが、どうしたら夢は正夢になるのでしょうか?
6、最後に、今の若者に向けてメッセージをお願いします。
という構成を考えました。
またこの対談については大学からYouTubeでも公開される予定なのでご覧いただければと思います。
会場には百名ほどの野球部員や、一般の方々、それに大学の学長や理事長などの要職の方、それに職員の方々などで、大教室も満席でありました。
お互いに初対面ではないので、和やかに対談は始まりました。
昨年のWBC優勝からお互いの対談までを振り返って、私はその後の監督の変化について聞いてみたいと思っていました。
WBC世界一を達成した監督して、とても有名になられました。
テレビなどのメディアにもよくお出になっていました。
また新たな世界をご覧になったのではないかと思ったのでした。
しかし、この答えは、対談の前に読んだ、新著『信じ切る力』にはっきり書かれていました。
なんと「人はこうやってダメになっていくということが明確にわかった」と書かれていたのです。
この言葉には感動しました。
私もかつて先代の管長から「拍手は人をダメにする」と言われたことを思いおこしてお話させてもらったのでした。
対談でも「今回ほど人に褒められたことはなかった」と仰っていました。
でもそれが人を勘違いさせてしまうから恐ろしいのです。
常に自分を見つめて謙虚であること、私はこの言葉にも栗山監督の素晴らしさを思ったのでした。
対談では多くの方が大谷翔平さんのことについても知りたいだろうと思って、大谷さんについてうかがいました。
大谷さんの貴重な映像も見せていただいて、私もこれには感動したのでした。
信じる、信じ切るということについては、私も仏教の立場から五力の話をさせてもらいました。
修行をするには五つの大事な力があるのです。
五力とは「悟りに至らしめるはたらきのある、すぐれた五種の勢力。」で
信(信仰)
勤(精進)
念(強く思うこと)
定(心の安定)
慧(智慧)
の五つです。
栗山監督のお話をうかがっていて、まさにこの五つを具えていらっしゃると感じました。
まず信じる、信じ切るのです。
信じるだけではだめで、そのために努力しないといけません。
精進努力であります。
大谷選手の自信は、誰にも負けない精進努力から来ているとお話を聞いてわかりました。
それから念というのは心に強く思うことです。
『信じ切る力』にも
「強く思う、願い念じる。それが大事なのです。稲盛和夫さんは著書で「カラー映像で見えてくるまで思い続けよ」と書かれていました。
そうして心を静かに落ち着かせること、栗山監督はふだんの暮らしでもお掃除を大事にしたり、古典を勉強したり、心を静かに落ち着かせる努力をなさっています。
それでこそ、智慧という正しい判断、決断ができるのだと思いました。
私は対談にあたって、『信じ切る力』を何度も繰り返し読んで、良い言葉だと思うところには付箋をつけると、付箋でいっぱいになりました。
付箋をつけたところの言葉はノートに書き出して資料を作りました。
そうして付箋でいっぱいになった『信じ切る力』を手にして対談に臨んだところ、なんと栗山監督は私の『はじめての人に送る般若心経』を手にしておられました。
しかも栗山監督も付箋をいっぱいつけておられたのでした。
私の本を読んでくれている、これだけで人はうれしくなるものです。
対談で私の般若心経の本を読んでも「空」ということがよく分からないと仰いました。
空は分かるという対象ではないので、わからないでいいのです。
分かったということこそ「空」から遠ざかるのです。
私は、監督こそ「空」を体現していらっしゃいますと伝えました。
そして『信じ切る力』にある次の言葉を読んで伝えました。
「いい方向に向かうとき、持っている魂という玉が、きれいに磨かれた状態になっていくのです。誰かのために、何かのために、チームのために、ファンのために・・・・・・。そんな感覚で「私」が消えていく。」
と書かれているところを対談で読み上げました。
この「私」が消えていくのが「空」なのですと伝えたのでした。
もっともそうなるには、あらゆること、できる限りのことをし尽くしたからこそであります。
最後に栗山監督は、信じるについて、自分自身を信じることの大切さを説いてくださいました。
それこそまさに我々の宗祖臨済禅師が繰り返し「今の修行者がだめなのは、自分を信じ切れないからだ」と説かれているのに一致して感激しました。
そんな話にたどりついたところでちょうど終わる時間の一分前でした。
最後に学園長の挨拶があって、ぴったり時間どおりに終わることができました。
終わった後のご予定もあるとうかがっていて、時間どおりに終えないといけないとそれには気を使いましたので、ちょうど終わってホッとしたのでした。
大学の総長室で御抹茶を振る舞って監督をお見送りしたのでした。
野球部の監督助監督にも会ってもらうこともできました。
多くの方に喜んでもらえた対談となりました。
私も大学のお役にたてて良かったとしみじみ思いました。
もっともおそばでお話を聞けた私が一番の僥倖に恵まれたと思ったのでした。
さて本日五月三十一日、円覚寺ではその栗山監督のご講演があるのであります。
これまた楽しみなのです。
横田南嶺
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