『 志ん朝 師匠:抜け雀 』昭和 若手名人 選 24 【 満員御礼 落語名人会 】

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[拍手]
えあの大変に交通というものが発達しまし
たんで旅というものも随分短いその期間に
ほぼを回れるなんて
ま便利は便利なんですがちょいとこの
慌しいというところもありますですねえ
ところは昔の旅というのはそらその呑気
だったでしょうねみんなこの歩いていった
んですからね昔は歩いてったその前は張っ
てったなんてこときっとも言ってません
ですけどもとにかく昔の旅というものは
のんびりしておりましてえま馬に乗るとか
籠に乗るあるいはま大概はま歩いたもんだ
そうですがえその自分この旅人に1番嫌
がられたのがというとごまの牌だそうです
ねえこれはもう皆様ご案内の通りこの人は
と思って付け狙うてとその人の後をどこ
までもどこまでもつけていってで隙を見
ちゃパッとロインを取ってどっか行っ
ちゃうえ今と違って金がないから遅れ
なんてんでその電報を打ったり電話をかけ
たりということはできない頃ですからこれ
は大変にこの困ったでしょうねもう本当に
この言い上がられた立ちが悪いでもっと
言い上がられたのがというと棺だそうです
な川はみんなそうかと言と別にそういう
わけでもないんだそうですがえ中にはその
俗に雲助なんてんで立ちの悪いのがいまし
てねご夫人の1人旅だなんてとそういうの
を無理に進めてま乗っかって行き先を言っ
てとそれとはまるで違う山の中なんぞっと
連れてっちゃってねえ行くてとなんかこう
仲間がおりましておろうん山だってての
よっぽど太い
ですで散々みんなでいたずらをした安に
宿場女郎に売り飛ばしてしまうなんという
ごく悪いのがいたもんだそうですねえその
自分のお話で東海道小田原の宿場え
ちょうど日がこう沈みかけておりましてえ
足を早めて旅人がどんどんどんどん宿場へ
入ってくる1日のうちで1番この賑わう時
だそうで街道を挟んで両側の旗からは客室
が出てまいりまして黄色い恋をあげて一生
懸命お客様を誘っているその街道の真ん中
を年頃256色が白くってちょいと小太り
な男でまみえが太くってまもうまこガッと
こうしてましてね目のギロとした誠にこの
性感な顔をしておりますがいつ髭を当たっ
たんだか分からないぐらいにこの髭が伸び
ちゃってもう顔の中に髭があるんだか髭の
中に顔があるんだかわかんないで黒ハブタ
のモツを着ているんですがこれが長いこと
きっぱなしと見えましてすっかり日に開け
て赤かっちゃてるで門の白いところが黒く
なっちゃってるから赤葉黒門つきという嫌
なもつきですねで閉めている帯はてと
すっかりこのすり切れちゃって中の芯が
見えようというごく粗末なこうでですしで
造りを履いているんですがこの造りがまた
物の見事にすり切れておりましてひょいと
見るっていうと地べたに花がすげてある
よそれともえばって街道の真ん中を歩いて
まいりますええお泊まりさんではござい
ませんかなうんわしかいえあのそちらのお
2人連れでおさようかえお泊まりさんでは
ございませんかなわしのことがいええ
そちらのご知家さんでうんそう
かい商売というのは恐ろしいもんだなこう
やってわしが黙って歩いていて旗から見て
金がないということが一目で分かると
見えるなああ金のありそうな格好をして
歩いているんだがどうもごまかせんもんだ
などっかで呼ばぬものかなうん呼んだらば
すぐに入ってしまおうと思うがどこでも
呼ばんなこれは弱ったぞだんだん宿外れに
来てしまったなうんどっかで呼んでくれ
ないとまた今夜野宿をしなければならんな
困ったなこれはえお泊まりさんではござい
ませんかなうんわしのことがえさでござい
ますおおそうかそうか読んだかうんそうか
あーそうかうんいや止まってやっても良い
がなあお前のうちは何と申すええ手どもは
下宮と申しましたなえこの宿場でもって1
と言って2とはま下りますがなええそれは
3よりはまあ下でございましてなえ死より
はもうちょいと下がりまして随分下がるな
ええ下がるんでございますがえ手前でも
方向にを置きませんで私とかと2人で持っ
て親切を胸として商売しておりますんでえ
どうぞ1つご通りお願いたいんですがな
うんそうかいうことが気に入ったなあーま
止まってやっても良いがなわしは酒を飲む
が構わんかええもうえその方がありがたい
くらいなもんでただの飲み方ではないぞ
うんあ日に参じ飲むがそれでも良いかええ
もう私どもとすりゃそその方がありがたい
んでございますがえ是非1つよろしくお
願いをいたしますうんでま気に入ったらば
長通りをいたすがなうち金に100両も
預けておこうかいいえそんなことはなさら
なくてもおたちの説にまとめてで結構で
ございますんでへえどうぞ1つご通りお
願いますそうかよしあでは厄介になろえ
いかがでございましょうなこちらの大座敷
ではうんなかなか良いな綺麗なもんだ
いやいやなかなか貧乏宿とんでもない話だ
あ良いな気に入ったなんだうんゆか
いやいや言わどうでもいうんそれよりね酒
を持ってきなさい一生持ってくるんだぞあ
あ冷やで構んから持ってきなさい一生の酒
を持ってこさせるってとこいつはカっと
飲んじまって寝てしまう楽起きるってと
一生昼一生晩一生3つんでこのお客がどこ
にも出かけないで寝てばかりちょいと
ちょいとえなんだなんだじゃないこっちお
いでよこっち行きなさいってんだよ話が
あるからさえお前さんね変だと思わないか
い何が何がじゃないよ今止まってるあの2
階のお客だよ変だと思わないかよう俺別に
変だと思わないよ本当にこの下そういう
ところはお前さんおかしいんだよねいいか
よく考なさいよね毎日毎日お酒ほだねえ日
に3飲んでたよねえ2階で寝てばかりいる
じゃないか変だと思わないかうんそれ別に
ら変だと思わねえなうんうんそ客がだよ酒
を飲んで宿の系で寝てたって別にそらへん
じゃないよねえ酒を飲んで縁の下で寝てら
いりゃこらへんだ何を言ってんだよそう
じゃないんだよ私の言うなえこんなところ
でね場じゃないんだよねあんななく通りを
する人がいるかね大概の人はみんな一晩
ばっちゃえどんどん旅立ってくじゃないか
さねえおかしいと思わないかよあそれかい
それ違うえそれねおめえに言うの忘れた
けどねあの人さはねあのもし気に入ったら
ば長導流をするとうほのこうこうちゃんと
そうしちゃってるんだようんだけどさだっ
てね長取りをするって気に入ったってお前
さんねなんか私ねあの人気になってしょう
がないんだよえねえおわしがあんのかね
あの人本当に大丈夫だよお前それは大丈夫
だようんうち金に100両も預けておこう
かなんてこ言ってたんだからでお前さん
預かったのいやおたちの説でいついちゃっ
たんだよ預かっときゃいいのにそうすれ私
だって安心してらいんのにさねえどうも私
気になってしょうがないんだよお前さね
いくらかでもいいからちょいともらってき
ておくれよそうすり私だってねあこの人
なら大丈夫だなと思うんだよねというのが
さお前さんがのべ一もなしばっかり
引っ張り上げてるだろうだから気になって
しょうがないんだよねいくらかでもいい
からもらっといでよだってお前いくらかで
もいいからだってさねおたちの説にまとめ
てでいいところそう言っちゃったんだよ
それを言いまさらいくらがでもいいです
からなんて言えないよ俺はだからなんとで
も言やいいじゃないかね私はもうも
とにかくもうかないの申しますのにはです
ねもう手前どもは貧乏宿でございますんで
もう酒屋の方と長面で持って酒を買うわけ
には参りませんのでどうか1つ酒代として
ご両ばかりいただきたいとでないってと
あなたに差し上げるお酒も出せませんと
こう言ってくりゃいいじゃないかあそうか
うんそういうこと言うのやだなほら嫌いな
んだよょ行ってくるよ行ってくるけどさね
もうやだな全くなもうこういうことは一番
嫌なんだまたこのお客もよく寝てるねえ
もう朝酒飲んだらすぐに寝るんだよしょう
がないなどえお客様えお客様うん寝てるん
だなこれどえあああしょうがないなとえお
客様えちと大きお願いたいんですがなえお
客様えちとえもしもしお客様
うううえどあだああ親父かうんああよく寝
たああ朝の酒がやはり1番効くな気持ちが
いいうんああなんだあもう酒を持ってきた
のかいえいえそうじゃないんだええ実は
ですなえそのことでちょいとえお話があっ
て伺ったんですがなおそうかなんだええ
あの私はですなこんなことは言いたくない
んですがなうんじゃ言わん方がいいなでも
やっぱり言わなきちゃならないねえ私じゃ
ないんですよあのかの申しますにはですな
えもう酒屋の方とですね手前ともあんまり
その払いが悪いもんですから貧乏宿でええ
もう長面じゃ買えなくなっちゃったんでえ
えそれでもってあのそのお金を持ってか
ないとささえる酒を売ってくれないねだ
からあなたに酒を出したいんですけれども
えそれができませんので恐れいりますが
坂大としてご両ばかりいただきたいとこう
言ってるんですがえいかがなもでござい
ましょうなあおおなるほどああそうかわし
に酒を出したいがうんああそうかあ坂大と
して5両ああなるほどそれは最もだうん
分かるわかるうんそうか5両だなああそう
かうん今はないんだ
え今今はないだててますとなんですかあの
どっかに預けていやどこにも預けてもない
んだじゃじゃあたあの一問なしですかそう
だカケ冗談じゃないカケなどと余計なこと
を言うな何が余計なことですよあた冗談
言っちゃいけませんよ冗談じゃありません
よ誰が冗談を申しておるうん金がないなろ
と申いうことはな誠にこの恥ずかしい話だ
なそれは恥をしんでないと申しているのに
なんだうん冗談にするやつがあるかなんて
えっちゃいけませんやあたじあんただって
あの内金に100両も預けておこうかって
そうしちゃったじゃありませんかいや
100両も預けといて止まったらさぞ気分
が良かろうと思ってな何を言ってんです
あたえだってなんであのおわしのないのに
ですねあのこういうところに止まるんです
かあた困りますよ本当に言わりましたね
どうもねあたあの日に30つお酒飲んで
もうもう7日なんですよねえ一体どうする
つもりなんですかいやわしもどうしたら
良いかと思ってなまあこないだうちから
考えておるがなかなか良い考えが浮かばん
のでな困っておるところだうんう何か良い
工夫はないか冗談っちゃいけませんよえ
あなたは考えてくださいよ本当に困りまし
たねまた私はかに叱らえるじゃありません
かうん言わりましたなとあたあの一体ご
商売は何ですなんだわしかうんわしは絵だ
絵しってますと絵を描くんだああのえ看板
や何かのそうではないわしは可能派の絵だ
あそうですかねこれはなんか大さんか
なんかだってとねどっか直してってもらう
とかって色々と手はあるんですけどねえ
絵描きさんじゃねそれま名のある方でし
たらなんか書いてもらえばそれがすぐにお
わしになりますがねうんあなたみたいな方
になんか書いてもらったってああそうか
いいところにうんそうそうそうそうだなぜ
それを思わなかったかなうんよしよしえ
じゃわしがな宿せの方にお前のうちに何か
書き残していこういえい結構ですよ今も
言った通りね名のある方だったらおわしに
なりますがあなたが帰ってくれたって
しょうがないんですよいやそんなことを
言わずになうんわしもなこのまんま行くん
では大変にな気が刺すからな何か1つ
書き残していこうななんか書かせろい書か
せろったって何も大地書くものありません
ようんじゃあふか何かいえ結構ですよふ
なんと汚されちゃう困りますからいやいい
んですよそんなこと言わずに何かないか
うんう
あそこに綺麗な白いついたてがあるなあれ
どうしたえどれですかああれいやあれあれ
はあのいけないんですよえいやあれ実は
あの一月ばかり前にね江戸の教授屋の職人
がうちに泊まったんですよえでこれがまた
一問なしなんですじゃよ一問なしが止まる
んですどういうもんですか入りんですかな
ええでしょうがないんでねえ宿線の方に
あれを答えさせたんですようんそうかじゃ
わしがあれに絵を書いてやる家結構ですよ
え白いまんまだってと売れますがねえ
なんか書かれるってと売れなくあります
から結構でございますそんなことを言わず
になうん客が書くと言うんだから書かせ
なさいえ客が書くと言うんだからいや客と
いうのはですねお足を払って初めてお客様
なんですよねいえ結構いいから欠かせ
なさい欠かせなさい静かに行ってるうちに
欠かせろなん脅しちゃ行けませんよ早く
こっち持ってきなさいあそこに置きなさい
あおほなるほどいい仕事をしているなうん
一もなしで旅をしているぐらいだからな
邪念というものが入っていないよい仕事を
しているあこれならばわしも書気になった
ぞうんあそれではなすぐになすりを持って
きなさいすずりよえお待ちろ様でしたうん
あそうかなぜ水を入れてこないだたあた水
を入れてこいって言いませんでしたよすり
を持ってこいってから私はそのまますり
持ってきたんですよお前はそれが愚か者だ
と言うんだなうん飲みと言われたらばかず
しなすりと言われたらば水を入れてくる
もんだまけ
こんなえばった一もなしたの初めてだねど
もね言いたいことを言ってんのえ入れてき
ましたよそうかそこに炭が出ているから
それをすんなさいうんあなた自分でやっ
たらいいじゃありませんかわしが絵を書く
んだから貴様がするんだ
バカどうせ私はバカですよ馬鹿だから
あなたみたいな一文だしよもうよい早く
すんなさい本当にこんなまえった人手な
ないな本当にえ大概一もなしなんてのは
ペコペコしてるもんだけど1人でっただ
からね本当にどういう件なの
えこれいい匂いがしますなどうやら鼻だけ
は人間らしいななんとでも行った方がいい
んですよ本当ね言いたいことを言ってええ
ちゃんとすみましたよそうかああ何を書く
かな筆に炭を含ませてしばらくの間
ついたてを見て考えておりましたっと
書き上げ
どうだへ
どあなたねいたずら書きをしちゃ困るん
ですよえこんなんだったら私だって書ける
んだね罪持ってったシシしってやれ私だっ
て書けるだから困るって言ったじゃあり
ませんかえなんですよこんなものはなん
ですよ絵で絵ではないか絵ではない何の絵
ですこれ何の絵ですお前のまの下に2つ
光ってんのは何だえこれ目ですよ目だっ
たらよく見なさいうん見てわかんないよう
な目だったらく抜いた後銀がも張っ
とけだってあたね分からないから聞いてん
ですよ私はここにスズメが書いてあるうん
なよく見なさいスズメうんスズメが

ははあああなるほど
ええそう言われるとすっとすめにこう見え
てしまあ
ナバもいるんですなうんここにスズメが5
話書いてあるな1話1両5話で5両の方だ
あい
あたえこんなちっぽけなもの表の鳥行って
ごらんなさいこんな大きな庭鶏はそんな
ことはどうでも
よこれはなわしがお前のうちへこの宿ちの
方としてこの残していくんだからな類など
はい仕方がないが他人に売ったりなぞして
はならんぞえ買う人もいませんがねなんと
でも言っておれよそれから下でいつもなん
か大きな声を出してなんか言ってんのあれ
なんだうんお前のとこのお前のあれ神さん
かうんひどいなあれはなうんいやあれは女
でないカだな人の命を削るやつだなああ
別れた方がいいな大きなお世話でござい
ますよお前さんじゃなくちゃいけないよ
お前じゃなきゃいけないよってお互いに
ついて好かれた中なんですからああお前
たちがうんお前も随分変わったものを好ん
だもんだなまあまあ好きで一緒にいるん
だったらそりな他人がトを言うことはない
がなうんただこうやってな客商売をして
いるんであるからもう少し客扱いを丁寧に
するようによくそう言っときなさいうん
分かったわしはまた来るから行くぞ
ごめんなんだあの客はえばるだけえばって
帰っちゃったねやったなどうもうるせえや
あいつがまた
ちょいとちょいとえなんだいなんだじゃ
ないよこっちお入るよんどうしたなんだか
知らないけも出てったねうんうんうんこ
帰ったよでちゃんと払ってったのうんうん
それがねうんあのご両くださいよて言っ
たらねうんそりその話はよく分かるとでご
はもちろん払いたい今ないってこう言んだ
よないってないってのはいやだからないっ
てのはどういうことですかたら1問なし
だってこう言んだよほれこなんだねだから
私が言ったじゃないかえ本当にお前さんは
まで歌ないんだからね本当に長いことお前
さん客室しててさこの下お足があるかない
かぐらいのことパッとわかんないのかよ
お前さんの豆の下に2つしってんのはなん
だよお前さん目だろ目だったらよく見るん
ですよね見て見えないような目だったら国
に行ったあと銀がのも張ってきな今言われ
たばかりだほらうんしょうがねえじゃねえ
か俺だっておめえ何もさ一もなしを酔って
引っ張りあげとるわけじゃねえんだよこう
いうことになっちゃうんだからまそう怒ん
なよ怒んなよじゃないよ全くどうも冗談
じゃないよ本当にえ日に3条だよ7日え
どうすんのお前さん本当にまあいくら私が
一生懸命ねえなんだか知らないけれども
一生懸命私がねなんとこう切り詰めて貯め
てたってお前さんがそういうことするから
もう何の役にも立たないんだよお前さんは
全くしょうがないねんでどうしたのえ黙っ
て返したのかいいいやだだからね商売聞い
たんだよそしたらねエだってんだうんそれ
からねうんこないだねあのほらあの江戸の
教授屋の職人のあの一もなしねうんあれが
あのこえてったあのついたてがあるだろ
うんあれに絵を描かせろってからでらこた
んだよ白いだったら売れるんですからてね
だけどどうしても欠かせろって言うこと
聞かねんでしょうがねんであれにえかかし
ちゃったんうん良かったねどうもえ後よく
見た方がいいよなんか持ってってやしない
かいああいうのは泥棒だよ本当にねえ本当
にお前さんは気がつかないんだから第一ね
よく見なさいよ荷物も何も持ってないんだ
よ手ぶらなんですよね来ているもんだって
粗末なもんだったじゃないかねちょっと
よけるってとピリっと破けそうなあんな
着物を着てさ夜ぴりてんだよね今度から
ちゃんと覚えときなさいよまあ全くま
情けなねもう私はもうがっかりしちゃった
ねえどうするつもりだようん困ったね全く
どでもうすまなそうな顔して帰ってったか
いそれがねうん別にそのすまなそうでも
ないんだうんまちょいとねまあなんかこう
また来るぞなんてねそういっちゃってで
ずっと帰ってったんだまそうそう怒るなよ
でお前にもねそ言ってったようんまあの客
扱いをもう少し丁寧にした方がいいんじゃ
ないかなんてねえいやあのだ俺が言ったん
じゃないんだよであの言ってそう帰ってっ
たからああもう私もやだよもう商売する気
はないよえねもうお前さん1人でやっと
くれ任せるからね私寝るよなんてんで神
さんの方はふくされて寝てしまうもう
しょうがないから亭主1人じゃ何にもでき
ませんすっかり閉まりをしてその晩のその
晩はまそのまんま寝てしまいましてで明朝
になっていつまで経ってもその神さんの方
の機嫌が治らない起こして下手に怒らいて
もいけないと思うから亭主の方はそっとと
1人で寝床から抜け出しましたすっかり
ほぼ掃除をして2階へ上がってきて昨日
まで1もなしが止まっていた座敷入きてア
をガラっと開けるお様がさっと差し込んで
くる途端
にあいたなんだよええも取り締め込ん
じゃってたんだよあかわいそうにね餌がね
もうこんなところにってな腹すかしたん
だろうねお迎の屋んで餌漁ったらな
かわいそうにえどっから入ってきたん
だろうなうんうちゃほぼ雨森したりする
からねどっかここずっと潜り込んできたん
じゃねえかなかしいなしかしどっから入っ
てきたん
あれあのついたてのあのスズメがなくなっ
ちゃった
よどうしたんだろうなしばらくたつってと
向いの屋んで餌を漁っておりましてスズメ
がスーっと戻ってくるってとついたての中
にピタっと収まっ
たおいちょっと起きないちょっと起きない
おい大変だよちょっと大きな大きなようん
最ね眠いんだよもう私うん疲れてんだよ
お前さん好きなん何を言ってん
の朝だ朝だもう何をくだらねこと言ってお
ちょっとちょっと起きてくれ起きてくれ
眠いのにやだねもうどうしたんだよどうし
たじゃねえんだよえあのないもなしがなえ
ついたてに絵描いたつったろうんスズメの
絵を描いたんだよねそのスズメのその
スズメがだよね今俺アすっと開けたらお前
そのついたての中からピーっと抜け出し
てってな思ってスーっと戻ってきてまた
ピタっと収まったよめ起きてて寝ぼけ
るってと承知ないよこの人何を言ってんだ
よそんなこと言った私のこと機嫌取っ
たってそうはいかないんだよえ私まだ眠い
から寝てるよなんてでまるでこの取りやっ
ちゃくれませんしょうがないから近所行っ
て話をする近所の連中もこれ丸で信じちゃ
くれませんですねだけどもどうしても
とにかく真の辺りに俺は見たんだから
とにかくじゃ明日の朝ねみんな集まっとく
よでみんなの見てる前で思ってもう1度
やってみるからってんだ悪になるってと
近所の人たち集めてきて天をこうガラっと
開けるお様が差し込んでくる途端に
ついたての中からスメがペーっと抜け出し
てって餌を漁ってすーっと戻ってきて
ピタッと収まった今度は何人もで見ており
ますんでああこれは本当だ嘘じゃないこれ
は大した人だこれを書いた人は名人だてん
でこの評判がもう小田中にうわーってんで
広まったで旅人なんてなこういうものを聞
くってと旅先で持って話をいたしますから
そうかいえなんてうち織田あるなうん相模
よしじゃあそこ行って泊まってみようじゃ
ねえかなんてんで小田原に入ってくる旅人
がみんなこの相模にやってきたこれは大変
な評判ですからねえ姉妹にはスズメの親
なんて名前がついちゃってねもう客が
いっぱいごった返してるあのスズメの親
ってのはこはエサでございますよえっと
ちと一晩厄介になれてんだからいえもう
ダメですいっぱいですからいえじいっぱい
分かってるよね相部屋でいいんだよいさ
相部屋でダメなんですよもう相部屋で
いっぱいでも寝るところはなくってねもう
とにかくみんなもう廊下にまで寝ちゃっ
てるんですよ空いてんな幅がぐらいでね
じゃ葉がり止まるじゃねえかしたら人が
入る時困るでしょあそうかうんどかないの
どかないんですよもうとにかく私とかが戸
寝てるんですからああそうじゃあそしつさ
ねえ2人の間に止めてくんないか何をして
なんて大変な騒ぎですねこの評判が時のご
上司大久保香の神様の本身に入りまして
しめ見たいというのでお揃いでやってきた
ご覧になって誠に明光の作であ世は占領で
買いとらすぞ占領
かえ占領ありがとうございますえお売りし
たいのは山々でございますがえ実はこれを
書きましたものがえ類しなどはいし方が
ないが他人に打ったりなどしてはならんと
えこう申してまりましたのでりするわけに
は参りませんのでうんさようかではその
ものが参ったならば場内に沙汰をいた
せようと言ってお帰りになったおい大変だ
よええ大久保川の神様はなあのついたて
線量で買ってくれるんだとよ線量へえ
大したもんだねへえだからね私はねあの
スズメの絵を描いた人ね一目見た時どっか
違うと思ってさ言ってんだよお前泥棒
みたいなこと言ってたじゃねえかさだけど
さ何してんだろうねあの人本当だよなあえ
帰ってきてくれりゃいいんだよえうん
とにかくあの人のおかげでもってうちは
すっかり繁盛しちゃってるんだからさね
宿せなんてそんなことはもう言わねえんだ
からなえ戻ってくれゃいいのにねどこ行っ
ちゃってんだろう本当だよもし戻ってき
たらさお前さんあの人お酒が好きだからね
うんお酒をどんどんどんどん飲ませてだよ
ねでもってあのスズメもらっちゃいなよね
スズメもらっちゃえばだよねあのついたて
はうちのもんなんだからねうんあのつたに
ついちゃ別にグズグズ言われるところは何
もないんだよねうん江戸の教授屋の職人が
出てきてグズグズ言ったってそれは大丈夫
なんだからさねそしたらうちに線量入るよ
お前さん線量ありゃねこんな裸子なんとし
てなくたってさのんびり暮らして行かれる
んだからいいかいもらっちゃいなよなんて
んで夫婦だもって大変な騒ぎですねで
しばらく立つってと年頃656の大変人品
のよろしいお様が友を1人連れてやって
まいりまして許せよへいあいらっしゃい
ましあつたに書いたスズメが抜け出るう
そんな噂を聞いてまったがこのうちかな
ええさよでございますえお泊まりでござい
ますかははえ大変に込み合っておりますが
なええなんとか1つ人間開けますんでえ
どうぞしばらくお待ちくださいましえ他の
お客様追いらっしゃってそのお様を案内
する一晩止まってあさもうそのついたての
置いてある座敷のところにはもうその
止まっているお客様がいっぱいでしてね今
これから見ようというんでもうみんなで
もって待ってるそこんところこの宿の親父
に案内をされながらそのお様がやって
まいりまして許せよ許せうんどれだどれだ
なええそちらにございますそのついたてで
ございますがなうんおほこれかへ
おおなるほどうん
ふんうんそうかはあどうですえええ大した
もんでしょうねえなんですよこれがええ今
こうやって食台の明りだってとねこれ別に
ね出てこないええでこの天と開けると押し
様が入ってきますっていうとねやっぱり
こう分かるんでしょうなさーっと出てって
餌を漁って帰ってきますからこれ見事な
もんですなえこれを書いたのはやっぱりえ
名人じゃだけこういうことはできません
ですなこれ名人ですなこれが名人かうん
名人でしょうんまあわしの目から見れば
素人に毛の吐いたようなもんだな
あたねなそなんてことを言うんですよえ
いやあの手前どもではこれを宝のように
思ってるんですよ名人じゃありませんが仮
にもこの絵から抜けてるんですからね生き
ているようだとかなんかよく言いますよね
うまい方の家はこれ抜け出ちゃうんですよ
生きてんですからね名人じゃありませんか
お前がむやみやたらに名人という言葉を
使うがな名人などというものはそうやたら
にいるもんではないぞええそうですかこの
この方は名人ですよいやそうではないな
上手の手から水がこぼれるということが
あるうんあの人はうまいこの人は上手だと
いう人はいくらもいるなただそういう人は
だなうん間違いがあっても構わんなところ
が名人には間違いがあってはならんこの絵
には間違いがあるからわしは名人だとは
言わんああそうですかへえこのに何間違い
があるんですか見てわからんかうん泊まり
にが書いてないこの絵にはなだから間違い
があるという泊まりになんと書いてなく
たってあんなにいいスメが書いてあるじゃ
ありませんかそれがお前には分からんか
うん仮にも絵から抜け出るだけの力のある
スズメだなそのスズメがあのようにして
いつまでも飛んでいてみるうん止まる
ところがなければしまに疲れて落ちて死ぬ
ぞなるほどとそれはおっしゃる通りで
ございます
はそうですか名人なんてなそこまで行か
なきゃいけませんかすめの面倒まで見てね
うんとこれ今に落ちて死んじゃいますかえ
これ困りましたななんとかして助けるわけ
にいかないんですかうんわしがここに
泊まり着を書いてやろうか
えどうもありがとうございますえそのご親
は大変ありがたいんですがねええこれ
なんかれるってと売れなくなっちゃうええ
大久保母の神様がご覧になってえこれ線量
でえお買い上げになるとこうおっしゃった
んですからええこれなんかかかれちゃ困る
んではスズメは死ぬぞう言わりましたの
そらじゃああの恐れ言いますあの端の方に
あの端の方にちょこと帰ってやえであの
行けない時にはこうちょっと切り取れる
ようにえ端の方にちょっとで結構ですから
まあまあ何度もかもうんあとにかくすりを
持ってきなさいうん持ってきたかあそこに
炭が出ているからすんなさいあそうですか
ええ大概の方そうねえ絵を描く方そういう
もんですかなえこれ驚いたえどうええ
ほんの少しで結構でござですよええもう
とにかくねえあんまりそのうんえかかれま
すってとねええ
これ随分この住はいい匂いがしますなどう
やら花だけは人間だしなよく言われんです
よそれはええ鼻のいいのが自慢でござい
ましてなええ本当にえどうえすれました
そうかわしがアを開けろというまで開けて
はならんぞうん良いなしばらくまたそのよ
をじっと眺めておりましたが筆に炭を含ま
せましてよしもうアを開けても構わんぞ
よろしくございますかガラっと明さんに
さーっとお様差し込んでくるスズメがつた
からピーっと出てったその隙を狙ってつっ
とこの五郎隊がかき上げまし
たどうだえいど
あのね私あの少しでいいっとお願いした
でしょあなた困んですよこんなにいっぱい
ごちゃごちゃごちゃっと書かれちゃも切り
よがないじゃありませんかなんですこれは
なん
ですお前はこれを見て分からんかねえ
分かりませんよお前のまみえの下に2つ
光ってんのは
ないこれ目ですよ目だったらよく見ろね見
てわからんような目だったらくにてあと銀
でも張っとけってこうおっしゃるんでしょ
それよく言われてるんですだだけど分から
ないものはしょうがないでしょ分からんか
ここになトカが書いてあるうん中に止まり
もあるぞなあ今出てったスメがすっと戻っ
てきて中に入るからうよく見たるととかと
ああああなるほどスーっと浮いて見えます
はいあそうですか入りますかしばらく立
つってと表に出てってたスズメがさーっと
戻ってくるってとトカの中に入って
ぴょぴょぴょぴぴぴぴしばらく飛んでおり
ましたがピタっと収まった
あら収まりましたこれでスズメは助かった
ぞああそうですかありがとうございますえ
皆さんすごいもんですなこちら底物はええ
1つえあた様のお名前はいやわしの名前
などどうでも構わぬがなあこのスズメを
描いたものは年頃256色の白い小太りな
男でまみえの太い目のぎょろりとした男で
あろうええおっしゃる通りでございます
そうかそのものがも舞い戻ったらばないつ
まで立っても至らぬやつだとわしがこうも
してたと伝えておけいや名前を言わずとも
分かるわしは参るぞへいどうもありがとう
ございましたこの評判がまたバーっと広ま
るってと2度目に大久保香の神様がご覧に
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[音楽]
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DETJA

【 演 者 紹 介 】

・三代目 古今亭 志ん朝(ここんてい しんちょう)師匠

1938年3月10日 – 2001年10月1日 没
東京都 文京区 本駒込 出身 本名: 美濃部 強次(みのべ きょうじ)
出囃子は『老松』 定紋は『鬼蔦』
五代目 古今亭 志ん生 の 次男。 十代目 金原亭 馬生 の 弟、
女優 池波志乃 は 姪、俳優 中尾彬 は 義甥。

1957年2月に 実父 五代目 古今亭 志ん生 に入門。前座名は 朝太。
柳家 小光 と共に 2月1日から 前座入り。

1959年3月 二ツ目昇進。
1961年 NHK『若い季節』 レギュラー出演。

1962年5月 五代目 春風亭 柳朝 と共に 36人抜きで 真打昇進
三代目 古今亭 志ん朝 襲名。
抜いた先輩には 兄弟子 金原亭 馬太郎、六代目 むかし家 今松 や
三遊亭 全生、柳家 小ゑん、橘家 舛蔵 がいた。

1978年5月 落語協会 分裂騒動 で 落語協会 を脱会し
落語三遊協会 に参加するが、僅か 数日で 落語協会に 復帰。

1990年から1999年まで 大須演芸場 での 独演会を始める。
1996年8月1日、三代目 三遊亭 圓歌 の 後任で 落語協会 副会長 就任。
2001年 芸術選奨 文部科学大臣賞受賞。

七代目 立川 談志 / 五代目 三遊亭 圓楽 / 五代目 春風亭 柳朝 と共に
若手真打の頃から 東京における『落語 若手 四天王』と呼ばれた。
また 同世代噺家の中では 東の志ん朝、西の枝雀』と称される。
単に「古今亭志ん朝」とした場合、三代目(真打昇進から没するまで
40年以上にわたって「志ん朝」を名乗り続けた)を指す とされる。

※ 当チャンネル で 使われている映像は イベント記録 のため
  一般観客席 最後方 から 録画されたもの です。
従って 観客席周辺の雑音・咳払い・クシャミ など が入っており およそ
  テレビ放映 では 有り得ない 雑音 が 混じっています。 ご容赦願います。

こんにちは【 満員御礼 落語名人会 】です。
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